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勇者召喚

三か月ほど前のことだ。






大山慶太35歳独身は職探しのためにハローワークに通う日々だった。前職では会社の不正を暴露するチームの一員となり正義を執行したのはいいが、会社は倒産してしまい、社員は路頭へと迷ってしまう。会社の不正を正すことが正義だと信じて頑張った慶太だが、倒産となると皆で責任逃れが始まる。





馬鹿正直者の慶太はたった一人で悪役を背負うことになってしまい慶太は攻められ続けて次の会社に面接に行くもそのことがすぐにばれてしまう。そのおかげで見事なまでに不採用通知を連続で貰いハローワークへ行くこの細い住宅街の路地が通いなれた道となっていた。





どの会社も慶太のような人間を雇うことを恐れているのが良く分かる





慶太は失業手当で何とか生活していた






理不尽な結果に慶太はふと思うことがある。







正義とは一体何なのだろう?






正しいことって何なんだろう?っと









季節は春






とても過ごしやすい季節で新しい季節でもあり期待と希望に満ち溢れた若者が多い中、非常に暗い顔をして背中は丸まり足取りが重い慶太


ハローワークへ向かう途中のオフィスからフレッシュな声が聞こえる





「俺、今日からバリバリ仕事しますんで、よろしくお願いします」






慶太には元気な声の若者がとても眩しく思える。住宅街の細い道から道幅が広がり大通りへと出る。そのときに慶太の人生を変える出来事が起こった





下を向いて歩いていた慶太。ふと空を見上げると大きな隕石が慶太のいる場所へと落ちてきていた。慶太はこれは夢なのだろうかと目をこすりもう一度見る






確かに落ちてきていた





危ないと思い逃げ出そうする。だが、何処に逃げればいいんだとパニックになる。左右を確認して退路を探す。だが、あの大きさの隕石だ。何処へ逃げても一緒なのではと慶太は絶望しかける。






が、ある異変に気が付いた





「……?」





周りの人は誰一人と隕石に気が付いていないのだ。大通りを往来する大勢の人々は普通に歩いている。良い天気なので空を眺めている人もいるのだ。その目線の先には隕石があるはずなのに……





慶太ははっと気が付く。





オロオロしていのは自分だけでその姿を見て学生服を着た少女二人組がクスクスと笑っているのだ。慶太はコホンと咳払いをして落ちてくる隕石を見ながら涼しげな顔で歩き出す





「なんだ……幻か」





そうつぶやきながら慶太は再びハローワークに向かって歩き出す。




平静を装う慶太





まだ少しばかり肌寒い風が高い建物の間から吹き抜けるが慶太だけは汗まみれだった。明らかに慶太には隕石が見えているのだ。しかしながら、誰一人として気が付かない。だから慶太も気が付かないフリをしていたのだろう。






だが、あまりの恐怖に突如、足を止めてその場に立ちすくんでしまう。






そのせいで後ろの人は慶太にぶつかってしまい機嫌を損ねる





「おい、兄ちゃん、急に止まったらあぶねえじゃねえか」





慶太にぶつかったのはガラの悪そうな男でパンチパーマが特徴だ。いつもなら、強面の人に絡まれたらビビッているビビリ慶太なのだが、刻一刻と迫る慶太にしか見えていない隕石に怯えていた。次第に隕石の大きさがわからなくなるまで接近していた。





「なんや、返事もできんのか?」





パンチパーマは一切返事をしない慶太の態度にイラついていた。もちろん、慶太はパンチパーマのいう事などは一切聞こえていないのだ






ついに隕石は慶太にぶつかる寸前のところまで迫る。





目を閉じて身構える慶太





体が強張り全身の筋肉が収縮して緊張している。そして体の細胞の一つ一つの動きが手に取るようにわかる。慶太は自分の体が自分の体ではないように感じていた





どのぐらいたっただろうか?





