ゴーレムの水晶とヘルメット
慶太が日本から異世界へと来て三か月が経った。
慶太は死に物狂いで毎日のように森に通った。しかし、何一つ成果は得られていない。ジョブレベル上げも行っていたのだが一か月ほどで頭打ちになる。
そこからは経験値すら入らない状態で停滞期だった。
慶太の拠点はまだオリーブ亭の美女と美少女の住む宿で収入源はネピオの実だ。収入源といっても宿代と飯代との交換なので実質、現金はほとんど持ち合わせていない。
稀に見つけるマナレンソウという薬草を採取して宿に来た客に売ったりしていた。それをオリーブ亭の主人は仲介役として取り纏めてくれていた。ただし値段はオリーブ亭の主人が決めていたので正規の値段がいくらなのか分からずにいる。
その金を使って酒場で飲み食いさせてもらったりしているのでまあ良しとしていた。
旦那が忙しいあまりあまり相手にされていないアリーナが可哀そうだと酒場で一緒に飲んだことがあるがかなりの酒豪で慶太が先に酔いつぶれて連れて帰った貰ったことがある。
また、宿の従業員や街の飲み仲間が出来たりもして金はないが充実した日々を過ごしていた
「あ、おはよう、慶太」
「おはよう、カーリー」
相変わらず元気な少女カーリーは最近、慶太を起こすの日課となっていた。ただ、この元気な朝の挨拶は二日酔いの慶太にはキツイものがあった。それでも、今まで誰かに起こしてもらうという習慣はなかった慶太は嫌々ながらもカーリーの顔を見ると笑顔になっていた。
しかしだ、カーリーを見ているとアリーナさんの凄さというか若さには感心する。14歳の娘と近しい容姿なのだから……どっちが凄いのか分からない。ただ、言えるのは美人親子である。
「ねえ、慶太、今度あたしをデートに連れて行ってよ」
「危ないからダメだよ。それにネピオの食べ放題を狙っているんでしょう」
「あちゃーバレましたか」
「はぁ」
慶太をからかうのも日課となっているカーリー。ただ、そんな慶太に嫉妬全開の人物がいた。
「ちょっと、慶太君。うちの娘と距離が近すぎやしませんか?」
親バカイケメン主人の登場である。
「いやいや、そんなことはないですよ」
「どうだろうね、ふん」
この親バカイケメン主人、経営能力は高く宿をホテル並みにする凄腕で年齢は38歳というのに若々しく貴族の娘が求婚するほどだ。しかも、結婚していることを知りながら貴族という立場も捨て第二婦人でもいいという申し出がくるのだ。驚くことなかれそれが一件二件ではない
慶太はいつも思う。
「リア充爆発しろ」
「……何か言いましたか?」
「いえ、何も」
憎まれ口をたたきながら慶太はいつものルーティンをこなす。今日もベケタの森へと足を運ぶ予定だった。しかし、今日はいつもと違う段取りを余儀なくされる
「クレスさん、大変だ」
「どうしました?」
親バカイケメン主人クレスのところへ女将派の門番ヨータが血相を変えて駆け込む。
「隣町のペレタが落ちた」
「なんだって」
「今、町の住人が避難を始めている、ここは客もいるから避難誘導を手伝って欲しい」
「わかった、すぐに準備しよう」
親バカイケメン主人クレスは真面目な顔をして避難勧告を始める。こういう時のクレスはイケメンだ。多くの女性が惚れるのを納得できる一面だ。
「そうだ、慶太……君?……あれ、どこへ行った?」
髭眼鏡のピエロ姿の慶太は大急ぎでペレタの町へと向うことにした。なぜなら女将さんのアリーナさんがペレタの町へと用事があり出かけているのを知っている。髭眼鏡のピエロ慶太は門を通らずに数十メートルある壁を越えて一直線にペレタの町へと向かった
ペレタの町では巨大ゴーレムが暴れていたのだ。巨大ゴーレムは拳を一振りするだけで城門が壊れるほど強かった。髭眼鏡のピエロ慶太は巨大ゴーレムの肩に乗り挑発する。
「おーい、こっちにいるぞ」
いきなり耳元で聞こえる声に反応する巨大ゴーレム
「どうやら知性が少しはあるのか?」
巨大ゴーレムは羽虫を叩き殺すかのように髭眼鏡のピエロ慶太を潰す
ダメージ0を受けました
髭眼鏡のピエロ慶太には痛くも痒くもない攻撃だった
「おいおい、本気で来ないと俺はちっとも楽しくないぞ」
巨大ゴーレムを挑発する髭眼鏡のピエロ慶太
「こっちに来てみろ、思う存分相手してやるよ」
巨大ゴーレムは髭眼鏡のピエロ慶太の挑発に乗ってペレタの町から離れていった。ペレタの町の人は一体、何が起こっているのかわからなかった。
ペレタの町から少し離れた高原で巨大ゴーレムは髭眼鏡のピエロ慶太と戦い始めた。
巨大ゴーレムは髭眼鏡のピエロ慶太に猛ラッシュで攻撃をする。
ドドドドドドドドド
巨大ゴーレムの攻撃は衝撃波で城門を粉砕するほどの破壊力だ。それの凄まじい威力をモロに食らうのだから普通なら無事では済まない。だが髭眼鏡のピエロ慶太は巨大ゴーレムの攻撃を食らいながら冷静にログを確認する
ダメージ0を受けました
ダメージ0を受けました
ダメージ0を受けました
ダメージ0を受けました
