人じゃあ
「あ・・あいつ・・・自分に術を・・」
「元神官どころか、元人間だな」
絵師と坊主の言葉に、黒い男は戻った腕を、なでてみせる。
「いいや。わたしはこのとおり人間だ。 おかげで、いくら『気』を喰ったとしても妖物になりさがることはないのだ」
絵師がまさか、と言葉をのむのへ、笑って続けた。
「 ―― ああ、喰ったとも。 わたしはな、『気』が多いものなら、なんでも喰った。ヨウブツだろうと、 ―― ヒトの赤子だろうともな」
「っこ、・・・禁術に、・・つかったんじゃないのか?」
「どうつかおうと、勝手だろう。産んだ女はいらぬと言う」
「・・・おまえ、やっぱり、人じゃねえぞ・・」
「だからなんだ? 人と化け物の差はどこだ?はらんだ子どもを『いらぬ』と売るのが、 人か?」
「そ、れは・・」
「そんなくくりは、いらぬのよ。 わたしはただ、この世で一の『力』を得たいだけ。 あの子どもを喰えば、計り知れぬ『力』が湧くかと思うたが、どうにも邪魔が多い。 ―― ならば、あれは、後でもよかろう。
―― おまえ達も天宮にいる人間だ。大臣や、天帝まではいかずとも、
サぞ、 うマ いノ だロウ な 」
おかしな声になったホムラの口が、切込みが入ったように、耳のほうまで開いた。
真っ黒な口の中がみえ、瞳がぐるりと消えて白目になる。




