表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/125

1.2話

「――そうですか」


 そう言って、カナは後ろに立つロロを見つめ頭をなでた。

 ロロも無言でカナに視線を向けて、うなずく。


 そして、カナはゆっくりと目を閉じた。

 思考を止めて、現実への対処をはじめるべく。


「ええ、そうですか。我が妹に――」


 宿る力が呼び覚まされる。

 眠る記憶が呼び覚まされる。


 混ざる。

 混ざる。

 カナの中で、記憶が混ざる。


 古い古い、戦いの記憶。

 遥か遠い地の記憶。

 自身(カナ)ではない者の記憶。


 その身(カナ)が宿すは記憶の力。

 遥か(いにしえ)の時代より継承されし(みなもと)の力。


 この力を知るものならば、こう呼ぶだろう。


 “鍵”、と。

 “鍵言術”、と。


 顕現するは神々の遺産、神なき世に残されたありえざる現象の(ことわり)

 ――その名を、“世界の鍵クエ・リ・ツフォルザード”という。


「――ロロに手を出そうと。そう申されましたか」


 赤く、――カナの目が光を放つ。

 見開かれた瞳が、人ならざるモノの輝きを放つ。


「左様ですか。左様ですか」


 近衛騎兵たちは誰ひとり動けずに、ただ立ち尽くす。

 目の前の少女の殺意に触れて、屈強なる男たちの身体が震え出す。


「――我が誓いに触れようと、そう申されましたか」


 まるで、別人のような口調でそう言った。

 聖女の杖を地面に突き立て、カナが溢れんばかりの魔気を解き放つ。

 殺意、殺気、死の香り。

 対峙する者らの生存本能がここに居てはならないと絶叫しだす。


「――されば、族滅にて」


 死を告げる。

 事も無げに、さらさらとした綺麗な声で死の決定を突きつける。


『クローゲン、はじまりより来たりし者よ。偉大なりし我が始祖よ。いざ、参りましょうや』

『ああ、遠慮はいらぬ。存分にやれい、我が現身よ。――久方ぶりの戦場(いくさば)じゃ』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