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6.謎の付与魔法

「やはりダイリの付与魔法は見事だな」

「付与魔法なんてかけてませんよ?」

「だが、回復付与と強化付与が重ねがけされているぞ?」


 魔王様曰く、今咲いている花全てに付与魔法がかかっているとのこと。しかもそのすべてが私の魔力だと言う。


 そんなものかけたつもりはない。


 タオルにかけた魔法が他の物にも影響する、なんてことはあるのだろうか。

 だがそれなら、私の植えた花以外にも影響が出るはずである。


 付与魔法がかかっていたタオルを持っていたのはグウェイルさんとメティちゃんも同じだ。かけたのも私。条件は同じはず。


 なのに私が植えた場所の花だけ魔法がかけられているということはこの考えは否定される。

 だからといって、それ以外の理由は浮かばない。


 謎は残るが、とりあえず与えた影響が良い方向に作用して良かった、と思っておくことにしよう。


「でね、ダイリちゃんと魔王様に見て欲しいお花がもう一つあるの。メティのお花が咲いたのよ」


 こっちこっちとメティちゃんに腕を引かれるままに進んでいく。そこにあったのはシャボン玉のような花だった。


 花を植える際に話してくれた、植える人によって異なる花を咲かせる花なのだろう。

 彼女の話通り、中にいくつもの花が咲いている。


「メティのお花、可愛いでしょう?」

「うん、とっても可愛い!」

「立派に育ったな。上手く魔力を込められたのだな」

「えへへ。魔王様にも褒められちゃった。ダイリちゃんのお花はどんなお花が咲くんだろうね」

「楽しみだね」

「咲いたらまた一緒に見ようね!」

「その時は我にも声をかけるのだぞ!」

「うん! その時は魔法使いさんも一緒がいいな~」

「我が連れて来てやるぞ」

「魔王様ありがとう。ケルベロスちゃん達も来てね」

「わふっ!」


 メティちゃんはケルベロスの身体に抱きつき、頭を撫でる。ケルベロスの耳はペタンと垂れ、嬉しそうだ。いつの間にか仲良くなっていたらしい。


 特に真ん中の子の表情はゆるゆるである。

 番犬としての威厳はなく、メティちゃんのことが大好きなただのワンちゃんである。


「また来てね~」

「この度は孫に付き合っていただき、ありがとうございました」


 グウェイルさんとメティちゃんにお見送りされ、魔王様とケルベロスと共に廊下を歩く。


 初めはおやつの会話から入り、すぐにタイランさんの話へと変わった。


「タイラン、また出て来なくなってしまったな。研究のためとはいえ、我は少し寂しい」

 魔王様は肩を落とし、落ち込んでいる。普段は我慢しているのだろう。


「お休みをちゃんと取っているのかも心配ですよね」

「タイランは自分を大切にするタイプではないからな……。そこで、だ。おやつ係のダイリにはタイランが部屋から出て来るようなおやつを作ってもらいたい。あ、食べやすいものはダメだぞ? 呼び出してもすぐに戻って行ってしまうからな」

「それなら一つ、考えていることがありまして……」



 計画を伝えると、魔王様は目を輝かせた。

 ケルベロスもおやつの話しをしていることに気付き、お腹が減ってきたらしい。気付けば三匹に別れていた。


「すぐには迷惑になると思うので、五日後とかにしましょうか。招待状を書いて渡すんです」

「それはいいな! 我はタイランに書くぞ!」

「それからミギさんとヒダリさん、シエルさんにオルペミーシアさん。メティちゃんとグウェイルさんも招待したら来てくれますかね?」

「来るに決まっている。そうと決まれば一緒に手紙を書くぞ!」


 魔王様と一緒に部屋へと戻り、レターセットとペンを掴む。それらで招待状を作成することにした。


 魔王様は招待状を書くのが初めてのようで、私の書いたものと比べては書き直している。


 魔王様が一生懸命書いたと知れば、きっとタイランさんも部屋から出てきてくれることだろう。



 早速、二人で書きあげた招待状を配る。タイランさんは招待状を手に、少し驚いていたようだが、来てくれると約束してくれた。他の人達とも約束を取り付ける。


 会場は王の間、ではなく、中庭に決まった。メティちゃんとグウェイルさんが場所を提供してくれると言ってくれたのだ。


 魔王様は二人と共に机などのセッティングを担当してくれる。

 ミギさんとヒダリさん、シエルさんはお茶の準備を。オルペミーシアさんは机の上に飾る雑貨をいくつか用意してくれるらしい。



 なので私はひたすらおやつ作りに専念することが出来る。


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