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アリーナとカーリー

昨晩はぐっすりと眠ることが出来た慶太。



慶太は次の日にはまた森へと行く予定を立てていたのだが起きたのは次の日の夕方だった。




あまりにつかれていたのだろう、勇者召喚され、5時間馬車に揺られてつい先で女の子庇いながら珍獣とやらと戦ったのだ








ガタガタ







最初は風が強く吹いているのだろうかと思ったが様子がおかしい。慌ててサラリーマン慶太は起き上がってすぐに髭眼鏡掛けてマップを確認する。マップには小屋の入口に点が二つほどあった。





マップに映る点を確認すると慶太は髭眼鏡を外し入り口を開けて対応する。





「こんな時間にどうされました?」


「いえ、あの、ここは……」





なにかとても申し訳なさそうに話始める若い女性。少しばかりオドオドした態度が妙に色っぽい。そして、日本で生活していればめったにお目に掛かれない地毛で銀髪、しかも背中まで伸びるロングだ。




顔立ちは美人で身長も高くスタイルもいい





まさに宝塚ジェンヌが演じる村娘といっていいほどだ





「ここはあたしと、その……お母さんの小屋だ」





なかなか切り出せない宝塚ジェンヌの代わりに隣にいた元気な栗毛色のおかっぱ少女が要件を慶太に伝える。この二人は性格はとても対照的だが顔立ちはとてもよく似ている。





慶太はこの二人はお母さんのお手伝いをしている姉妹だと感づいた





「あ、そうなんだ。ごめんね」


「いえ、どうして、こんな小屋に?」


「えっと……」


「この人、危ない人だよ」





元気な少女はまさに怖いもの知らずだ。





「こら、そんな風に言っては失礼ですよ」


「だって……」





サラリーマン慶太は宝塚ジェンヌに嫌われないように怪しまれないようにするために嘘をつく





「すみません。俺、田舎から出てきて右も左もわからないんです。それに田舎では普通の恰好もこんな都会では皆と違って恥ずかしい恰好だと思っていて町に入れなかったんです」


「そうなんですか。でもね、大丈夫ですよ。ぜんぜん恥ずかしくなんてありません。とても似合っていて素敵ですよ」





慶太は宝塚ジェンヌの言葉に顔を真っ赤にして下にうつむいてしまう。





「あの、私はアリーナ、この子はカーリーっています」


「あ、お、俺はけ、け、慶太っていいます」


「あの大丈夫ですか?顔が赤いようですが」


「ええ、もう全然平気ですよ、アハハ!」





慶太は宝塚ジェンヌのアリーナに褒められて世辞だと思いながらも舞い上がるような気持ちになっていた。






慶太は目の前の宝塚ジェンヌのアリーナに気いられたかったのだろう、持っているもので上品そうなものを差し出す





「あ、そうだ、もしよかったらこれを食べてください」


「まあ、それってネピオかしら?」


「え、いえ名前は知らないのですが森で摘んできたんです」


「本当に頂いていいの?」


「あたしも食べたい」





元気な少女カーリーはかなり勢いよくブドウによく似たネピオに食いついてきた





「どうぞ、結構沢山摘んできたから好きなだけ食べていいよ」


「わーい」


「こら、こんな高価なものを」


「いえ、気にしないでください」





元気な少女カーリーは一粒食べると





「甘~い、とろける~」





言葉通りに顔はとろけていた





「わ、わたくしも頂こうかしら」


「是非とも」





宝塚ジェンヌのアリーナはネピオを一粒食べる





「はぁ~甘くて美味しいです。幸せな気分になれます」





色っぽいため息に当てられた慶太はエロい妄想全開で下半身が充血しそうだった





「俺も幸せになれます」





エロ慶太は心の声が漏れてしまう





「あのこんな高価なものを頂いたお礼にうちの宿に招待しましょうか?」


「え、宿ですか?」





元気な少女カーリーもエロ慶太にもらったネピオに餌付けされているから快く承諾する





「あのね、あたしのうちはえっと……宿屋なんだよ。お母さんとお父さんとアタイの三人で寝泊まりしているとこもそこなんだ、最近は大きくなって働いている人がいっぱいいるんだっけ」


「へぇ、そうなんだ……ん?」





エロ慶太は妙な違和感に見舞われる






「えっと、それじゃあ、お姉さんはやっていないの?」


「え?お姉さんってアタイ、一人っ子だよ」


「それじゃあ、アリーナさんはお姉さんじゃないの?」


「ええ、違うよ、お母さんだよ」


「は?え?ええええ!」


「あら、お世辞がうまいんですね」





宝塚ジェンヌのアリーナは元気な少女カーリーの母親だった。エロ慶太は恐る恐る宝塚ジェンヌのアリーナに質問する。






「えっと宿屋の女将さんで旦那さんと一緒に経営されているんですか?」


「はい、主人となんとかやっています」


「……」






エロ慶太にとってはダメージが大きすぎた。まさか、ここまで若い人にこんな中学生ぐらいの子供がいるなんて思いもしなかったからだ。既にエロ慶太が入り込む余地はなさそうだ。





