喰われる
すこし流血的場面。ご注意を
ぼこん、と眼下のモノが泡を吐く。
うまそうじゃねえなあ、と将軍がつぶやく間に、二枚目がはずれた。
ぶく、と小さな泡がわく。
熱くってやけどしねえか、というそぐわない心配も、この男の場合は強がりではないのをホムラは知っている。
平気でしょう、と三枚目を取る。
「――ああ、しかし、」
そこで、四枚目をはがした。
「 喰われる場合は、わかりませぬっ! 」
「ホムラっ!!」
出した木札にケイテキが目を見開いたのと、五枚目をはずしたのが同時。
ためらいもなく、叩きつけた札が、将軍とつながった腕を一瞬で吹き飛ばす。
ぶあつい舌のように伸び上がったモノが、あっという間もなく、よろめいたケイテキの体をさらった。
「 封 っっ!!」
再度の結界で『蓋』をつくり、さらに出ようとしたモノを押し戻し、落ちるようにホムラは倒れた。
「―――っく、・・・は、はは」
片腕を失った男は、地面に転がり、天を仰ぐと、声をたてて笑いだす。
笑いながらはいつくばって、蓋をした《土釜》をのぞきにいった。
かきまわされるようにうねるそれに、熱で溶けゆく男がみえた。
見えない蓋を、ホムラは残った左の手で撫でる。




