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おとぎばなし ― 鬼哭(きこく) ―  作者: ぽすしち
吟(なく)の章

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22/71

境(さかい)の写し


 スザクが経を綴らないということは、それが効かぬということがわかっているのだ。

 こんな『術』はみたことがないセイテツは、ずっと腹をたてている。


「 なんなのだ?こんな、人の『気』を狙う術など ――」


「テツ、落ち着けや」


「わかってる・・・わかって、いるんだが・・ちくしょお・・」

 自分がまたゆがんだ『気』にのまれれば、坊主に抱えられて苦し気なシュンカに、よけいな『気』をつかわせることになる。



 シュンカが倒れた場所に近付くにしたがい、こどもの顔色はいっそう白くなり、息が弱くなりはじめた。

 


 それを感じても、坊主は急ぐことをしなかった。

 気がせいている、セイテツが、耐えられないように抜いてゆく。



 またしても、ゆがみに捕らえられそうな男は、ときおり思い出したように懐のふくらみを押さえ、息を整えた。

 



 抱えた身体がついには『震え』はじめ、まとわりつくものが、《よろこび》震えだすのをスザクはかんじた。


 着物のあわせをずっとにぎっているこどもが、かすれた声で、「あそこに・・・」と一点をみつめた。




「―― ちくしょう、そういうことか・・」


 シュンカが見つめるそこに、『境』がある。


「テツ、あそこに、『境』があんぞ」


「なんだって?じゃあ、あの景色は、 ――」


「『写し』だ。 まんまとはまっちまった」


「そりゃおれのことだ。神官の術にはまるなんて、 ―― 笑えないよなあ」

 そうわらってセイテツが放った氷塊で『境』が砕け、あたりの景色が砕け散った。





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