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28.1話

「そういや婆さんは来ないのか? フレンツの爺さんが代理か?」


 次にマイが声をかけたのはとぼけた顔であくびをしている壮年の部隊長――フレンツだ。

 だらしないおじさんという雰囲気の強いフレンツだが、実際には傭兵団の相談役のような立場にあり、先日のカナを問い詰めた緊急会議に参加していなかったのも、オーリエールと一緒に領主らと会談していたからである。


「誰が爺さんだ、オジサンと呼べ。我らが団長殿は貴族様と作戦会議やら交渉やらでお忙しいのさ。かといってコトが教会関係だというのにマイみたいなお子様に全部丸投げするわけにはいかんだろ」


「お子様はいいぞ? オジサンと違って若さにあふれてるからな。ちなみに爺さんよりオジサンの方が地位は低いのだが」

「クッソ、何も言い返せねえ。正論は残酷だからやめなさいね?」


 哀愁と苦みの混じった面もちで、フレンツは言葉の暴力に屈した。

 その様子をみていたクリストハルトが苦笑しながら口を開く。


「私としてはこっそりとひとりでみたかったのですが、皆さんも関係者ですからそういうわけにもいきませんね。それに教会の不祥事を隠すより、こうして快く見ていただくことで教会や私の潔白さをアピールしたほうが賢明でしょうし」


「ぶっちゃけてますなー。そんな正直トークは心の奥底に閉まっておく方が賢明じゃないかとイブちゃんは愚考しますぞ、教会の聖騎士さん?」


 妙にニヤリとした顔つきで、ほぼ初対面のクリストハルトに絡みだしたのはイブだ。

 思わぬところから声をかけられ、しかしクリストハルトはさわやかに苦笑を返す。


「もちろん冗談です。あまりセンスがなかったでしょうかね?」

「イブよりはあるなー」

「マイちゃんひどし! イブちゃんセンスの塊ですが!」


 マイの率直な感想に、イブの方は、心外ですぅ、みたいな表情で訴えている。

 その抗議の声は当然のように無視されていくのだが。


「しかし、イブって初対面でも積極的に絡みに行くよなー。カナのときもそうだったし」

「イブさんはああ見えて、はじめての人に配慮しているんですよ、マイさん。緊張をほぐして話しやすくしてもらおうしたり、親しみやすさを演出しているんだと思います」


 何気なくこぼされた言葉であったが、ミルカが純粋な目をイブに向けながら答えると、イブが慌てて立ち上がった。


「ぐわー! やめろ、ミルカっち! 古参面して内面をえぐるのはやめろー! 本当は良い人なんですよ、みたいな目をやめろー!?」

「え、褒めたのに……?」


 しかし、ミルカの方は何故か絶叫しだしたイブをみて、不思議そうに首をかしげている。

 頬を赤くするイブの横ではマイが口元を塞ぎながら笑いを漏らす。

 そこへ突如、豪快な笑い声が響き渡った。


「はっはっは! にぎやかであるな! 結構結構!」


 いつのまにか部屋にいたその声の主に注目が集まる。

 平服を着た体格の良い男性で、年齢のほどは30台といったところだろうか。

 武器こそ所持していないが、熟練の戦士のような威圧感を放っている。


「……あの人、誰ざます? つか誰ざます? ざますざます?」

「……ジョルジュ将軍。俺をしばき倒した敵の将軍だよ」

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