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おとぎばなし ― 鬼哭(きこく) ―  作者: ぽすしち
涕(なく)の章

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36/71

アシでもコハクでもない

  


      「  助けたかったのだろう? 」




ふいに、聞き覚えのある声がかけられ、顔を隠した手を、そっとどかした。


「っす、スザク、 さま?」

 自分は坊主に抱えられ、その坊主が自分を見下ろしている。


「親父どのを、おまえが助けたかったのはよく知っている。―― あの状況だ。助けたくともできなかったのは、しかたがないだろ?」


 ゆっくりと、顔が近付いた。


「おれには、おまえの気持ちが、よくわかる」

「っつ!?」


 鼻先がつくほどの近さで、スザクがささやき顎先をなでる。


    ――― だからな


   と、笑んだ顔が傾いた。


  


        「 ――おれに、喰われろよ 」

           「っ!!」

           

 

 坊主を思い切り、突き飛ばす。



 転がった坊主の顔がばくりと裂けて中から黒い舌がのびる寸前、シュンカの懐から飛び出た光のかたまりに潰された。



 まぶしさからそむけた目の端が、光に浮かぶ人の形を捉えた。


「・・・だ、だれ?」

「シュンカ、もって行かれている場合か?」


「あ、アシ!?・・いや、コハク?」


 腕を組みこちらを見る若い男は、その、どちらにも似ていて、どちらでもない。


「その両方だ。おまえが肌身離さず持つ石二つと、スザク様がもどしてくださったこの魂で、ここにこうしていることができる。 ―― シュンカ、早く、ここから出るんだ」


 命じるその姿が、ざらりと、ところどころ溶けるようにくずれる。




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