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おとぎばなし ― 鬼哭(きこく) ―  作者: ぽすしち
涕(なく)の章

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術にのまれる

 

 とたんに、シュンカがうめきひどく暴れだし、坊主が抱えこんで、舌をかまぬようにセイテツが口に布を押し込んだ。

 半分以上をむこうの術にもっていかれていると、坊主が舌打ちするも、へたに術を破って同調するシュンカに返しがくるのも困る。

 

 しかたなく、これ以上をもってゆかれぬよう、坊主は子どもの耳に経を吹き込み続け、後ろから抱いたまま覆いかぶさり、自由を奪った。

 

 スザクとシュンカが動けぬゆえ、セイテツが大掛かりな結界を張ったとき、今度は子どもが動かなくなった。



 様子をみようとうかがった子の横顔に、涙が流れるのを坊主はみつけ、なぜか自分に腹が立つ。

 絵師と違い、こういうときにどう扱えばいいのかがわからない。


 坊主が着物の袖で子どもの顔を雑に拭うのを絵師が見たとき、ぶありと、シュンカの『気』が、何かによって濁り、膨れ上がった。


 閉じたきりだった子どもの大きな目が、 ぱちりとひらいた。


「      さ ま  」


 聞き取れないほどの何かをこぼした子どもの手に、一瞬で刃物があらわれ、そのままひいた刃物の先は、シュンカのからだをかかえこんだスザクの肩へと突き刺さり、こどもは、ようやく自分を取り戻せた。




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