つながる
「気をつけろよ。せっかくシュンカに払ってもらったってのに、おかしなもん、呼ぶんじゃねえぜ」
たしかに、これだけゆがんだ『気』があふれていれば、仕方もないが。
「・・・ああ、どうにも、あのホムラとかいう男を思い出したらさ・・・っていうか、おまえさ・・・」
「あん?」
焚き火から少しはなれて座る坊主の膝には、眠って横抱きにされるシュンカがいる。
それを見る絵師の言いたいことに気付いたのか、坊主は子どもを、抱え直した。
「 ―― 置くと、うなされて泣きやがる」
それは、この子を伍の宮に引き取ってから、ずっとそうであって・・・。
「・・・やっと、ってとこかな・・」
「なにがだ?」
「いや、べつに。―― なあ、スザク。おまえがその子を抱えているのは、その子が『従者』だからじゃないぞ」
「ああ?シュンカは『従者』だろ」
「いや、だからさ、――」
そこで、シュンカが苦しそうに息をつき、スザクのほうに身体を寄せた。
スザクは、 ――――。
「・・スザク・・・おまえさ、もーすこし、頭と心がつながるといいのにな・・・」
「つながってるだろ。思ったとおりに動かせるぜ」
自由な方の左腕を回してみせる男に、はいはい、と返事をして、先に休むことにした。
あんな顔で見下ろされているのを知ったら、シュンカはきっと、真っ赤になって飛び起きるだろう。
――― セリちゃん、泣いて喜ぶよ。
誰がどう見たって、大事なものをいとおしむ微笑が、坊主の顔に浮かんでいた。
――― 泣きはしないけど、おれも嬉しいねえ。
にやけた絵師が眼を閉じたとき、
―――― 空が震えた。




