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とんでくる
おいテツと呼ばれる前には、その気配を感じていた。
「また、空か?」
まだ陽ものぼりきっていない薄明かりの天空に、おかしな気配
「いや、こりゃあ ――― 」
坊主が身を乗り出すよう動き、膝に眠らされていた子どもも、泣きはらした目をどうにか開く。
「・・・あれって・・・」
見上げたまま、セイテツは言葉を継げなかった。
段々と近付く空の黒い点は、かなりの数。
そして、なにより、『鳥』などより、よほどでかい。
ち、とスザクが舌を打ち、シュンカは思わず立ち上がった。
三人のいる場所にはセイテツがかなり広く結界を張っており、並みの妖物などにはその存在がわからぬはずだ。
なのに、あきらかにこの結界をめざし、黒い影は飛んでくる。
「・・・・すごい・・」
子どもがつぶやいたとき、先頭を飛ぶ影が金色に輝くものをふりまわし、ばちん、と境があっけなく壊される。
影は次々と飛来し、ばさばさとあわただしい音をたて、陸につく。




