悪役令嬢への道(転) 頑張りました!
騎士団では 戦闘訓練を学ぶ。私は元々 カシェットなので 周囲の近衛騎士より既に強い。
他の騎士では無く 騎士団長直々のスパルタ指導となった。
「ヴィラン様 両手の腕の力が 等しいご様子。二刀流でいきます。二刀流の利点は 攻撃力 防御力の高さにあります。あとは バランスと身体の捌き方です」
いきなり二刀流を告げられる。
剣を両手に持つ。初めて左手に剣を持つ。正直 違和感がある。ただひたすらに素振りをする。始めは 左手のひらに まめが出来 破れて出血する。正直痛む。剣の柄にも 血が付く。何度も何度も 繰り返すに連れて硬くなり 次第に右手と同じ状態になって来た。
『懐かしい。初めて 剣を握った時も こんな感じだったなぁ』
「人における頂点でないとダメなのです。人を! 私を 超えないと!」
毎日毎日 騎士団長と打ち合いをする。
「いいですか。身体の捌き 踏み込みの速度! もっと! 速くです」
「この距離で 人の限界の速度 二刀の幅の突き。防げる者などおりません。二刀流の最速の突きを 極めるのです」
「勝負を長引かせる事は出来ません。殿下を護りつつ 時には多数を相手にするのです。一気に制圧する必要があるのです」
『今でも 困難なのに、、これ以上 能力の向上って。。』
身体をバネにして 踏み込んで出る。何度も何度も反復練習をする。
言葉では 言い表わしづらい辛さ。がある。血反吐を吐く。
両手に 力が入らない日も多々ある。訓練中に意識が無くなる事も よくあった。
体術・暗殺術 侵入術は 今迄と変わらず 父親であった『チャルコパイライト男爵』から、、
親子としててで無く 他人として 教わる。
「ヴィラン様・・・」
父親で在ったはずの人から 他人の如く『ヴィラン様』と 呼ばれる。心を抉られる、、
「アイオライト殿・・・」
同席して 訓練している 弟で在ったはずの人からも 仰々しく接される。辛い、、
いつも 親子3人で 楽しかったはずの訓練も 任務感が全面に出ている。家族で訓練している。といった感じは 全く無い。
私の周囲は 一変してしまった。。家族の絆を全く感じない。権力とは恐ろしい、、
王妃様から一般教養を学ぶ。学園で『ローズストーン』を取得しないといけない。
「ヴィランちゃん。ローズストーンを取得出来無ければ あなたはそこで任務が終わりです。とても優秀ですので 教えがいがありますから『あなたを終わらせる』なんて事が無い様に 私がみっちり教えていきますわよ」
「はい。よろしくお願い致します」
王妃様は 厳しくも優しい。母の存在を感じさせてくれる人。
カシェット家当主。つまり『お父様』には 医術。怪我をした時の対処・治療方法・人体の急所。要は 自分の対処と 相手を殺さずに制御する方法を学ぶ。
「人と相対した時 人の身体は関節で動かします。つまり関節の位置を知り 人体の構造を知る事。医術は 戦いにも非常に有利です。人は関節の可動域でしか動かせません。可動域を見極めれば 自ずと 的との間合いがわかります」
「そして 人体の構造を熟知すれば 自身の怪我の対処。相手への攻撃部位がわかってきます。急所を捉える事です」
私の毎日は 朝早くから 夜遅くまで 先生方からの 直接の指導・訓練。そして自分で行う反復復習。
とても 大変で辛い訓練ではる。血反吐を何度も吐いた。ただ 出来た時の喜びも大きく またどの先生方も厳しくも優しくて一緒に喜んでくれたのが幸いだった。
◇ニブキ陛下視点
「ヴィランは この1年ちかく とてもよく頑張っている。。ただ わかってはいたが、、『人』の枠を超えてはいない」
「そうですね、、確かに このままでは 餓鬼を討伐する事は可能でしょうが それ以上の『人外』が来た際は難しいかと存じます。また 餓鬼の様に 毒物を攻撃の手段として攻めて来られると その対応も難しいかと存じます」
「うむ。もう少し 身体が強化された時点で 次の段階に移行せざるを得ないな」
「そうですね、、どの様な結果に至るのか わからない事が多いですが、、次代への道筋を立てる必要があります。ここは ヴィーナス様にお任せする他ないかと」
「わかった。全ての責任は 私が持つ。次の段階に進んでくれ」
「は! では 毒物を用いた 毒物耐性の獲得 急激な身体強化に 移行していきます」
「うむ 頼む。この施術が 今後の『悪役令嬢システム』の成否を担っている。重要な案件だ。くれぐれも慎重に 事を運んでくれ」
「心得ておりますが、、なにぶん ヴィーナス様のご対応次第かと、、」
「そうだな、、そこだな。。母上には くれぐれも伝えておく」