おまえの近く
『ゆらぐ』にでたカイがおでましです。嫌なことしか言いません。。。
『 おれが今、どこにいるか 教えてやろうか? 』
聞きたくもなかった。
息苦しい胸をおさえながら、どうにか立ち上がる。
『 おれはな、この闇の中にいる ほら おまえの すぐ近くだ 』
ふありと風のようなものに首をなぜられあわてて拭い、とにかく走る。
『 おまえの あの 汚い犬も ここだ 』
「リン!?」
立ち止まり、きゃん、と響いた鳴声に、ついその名を呼んでしまったが、 ―――。
「―― ・・・そんな、わけはない。リンと、おまえが、同じところになんて、いるわけない」
『 ほお それなら この犬
またしても 手にかけるか?』
先ほどよりも高く響いた鳴き声に、シュンカはぎゅっと拳をにぎる。
「惑わされない。―― コウセンさまがおっしゃってくださった。 リンとおまえたちは、例えこの先何があっても、同じ場所に存在することはないって」
リンは、これ以上怖い思いは、ぜったいにしねえからよ。――約束しよう
『 そうか おまえ またしても
みすてるのか ? 』
「 ――――― 」
振り切るように足をはやめた。
『 おお 卑怯者はいそいで去るのか
それはいい 父親をみすて 犬をみすて
そうだ 役神さえも みすてたものなあ
おまえは 逃げてばかりだ 』
「っつ!!」
早く、スザクさまを見つけなければ ―――。
『 ここまでいわれて くやしくもないのか
おまえの父親は 最後まで戦ったというのに
――― 逃げるだけのおまえは
まわりの人間を不幸にするぞ 』
「だまれ!!」
スザクさまを、めざすんだ。
――― 逃げろ逃げろ
はやしたてるように、声が闇を震わせた。
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