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おとぎばなし ― 鬼哭(きこく) ―  作者: ぽすしち
吟(なく)の章

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32/71

つながる


「気をつけろよ。せっかくシュンカに払ってもらったってのに、おかしなもん、呼ぶんじゃねえぜ」


 たしかに、これだけゆがんだ『気』があふれていれば、仕方もないが。


「・・・ああ、どうにも、あのホムラとかいう男を思い出したらさ・・・っていうか、おまえさ・・・」


「あん?」


 焚き火から少しはなれて座る坊主の膝には、眠って横抱きにされるシュンカがいる。


 それを見る絵師の言いたいことに気付いたのか、坊主は子どもを、抱え直した。


「 ―― 置くと、うなされて泣きやがる」


 それは、この子を伍の宮に引き取ってから、ずっとそうであって・・・。


「・・・やっと、ってとこかな・・」

「なにがだ?」



「いや、べつに。―― なあ、スザク。おまえがその子を抱えているのは、その子が『従者』だからじゃないぞ」


「ああ?シュンカは『従者』だろ」


「いや、だからさ、――」


 そこで、シュンカが苦しそうに息をつき、スザクのほうに身体を寄せた。


 スザクは、 ――――。


「・・スザク・・・おまえさ、もーすこし、頭と心がつながるといいのにな・・・」


「つながってるだろ。思ったとおりに動かせるぜ」


 自由な方の左腕を回してみせる男に、はいはい、と返事をして、先に休むことにした。



 あんな顔で見下ろされているのを知ったら、シュンカはきっと、真っ赤になって飛び起きるだろう。


 

 ――― セリちゃん、泣いて喜ぶよ。

 


 誰がどう見たって、大事なものをいとおしむ微笑が、坊主の顔に浮かんでいた。



 ――― 泣きはしないけど、おれも嬉しいねえ。


 にやけた絵師が眼を閉じたとき、

         

  





               ―――― 空が震えた。

 





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