悪役令嬢への道(結) 頑張りました!
私は『ヴィラン カシェット』になり 1年程経ったある日 国王陛下から お呼び出しを受けた。
国王陛下の執務室に入る。以前にも入った部屋だった。。家族と名前を捨て去せられた記憶が蘇る。
机を挟んで 国王陛下と 私 お父様が座る。
「よく頑張っていると聞いておる。流石である。ミブキを護る為 この国を護る為 そなたの献身には感謝を伝える」
「そ、そんな畏れ多い事です」
『社交辞令だ。嫌な予感しかしない、、』
「そなたは 人として かなりの領域に達しておる。ただし あくまで『人』としてだ。『人』ではダメなのだ。柱は『神の領域』 そなたには『人』を超えてもらわねばならない」
ニブキ国王陛下に言われる。
『やっぱり、、』
『私は この1年間『ヴィラン カシェット』になる為 様々な特訓を重ねて来た。家族を捨て 名前も捨て 血反吐を吐き 身体を酷使して これまでも想像を絶する事の繰り返しだった。何度も心が折れた。なのに、、これ以上 どうしろと、、』
「そこでだ。『人』を超える為に また毒物への耐性を獲得する為に 様々な『毒物』を使用していく。これには『女性』『ヴィラン カシェット』にしか使用出来ない『特別な毒』も含まれる。おそらく『特別な毒』が 最も効果があると思われる。だが 今迄1度も『人』に使用した事が無い。正直 実験的な要素を多々含んでおる。どのくらいが適量なのか? そもそも『人』が耐えうるのか? それでも今後の国の為に そなたには『礎』になって欲しい。すまない」
ニブキ国王陛下が 続けておっしゃっる。
『私に 国王陛下の御命令をお断りする事は出来ない。もしかしたら12年の命になるかもしれない、、』
「承りました。よろしくお願い致します」
「では 早速だが 本日より『毒物』による 毒物耐性の獲得と 身体強化を行なっていく。教師は 私の母上だ」
「王太后様でしょうか?」
「うむ。そうだ。今回の提案は 母上からだ」
『なるほど。元神様で 柱の元主人。その様な御方だからこその ご提案だな、、』納得する。
「承りました」
すると 応接室に 女性が入って来た。
お父様が 普段 陛下にもした事が無いのに 急に椅子から立ち上がって ヴィーナス様に臣下の礼を取る。
「私は『ヴイーナス バースストーン』だ」
「カシェット宰相家が長女『ヴィラン カシェット』にございます」
私も急ぎ 立ち上がって ご挨拶をする。
『この御方が 伝説の『ヴイーナス バースストーン』様』
ヴィーナス様が 私の事を ジロジロと見る。
「グレイデン 中々の逸材の様だな。私との約束を履行しているとは。よろしい 私が 鍛えてやろう」
「主様 よろしくお願い致します」
「母上 先日もお伝えした様に くれぐれも 慎重に よろしくお願いしますよ」
「ニブキ! お前は わかっておらん。イブキと同じで 軽く考えがちだ。慎重ではダメなのだ! やらねばならんのだ。私とて いつまでも戦える訳では無いのだ」
ニブキ陛下は ヴィーナス様に 一喝されて 困ったご様子。
母子との関係を見せられる。羨ましいと感じる自分が居る。
「では 早速始める。付いて来い」
私は ヴィーナス様の後に 付いて退室する。
「毒物耐性の獲得と 身体強化をする。人の枠を超えるという事は ある意味 人で無くなる。という事だ。普通の方法ではダメだ。わかるな? 今日から そなたは私の弟子だ。私の指示には『はい』とだけ 答える! 良いな?」
「はい」
正直 不安しか無い。漠然とした恐怖に包まれる。
全身のチャクラに 針を打ち 終始エネルギーを循環させる為に チャクラを解放するとの事。身体に 長い針を打たれる。痛くは無いが 何か怖い。。
「良いか? エネルギーとは 体内にあるだけでは無い。周囲から様々なエネルギーを体内に吸い込み。不要物を吐き出す。そうやって 絶えず体内にエネルギーの質と量を維持する」
「いいか 周囲のエネルギーを感じろ! 空気の一粒一粒を 感じるんだ!」
「何やってる! もっと感性を研ぎ澄ませろ」
毒物の服用も初める。
「良いか。餓鬼 畜生 辺りは 毒物での攻撃をして来る。毒物耐性が有れば その攻撃を無効化出来る。どんな毒物にも 死なない身体にしてやる」
「ぐふぁ、、うぐっ」
「どんな感じだ ヴィラン!」
「は、はい 頭がぐるぐるします。意識ははっきりと保てそうですが、、手足が痺れます」
「なるほど。このぐらいの量をしばらく 続けるか。。いや もう少し増量していく。ヴィラン いけるな?」
「で、ですが、、」
「ヴィラン!!『はい』だ!」
「はい、、」
『し、死ぬーーー』
あれから 半年程経ち 私はだいぶ毒物耐性と身体強化が成された。正直 人では無くなってしまったのかもしれない。
そして遂に『特別な毒』にも耐えうるとの判断が ヴィーナス様によってなされた。
「いよいよだ!」
「はい。よろしくお願い致します」
私の目の前に 赤い丸い物が置かれる。
「口に入れたら ゆっくりと噛むのだ。良いな。今のそなたなら 死ぬ事無い」
「はい」
『『はい』としか 言えない、、死ぬかも、、』
私は それを摘むと 口に入れてゆっくりと噛む。何かが身体中に一気に流れ込んで来る。
「ぐはぁーー、、ぶへーー、、うぐっ、、」
私は あまりの気分の悪さに 後ろに倒れる。意識を保っていられるのだろうか? 頭がぐるぐるする。吐きそうだ、、激痛!! 頭痛!!身体の節々が痛む!! うがーーー、、こ、呼吸が、、
「どうだ? ヴィラン 私の声が聞こえるか?」
『こんな状況なのに、、話掛けるだけ、、心配とか、、ってか 正直返答出来ないですーー』
私はゴロゴロ ぐるぐると 地面をのたうち回る。頭をなんとか縦に振って 頷く。それが 精一杯。
『こ、これが いつまで続くの、、』
「一気に飲み過ぎか? いや量か?」
『い、今更、、やっぱり 実験的、、手探り、、』 横で悶え苦しむ。
どのぐらい時間が経ったのだろう。徐々にだが 本当に徐々にだが 身体が少しずつ楽になって来た気がする。
「ようやく 山は超えた様だな、、安心したぞ」
ヴィーナス様が 倒れている私を覗き込んでおっしゃる。
呼吸が段々としやすくなって来た。痛みも和らいで来る。
『ああーー 生きてる、、死ななかった、、』
1度は 死をも覚悟した。生きてきてホッとする。
「しかし そうか。これは少量から始めて 日々服用させる方が より良い効果が得られるのか、、くそ、、今からでは ヴィランの強化にも 限界がある、、ここからは『ヴィラン』となった時から 少しずつ内服させ 量を増量していくのだ! さすれば『人』を超えるはずだ。そなたも 飲み続けるのだ! ただ『過ぎたる力は 邪念を産む』くれぐれも 注意してくれ。我が自慢の弟子よ!」
「はい 承りました」
横に寝転がっている私は そう答えるのが やっとだった。