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さめたか
自傷すれすれの場面となります。ご注意ください
―― そうか。おれが、すべて、わざわいの、もと、なのか
――― あとが、ない、 のだ
あまりにも、たくさんの災いを、引き起こしてしまった。
包丁をつかむ手がじんじんと、指先まで脈を打つ。
なにかが、ひどく耳の奥で騒いでいる。
――― ああ
むこうにむけた刃を、おのれにむける。
――― とうさん かあさん 里のみんな リン それに アシ
――― みんな ごめんね おれの せいで
――― 天宮のみなさま
狙いを定めるように、左の胸に、刃先をつける。
―――― スザク さ ま
柄をにぎる腕をひいた。
※ ※
「シュンカ!!」
セイテツの叫び声が、くぐもって聞こえた。
視界が暗い。
自分の息が乱れ、苦しい。
だが、それよりも ――――。
「 おう、目がさめたか?」
坊主の声がすぐ耳元でした。




