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第24話 戦後処理は転げ回る

 時は少し戻り、――リボーヌ城前。


 完全に包囲されたカライス伯爵軍は城壁を背後にして円陣を組むという、完全な防御態勢で敵軍からの攻撃をしのいでいた。


「耐えろ! ジョルジュ将軍が――ガルフリート最強の騎士が、敵将の首を持ち帰るまでの辛抱だぞ!」


 カライス伯爵の激励で士気を盛り返すが、厳しい情勢はなにも変わらない。

 それでもわずかながら勝ちの目があると、カライス伯爵は信じていた。

 しかし、そこへ凶報がもたらされる。


「閣下! 城門が開いて――」

「何っ!?」


 カライス伯爵が副官の知らせに思わず振り返ると、開かれた城門から無傷の城兵がずらりと並び、ゆっくりと歩き出していた。


「うわはははは! 今がおいしくいただけるチャンスなのだ。逃すわけなかろう?」

「お、おのれ、グイエン侯……っ!」


 カライス伯爵は歯を食いしばり、悔しそうにグイエン侯爵を睨みつけることしかできなかった。

 一気に突撃してこないのは、単に勝ち戦でこれ以上の被害を出したくないからだろうと推察したが、だからといってそこにつけ込むすべなど、もはや持ち合わせてはいない。

 仮に何か手を考えついたとしても、さらなる敵の出現によって兵士の士気は絶望的なものとなっている。


「閣下! いかがいたします、閣下!」

「――降伏だ! カライス伯爵の名において、降伏を宣言する! 全軍、戦いをやめよ!」


 カライス伯爵が力強い声で決断を下した。

 ジョルジュ将軍を待ちたい気持ちもあったが、あくまで一発逆転の一手であり、うまくいく可能性は低いということもわかっている。

 全滅すらありうる状況となれば無駄な死が増える前に降伏するほかない。


 何より、戦いは戦後にも待っている。

 領主同士の戦いでは勝った方が総取りとなるわけではない。

 王の家臣である領主を王の許可なく勝手に殺すことは通例として禁じられているし、領主を任命する権限も王のものである以上、攻め込んだ側のカライス伯爵が領土を失うことはないのだ。


 カライス伯爵が攻めたのは王の側につき、領地を奪った後で既成事実として自身のものにするという、勝ち筋があってのこと。

 一方でグイエン侯爵に許されるのは損害賠償を請求し、せいぜい一部の土地か宝あたりの譲渡を迫るというあたりだろう。

 そうした背景を考えて、戦後交渉で少しでも損失を出さないための領主としての計算でもあった。




 こうしてリボーヌ城の戦いは終結した。

 カライス伯爵軍は武器を捨ててその場に座り込み、周囲をグイエン侯爵軍とオーリエール傭兵団が囲んでいる。


 森の方からカナたちが戻り、オーリエールが待つ本陣へと向かった。

 被害の少なかった傭兵団はすでに治療の仕事をほぼ終えて、オーリエールも本陣での管理業務に戻っている。


「無事帰ったかい、マルキアスらも全員生きてるようだね。怪我人どもは治療にいってきな」

「こっちだ、いくぞ」


 オーリエールの指示によって、マルキアス隊の者たちはデクランに率いられ治療隊のもとへと向かう。

 やることがなくなったカナもロロのところに行こうかと考えていたが、オーリエールからの指令が待っていた。

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