荷物なんてほとんどない慶太はすぐに出発して美人親子の後についていく





失恋慶太はどんよりとした気分の中、町の中へと案内される。入口の門番は宝塚ジェンヌのアリーナにデレデレしながら俺のことを疑うこともなく町へと入れてくれた






門番の気持ちがわからないことはない失恋慶太であった。







人妻アリーナが女将をやっている宿はとても大きな宿でこの町の中では一番大きな宿だという





「先に帰るー」





勢いよく走りだす元気な少女カーリー





「気を付けてね」





元気な少女カーリーの後ろ姿を微笑ましく見守りながら手を振る人妻アリーナ。傍から見ている慶太は肩を落とす





「どうされました?」


「いえ、宿が楽しみだなって」


「うふふ、それはよかった」





色っぽい人妻アリーナに唾をのむ慶太であった。





しばらく歩くと宿が見えていた、大通りに面した宿はとても大きく想像以上のものだった。宿の中はと言うともっとすごかった。立派な装飾が施されている内装はまさにホテルといってもいいぐらいだ





入り口でクルリと振り向く人妻アリーナに歓迎される






「ようこそオリーブ亭へ」


「あ、お邪魔します」





そして、すぐさまこの宿の主人である人物、人妻アリーナの旦那が出迎えてくれた





「ようこそ、話は娘から聞いています、どうぞゆっくりとしていってください」






気後れして慶太は言葉詰まる





「あ、ありがとうございます」





そんな慶太が心配なのか顔を覗き込んで心配してくれる元気な少女カーリー





「どうした?元気ないぞ」


「大丈夫だよ、アハハ」





この人妻アリーナの旦那……超イケメンで高身長、しかもこんな宿を経営しているのだ





「ハァ」





慶太はため息をつくしかなかった。





「えっと慶太君でよかったかな?うちの娘にネピオをごちそうしてくれたみたいですまないね」


「いえ、俺もおいしいと思って沢山摘んできたんですよ」


「そうか、娘も初めて食べたものだから舞い上がってしまって、すぐに報告してくれたよ」


「そうですか、喜んでもらえてよかったです、ハハ」





慶太はこのイケメンに敗北感を感じながら愛想笑いをする。そんな慶太にイケメン主人は近くにより小声で話しかけてくる





「それとだね、君をこの宿に泊めるには条件がいるんだよ」


「そうなのですか?」


「うちの娘のカーリーに絶対に手を出さないと約束しなさい」


「……」





慶太は思った奥さんのアリーナさんならOKですか?っと





「どうなんだ?うちの娘はあまりに美人過ぎるから悪い虫が付かないか心配なのだ」


「……」





宝塚ジェンヌのアリーナの娘なのだから遺伝子としては相当優秀なものであることは明白である





「あー、お父さん、慶太を泊め上げてね、ネオピの実……いっぱい食べちゃったから」


「「……」」





娘のカーリーはとても無邪気だ。イケメン主人である親の気持ちは分からないものである。これには慶太も同情する





「もしよかったら、明日も摘んできましょうか?」





この提案にはイケメン主人は驚いた





「え、君はネピオを持って帰ってこれるかい?」


「ええ、森には用事がありますからそれに一宿一飯の恩は」


「いやいやいや、君、このネピオの値段を本当に知らないんだね」


「へ?」






ちなみに人妻アリーナと元気な少女カーリーが食べたネピオの量でこの宿の十日分になるらしい



この事実を慶太が知るのはかなり後になる









美人親子のご厚意により宿に一泊した次の日




「こんなにもいい宿で寝れるなんてアリーナさんに感謝だな」



と、両手を合わせてアリーナを崇め奉る。



慶太はまたベケタの森へと足を運ぶため宿屋を出る。人妻アリーナがお見送りをしてくれることに慶太は心の底から感謝していた。





「えっと、お弁当はこれ、あと身分証だけど、この宿の宿泊券で代用が効くからこれを使ってね、それじゃあ、気を付けていってらっしゃい」





人妻アリーナのお見送りの笑顔は最高に眩しかった




男性なら誰でも思うだろう。



こんな美人が仕事の見送りをしてくれればどれだけ幸せだろうかっと。だが、残念なことに彼女は人の妻なのだ……そう、人妻……



慶太も35歳で同僚は皆、結婚しているから余計にその思いは強くなる。





だが、やるべきことがあると慶太は気持ちを切り替えて一直線に出入り口のほうへと移動する。出入り口では昨日と同じ門番がいた




気軽に手を挙げて挨拶をしてくれる






「よう、お前さんはたしかオリーブ亭の女将さんと一緒に居た」


「はい、昨日はありがとうございました」


「なに、オリーブ亭の女将さんの知り合いなら大丈夫さ、人を見る目は持っている人だからな」


「そうですかね」







すると、さっと慶太に近づき耳元でひそひそ話を始める







「それよりもさ、お前は女将派?それとも娘派?」


「どういう……」


「しらばっくれるな、あれだけの美人親子だぞ、ちなみに俺は女将派だ」







慶太は門番が何を言っているのかよーく理解できる。






「えっと、握手してもらえませんか?」


「おお!そうか、同士よ!」






慶太と門番は女将派という絆で結ばれた






「気を付けてな、あ、そうだ、今日の夕刻は俺は非番だから入れないかもしれない、身分証は発行してもらったか?」


「それなら宿泊券を貰った」


「なら大丈夫だな」






慶太は門番との別れを済ませてナギから少し離れたベケタの森へと向かう。門番や見張り塔にいる監視員から見えなくなったところで慶太は髭眼鏡を装備する。






髭眼鏡慶太の体は異次元の速さで街道を走っていた





「これはブサより確実に早いな……」






その昔、若かりし頃に乗っていたバイクの加速感と比べる。

貴重な時間を使って読んでいただき

誠にありがとうございます。

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