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第33話 次なる戦場へ

 オーリエール傭兵団はボルディガレの街を離れ、別の領内を目指し行軍を続けていた。

 街道を歩き、補給隊が集めた食糧を食べつつも村々で買い足し、アクシデントも起きず、実に平穏な旅路である。

 

 国内の治安を守る近衛騎兵隊とすれ違うこともあったが、問題はおきなかった。

 傭兵は取り締まる対象ではないし、近衛騎兵隊のほうは3人しかいないのだ。

 その状況で、余計な干渉をすれば彼らも自分たちの身が危ないと理解はしている。

 手配されているカナがいるかどうかなど確認できるわけもない。


 まったく問題のない順調な旅が続いていた。

 傭兵団が向かう先、出立前夜にオーリエールから通達された、次なる戦場へと。



 ボルディガレ郊外で過ごす最後の日、傭兵団全員がテントの外へと集められていた。

 皆の前に立ち、張りのある声をあげているオーリエールはしわだらけの顔にも関わらず、生き生きとした表情で口を開いた。


「ガキども、休日は楽しんだかい? めでたく次の仕事が決まったよ」


 その言葉を聞き、皆が静まり返ってオーリエールを見つめる。


「この国の事情は知っての通り、宰相率いる王党派とアリエーナ伯を代表とする協調派によって争われている。……っていうのが表向きの話さ」

「表向きなのかー」


「そうだよ、マイ。戦いの理由はゼナー教の強制と王の権力の強化、なんだけどねぇ。それを目的としているのは王と側近ぐらいのものさ。そんなの建前ってやつだよ。どこの領主も求めるものは、自分の利益さ。そのために愚かな王を利用しているってことだね。わかりやすくていいだろう?」

「カライス伯もそんな感じだったな」


「そういうわけであちこちの領主が自分の利益のために戦いをはじめようとしてる、ってのが今の情勢だよ」

「はじめて、はいないのですか?」


 カナが疑問を口にする。


「そりゃそうさ。考えてもみなよ、戦争するのだって準備がいるんだ。速攻でおっぱじめられる領主は、事前に戦争の準備を終わらせていた奴だけさ。例えば、カライス伯みたいにね?」

「なるほどー。あの人、先見の明があったのですねえ」


「さて。これからあちこちの領主に雇われて戦うことになるだろうから、ある程度は説明しておくよ。とりあえず有力領主だけ覚えとくれ」


 オーリエールは言葉を続けて、領主の名をあげていく。


「まず王党派。宰相のギール公、ルグドゥ公、プロスコート女侯、ブルタニア侯、レイモン伯、エイギス伯」

「教会もこっち側だな」

「正確にはガルフリート内のゼナー教会のみです」


 マイの言葉に注釈を入れたのは聖騎士クリストハルト。

 ゼナー教の本国は関わっていない、と改めて強調しているのだ。


「次に協調派。アリエーナ伯、グイエン侯、アンデ侯、モントピラール伯、そして寝返ったカライス伯」

「カナの兄貴の派閥だな」

「宗教にも他種族にも寛容な領主の集まりってとこだ」


 今度はフレンツが言葉を付け足す。


「最後に中立の勢力。モンモール公、そして王太后ローリエ」

「中立もいるんですか?」


 どこからともなく疑問の声があがった。

 オーリエールがそれにこたえて、より詳しい解説を加える。


「モンモール公は王国軍を預かって王国の東側を防衛している元帥だからねぇ。宰相ギール公が守る西側と同じく、くだらない内戦なんかでうかつに動けやしないのさ」

「魔物の住む未開領域が近くにあるのでございましたのねぇ。コワイコワイのです。でも素材おいしいのです」


 オーリエールの解説を聞いて、イブが変な言い回しをしながら頷く。


「あそこは交易商人の陸の出入り口だからねぇ。可能な限り安全を保たないと流通が死んでしまう」

「ロメディア半島の付け根だからにゃー」


 モンモール公が守る北東の領地はロメディア半島の入口であり、他の地域へと繋がる陸の道だ。

 ここを魔物が横行するようなことになれば商人が海路でしか来れなくなり、ロメディア半島全体の経済が枯れていくことになってしまう。


 続けて、部隊長のひとりであるギリアンから声が上がった。

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