ダメージ0を受けました
ダメージ0を受けました
ダメージ0を受けました
ダメージ0を受けました
いつも通りの戦闘ログだった
グォォォォ
巨大ゴーレムは唸っていた。巨大ゴーレムは髭眼鏡のピエロ慶太に容赦のない攻撃を与えているが
ダメージ0を受けました
パッシブスキル ランダムカウンターが発動しました
いつものお約束パターンで発動する。
巨大ゴーレムは髭眼鏡のピエロ慶太のカウンターパンチを貰い腹部に巨大な風穴を開けることになった。風穴があいた巨大な図体はそのまま前のめりでその場に倒れて動かなくなり機能停止をする。
ただ、あまりに巨大なものでその場に倒れこむだけでも非常に迷惑なやつではある
そんな巨大な図体をしたゴーレムでもダメージを貰えない慶太は自分の体がかなり異質なものであることを実感する
「はぁ、敵が弱すぎるってのも問題だな」
今回も経験値増加が出来なかった髭眼鏡のピエロ慶太は悔しい思いをする。これほどの攻撃を受けても経験値増加が見込めないのでもうジョブレベル100は不可能ではないのかと考え始める。
「いや、絶対にあげて見せる」
髭眼鏡のピエロ慶太は拳を握り空高く上げて宣言する。
意気込みを確かなものにする慶太の傍で巨大ゴーレムの核が動き出したのだ。
「おっと」
巨大ゴーレムの核は丸い水晶のようなものだった。慶太は高速で飛んでいく水晶の後を追う。するとベケタの森へと到着する。
そこには不思議な形をした切り株が姿を現していた
ベケタの森はすべて網羅しているつもりの慶太だったがこの切り株の存在は初めてお目にかかる。中へと巨大ゴーレムの核の水晶は入っていったのを確認できているので中へと入っていく髭眼鏡のピエロ慶太。
切り株の中はかなりの広い空間が広がっておりそこにはフラスコなどの実験機材が沢山あった
そして、ひと際目立つ水晶を発見する。どうやら先ほどの巨大ゴーレムの核だが、良ーく見てみると水晶の中には小さな木が入っている。まるで盆栽を水晶の中に閉じ込めたような巨大ゴーレムの核はとても綺麗だった。まじまじと見ようと近づいていくとこんどは髭眼鏡が光出して水晶に反応するのだ
そして、次の瞬間、髭眼鏡と巨大ゴーレムの核が融合し一つになる。髭眼鏡は変化して頭部をすべて覆うヘルメットのようなものに変化する。
「……カッコイイ」
慶太はいざ被ってみると真っ黒のヘルメットの中は実に快適で視界も邪魔が入らずにオールクリアなのだ
「こ、これはまるでバイクのヘルメットのようだ。まさか、衣装も変わるのか?」
これは期待できるとトランスフォームをするカッコイイ慶太。すると何とも見たことのある姿へと変身する。
・樹齢何百年とたちそうな大きな木のプリントがついたTシャツの上に赤と紺色のチェックシャツ
・スネが見えるぐらい裾上げしたデニムのジーパン
・靴下は白のロングソックス
・靴はハイカットの黒の革靴を履いている
・背中にはリュックサックを背負っておりリュックサックの脇には棒が一本飛び出していた。
・ちなみに、Tシャツはしっかりとズボンの中にINしている。
・さらに手袋をしているが指がすべて露出されるタイプだ。
「まさかのオタクファッションかよ」
慶太の暗黒時代を呼び覚ましそうな変身に鬱になりそうな暗黒慶太。しかし、現実は時として残酷である。いつものウィンドウ画面のログを見てみると
神器のグレードがアップしました
これによりスキルが大幅に変化します
スキルレベルに合わせて能力値の向上効果で増えていきます
また、スキルツリーの変更が行われました
暗黒慶太は嫌な予感がした
まずは個人情報を確認する
名前 慶太
種族 ???
年齢 35
職業 遊び人
Lv1
JLv19
身長1.70
体重61000
能力言語理解
神器使用権限
※チェンジ機能追加
トランスフォーム(髭眼鏡)
※高い防御力を誇る
トランスフォーム(ヘルメット)
※防御力低下、攻撃力微増
オートカウンター
慶太は自分の個人情報に突っ込みを入れたくなった
「ヘルメットより髭眼鏡のほうが防御力高いんだな」っと、
どうやら頭部を完全に覆うヘルメットよりレンズのない髭眼鏡のほうが防御力は高くなりそうであった。そんな意味不明な仕様に突っ込みを入れつつも、すぐに受け入れる慶太。
今の慶太に求めるものとしてはヘルメットを多様することになりそうである。
慶太は次にスキルツリーを確認する。なんと、ジョブレベル100で願いの叶うスキル「神のメモ帳」の習得レベルが変化しておりジョブレベル200になっていた
「え、ちょ、まって……くそったれ!」
かっこ悪くなり能力は向上したものの目標は遠くなり素直に喜べない暗黒慶太だった
この時の巨大ゴーレムの残骸がいつの間にか消えていることに慶太は気が付いていなかった
貴重な時間を使って読んでいただき
ありがとうございます。
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