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『くちだし』は無効
「 ―― ケイテキさま、わたしも、『気』などゆらさず、相手を殺せる者なのですよ。 ああ、ちなみにお喜びくださってけっこう。 あなた様は、これで、 『人ではなくなった』 」
この男も、これでこの、―― 自分の、『術』の一部となったのだ。
「 さすれば、これで、『西の将軍ケイテキ』はもう、この世におりませなんだ 」
これにて、ミカドの ”くちだし“ は、効力をなくす。
「 ―――― これで、 わたしは 自由だ 」
笑いがとまらない。
見下ろした釜の中のモノは、『最後の段階』を経て、無事に、そのカタチをなしはじめている。
「 待ちわびた最後の餌がきて、おまえはこれで、完成だ。 これからもっとうまそうな子どもに逢うが、あれは喰うなよ。――― あれは、わたしが喰うのだ 」
吹き飛んだ右腕の血はすでに止まり、失くしたその先の、組織の再生が始まっていた。




