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おとぎばなし ― 鬼哭(きこく) ―  作者: ぽすしち
鳴(なく)の章

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52/71

まき散らす

 どん、と土煙があがったあたりの景色にヒビがはいり、黒い影が飛び森の中に逃げこむ。



「潔く出て来い!」

「それはそちらも同じ!」



 声とともに木の間から木札が投げられ、絵師の位置ではない場所を狙った。


 ぼん、とあがった炎を真っ二つに割り、おおきな影が姿をさらす。



   「――たしかに、おれも性にあわねえ」


 坊主がたたっ切った札を踏んでわらう。




「ふん。子どもは隠すことに? だが、 ―― どこに隠そうとも、この『土釜』が《泣いて》この場に呼ぶだけよ!」




         ををををおおおおお ――――



 空に震えがはしったとたん、上空のテングの影が、四方に散った。


 ヨクサが金色のトッコをつかみ振り上げると、光る線がそらに引かれはじめた。




   「つちがま!!火を吐き、この黒森すべてを吸いつくせ!!」



 伸び上がった黒いかたまりは、ぶしゅぶしゅと汚らしい音でおのれの『なか』をあたりにまき散らす。




 びしゃり、と汚らしくセイテツの肩にもかかったそれは、一瞬で着物に火をつけた。



「あっちい!!それならこっちは」


「まて!テツ!」


「まてるか!みろ!森の残りがすべて焼ける!」


 光らせた絵師の手に、坊主が本気で刀を振り下ろし、悲鳴をあげたセイテツが溜めた『力』でどうにかよける。


「っす、ざく!!てめえ!」


「落ち着け。『力』をあれに当てれば、ぜんぶもっていかれんぞ」


「 ―― あ」



 そうだ。ここまで土釜が大きくなったのは ―――。





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