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このときが
――― 鳴の章 ―――
いよいよ、このときがやってきたのだ。
身体には、『気』があふれみなぎる。
うっすらとしらみ始めた空を見上げてから、べっ、とそれを吐き出した。
土の上に転がる飴色の石と赤い石。
「 ―― ふん。ただの殻に用はない。役神のほうは、かなり美味かったがな」
こちらがあの子どもに施す術の邪魔をしに、わざわざ『餌』のほうから飛んできたのだ。
ぐずりと痛む、失った眼のあとをおさえ、空を見上げた。
――――― 夜が明ければ、土釜を解き放つ。
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