おれのせい
まだ震えのおさまらぬからだを抱いていた絵師が、いきなり突き飛ばされた。
「・・・しゅ、シュンカ?どうした?」
「ご、ごめんなさい・・・おれが、スザクさまを・・・」
「あいつはどうみても大丈夫だって。ほら、あの顔見ろよ」
「お、おれ、・・・みんな・・・おれの、せいです・・」
「・・・なんだって?シュンカ?」
「みんな、 ―― みんな、おれの、せいなんです!!」
興奮したように、なくなった両親や里人、子犬に謝りだすのに落ち着くよういいきかせ、また抱え込もうとしたのに、後ろからのそりと大きな影が寄る。
スザクに見下ろされたシュンカが怒鳴った。
「お・・・ ―― おれ、もう、天宮を出ます!」
「なら、おれの、従者はどうなる」
「っ、・・もう・・できません」
「なぜだ?」
「だって!スザクさまを、刺しました!」
「それで、できねえってのか?」
「・・・それに・・、おれがいると・・・『災い』が・・・、みなさまにきっと、ひどいことが」
「ひどいことってなんだよ?親が死んで、帰る里がなくなって、かわいがった犬も奪われ、一緒に働いたやつが妖物になるってやつか?」
スザク!!と絵師のとがめなど、坊主の耳には届かない。
シュンカは水の溜まった目をふせた。




