朝食とクラスメイトの我儘
翌日の朝、ピヨピヨと囀る小鳥の声に目が覚める。
「知らない天井だ」
定番といっていいだろうお約束の言葉を吐きながらゆっくりと起き上がる。まあ、どうしてここにいるのかは理解しているのだけど・・・。
すると、トントントンと扉がノックされる音が聞こえてくる。
「御神様、失礼します。」
「どうぞ。」
返事と共に部屋に入ってきたのは、黒髪で白眼の20代前半くらいの美人なメイドさんだ。ここで暮らす間は彼女に世話をしてもらうことになった。名はメリヤというようだ。
「お召し物をご用意いたしました。」
「ありがとう。」
彼女が持ってきてくれたのは、絹織物のような艶のある服だった。全体が黒で所々に赤と金の刺繍が入っておりなんとも高級感の漂う服だ。かっこいい。
・・・だが、問題がある。それは服の着方がわからないことだ。ボタンらしき物もないようだし、聞いてみるか。
「すいません、メリヤさんこの服の着方を教えてくれますか?」
「御神様、私めに敬語は不要です。それと着替えは基本メイドにさせるものですから御神様はこちらへお立ちください。」
「えと、こうでいい?」
「はい、大丈夫です。」
メリヤに着替えさせてもらうことになったんだけどやっぱり恥ずかしいな。羞恥心で精神が死にそう。
「はい、これで良いですよ。」
ようやく終わったか。
「朝食の準備が出来上がっておりますので食堂へ案内させていただきます。」
「うん、わかった。」
メリヤに案内されて食堂へ向かう。廊下の壁や床も白い石材を使っているようで凄く綺麗だ。たまに置いてある花瓶や石膏像らしきものも雰囲気が良い。
そんなことを考えていると食堂に着いたようだ。
「御神様、どうぞ中へお入りください。」
そう言って、メリヤは扉を開ける。
中にはクラスメイトが半数余りいて、扉から長机を挟んだ反対側に昨日お世話になった教皇様が座っていた。
「どうぞ、御掛けになってください。御神様。」
「失礼します。」
返事をして椅子に座る。するとメリヤが皿に盛られた料理を運んでくる。ちなみに今いるクラスメイト達は既に料理を食べている。
「どうぞ、お召し上がりください。」
「いただきます。」
教皇様に促され、料理を食べ始める。
朝食は目玉焼きと葉野菜、ソーセージが盛られている皿と所謂白パンといわれているパン、そして野菜や肉が入ったスープである。
個人的な感想としては普通においしい食事だが、こんないかにも偉そうな地位にある教皇様も同じ食事を摂っているということは平民の食事はもっと質素なものなんだろうなと考えてしまう。
「どうですかな、御神様の口に合うと良いのですが。」
「えぇ、おいしいですよ。」
「それはよかった。文献ではそちらの世界は食生活が非常に豊かだと書いておりましたから、お口に合うか不安でした。」
「そうでしたか。本当においしいですよ。」
「はい、有難う御座います。本日はこれより皆様のスキルと魔法の訓練を行いたいと思いますがよろしいでしょうか。」
「はい、大丈夫ですよ。しかしまだ来ていない人がいるようですが、どうしたんでしょうか?」
「はぁ、それが・・・」
嫌な予感。
「実は、皆様の半数近くが本日の訓練に参加しないと言い出してしまい、まだスキル確認も終わってはいないというのに、現状今食堂に来られている方々以外は部屋でお食事を摂られています。」
嫌な予感的中。教皇様大変だなー。
「なるほど、そうでしたか。それでは今回の訓練はここにいる人たちと、ということですね。」
「はい、申し訳ありませんがそのような形でやらせていただきます。」
「いえいえ、私は大丈夫ですよ。」
むしろ、教皇様の胃に穴が開かないか心配です。
「ありがとうございます。」
誤字・脱字等ありましたら教えてください。
表現が拙い部分がありましたら教えてください。(例があると嬉しいです。)