星もにじむ
――― 涕の章 ―――
ウヲオオオオヲヲヲヲヲオヲオオオンン ウヲヲヲオオオオンン
「っな、なんだ?」
飛び起き空を見上げる。
夜空を震わせて響きわたるこれは、明らかに、泣き声だ。
「――これが、おまえが言ってたやつか?」
シュンカと同調し、『気』を持ち去るという ――。
「なんか違うが、きっと、前と同じやつだ」
しっかりとシュンカを抱え込んだ坊主も、空をにらんだ。
ウヲヲヲオオオオオヲヲンン
ウヲオオオオオオオオオヲオヲヲヲン
空が震え、星も震える。
「スザク、さま」
抱えこんだ胸のあたりから呼ばれる。
「おう、起きたか。―― つかんでろ」
もっていかれるな、と言った男は、もっていかせまいとするように、抱える腕に力をこめる。
言われたまま坊主の着物をつかんだ子は、震える天をあおぎみた。
星が、揺れている。
さきほどまで、一つ一つがはっきりと輝いていたそれらが、水に漬けたかのように、にじんでいた。
「―― 泣いて・・・います」
そのとき、震える泣き声が、ひときわ大きくなった。
「 っ、」
身体をこわばらせたシュンカが、耳を塞ぎ、セイテツが叫ぶ。
「シュンカ、意識をそらせ!」
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