表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとぎばなし ― 鬼哭(きこく) ―  作者: ぽすしち
吟(なく)の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/71

もっていかれるな


 坊主が、いつもの生意気な、にやけた顔をむけている。

 シュンカがいつもの信頼しきった目をむけ、ほほえんでくる。


「―― ああ、・・・そうだなあ。ほんと、天宮一のお人よしな働き者だよなあ。おれたち、伍の宮のもんはさあ」


 ちょっと、声がつまった男はそれをごまかすように先に社をでた。




「・・・あのな、シュンカ」

 坊主はかかえた子の顔を、まじまじと、改めてみつめる。


 驚いたことに、さきほどの子どもの一言に、己の中で、何かが《震え》た。



「あの、・・・す、ザクさま・・・?」


 あまりに近くから坊主がのぞくので、その高い鼻梁がつきそうだと思ったシュンカは顔もあげられない。



「おい、シュンカ」


 あらためてよばれ、「はいいい」とおかしな返事をした子どもの頭をなでようとした手は、考え直したように、うつむいた顔の横に添えられた。



   

   「―― もっていかれるなよ」



 普段の、命じるような響きとはちがう声がいいつけた。



「―――はい。・・・もって、いかれません・・」

 シュンカは、泣きそうだった。



 なんだかわからないが、 ――― こちらの頬をしっかりと支え、眼の奥をのぞきこんでくるスザクに、言いたくて、言えないことがある気がした。


 眼の奥から何かが湧き出しそうで、あわてて顔をふせた。

 


 


   「っつ!」

 

  とたんに、なにかがシュンカをなでた。


 

 先ほどまではまとわりつくだけだったそれが、じかに『触って』きた。


 坊主がそれをたちきるように、背の刃をぬいた。




        ざざざざざざ


 

      さざめくようにおびえるように、 ―― なにかがしりぞく。




 社の外ではセイテツが空を見上げ、懐から『紙』を放ったところだった。

 たちまち紙は、『鳥』となってとんでゆく。



       「追うぞ」



   ―――― 陽は、すでに傾きだしている。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