いつまで経っても慶太の体に隕石がぶつかる衝撃がこない。なんだか時間が止まったかのような錯覚に陥っている慶太。恐る恐るぎゅっと強く閉じていた瞼を少しだけ開き様子をうかがう。すぐに慶太の視界に入ってきたのはレッドカーペットの上に仰向けに倒れこんだ少女だった





「……へ?」





少女のとても長い黒髪が床いっぱいに広がっている。人が倒れているのでこうしてはいられないとすぐに倒れている少女に駆け寄る





「おい、大丈夫か?」





倒れた少女は綺麗にお化粧をしていた。化粧した子は慶太の母校である高校の学生服を着ていることから高校生だとわかる。近くに駆け寄ってみるとどうやら息はあるみたいでホッと胸をなでおろす。




だが、正規の制服ではなく裾丈が短い、その制服が着崩れていてとてもエロイ格好になっていた。





更に発育がいいのでなおのこと目のやり場に困る。流石に女子高生に手を出しては犯罪だと理性が働く慶太。冷静になるべく深呼吸をする。改めて周りを回すと見たことのない風景に驚いてしまう




薄暗く建物の中にいるのは分かるのだがあまり見たことのない構造をしている。そして、長ーいレッドカーペットの一方はとても大きな扉に繋がっている。もう一方は祭壇のような場所に繋がっている。そして、祭壇の上にはとても立派な椅子があった。





「うぅ……」





お化粧した高校性が目を覚ますとかなり驚いた様子





「よかった……大丈夫か?」





お化粧した高校生は頭を抱えたまま体を起こしてレッドカーペットの上に座り込む





「ああ、ん?あんた、誰だ?」


「え、いや……俺は」





ちょこんと座り込んだ状態の上目づかいで質問される。しかし、見た目と言葉遣いのギャップに慶太は少し戸惑っていた。慶太の人生で女の子に上目づかいで話をされたことなどなかった。容姿はかなりハイレベルの女子高生。モデルやってますと言われても納得できるほどだ。





だが、ヤンキー口調だった……





「沙織~大丈夫~?」





慶太の後ろからおっとりと間延びした女の子の声が聞こえてくる。少女沙織というよりヤンキー沙織は間延びした女の子と親しいのだろう





「ああ、あたいは大丈夫、あかりは大丈夫か?」





と、男前の返事をしながら、相手を気遣う優しさを持つ沙織。長い髪をかきあげる仕草はかっこよかった





「うん、わたし~は~大丈夫~」





あかりの持ち前の口調で本当に大丈夫そうに思えるから不思議ものだと関心できる





「おい、どうなっているんだ?」





今度は男のくせにロン毛だが清潔感のある男の子が現れる





「あ~恭也くんもいる~」


「ああ、あっちには琴美もいるぜ」





ロン毛は制服を着ていて間延びした女の子と親しいようだ。それにこの子達は皆、2-Aというバッチを付けているのでクラスメイトであるようだ





「それよりさ、ここどこなんだ?」


「どこなんだろう~?」


「知らねえよ、こっちが聞きたいさ」





慶太の近くにいる三人の視線が一点に集まる





「いや、ごめん、俺も……分からないんだ」





慶太の言葉に三人はがっかりした表情を見せる。なんともやるせない気持ちになる慶太。助け船を出してくれたのはヤンキー沙織とロン毛の恭也だった





「まあ、仕方ねえよ。あたいらと同じぐらいの歳みたいだし」


「そうだな、君は何処の高校?」





正直、慶太は二人の質問に非常に戸惑っていた。それもそのはず、慶太は独身といえど今年で35歳になる。高校生と比べればほぼ倍の人生を歩んでいるのだ




だが、慶太は体の違和感に気が付いた。




高校時代に運動部に所属していた経験がありそれなりの体をしていた。だが、30を超えてから運動をあまりしなくなったせいで腹は出て二の腕もぷにぷにだったのだ。それが、腹筋だけではなく全身が当時の筋肉量になっていた。慶太はこのことを踏まえて少し考えてから出身の高校を答えた





「君たちと同じ高校だよ」


「ええ~見たことないですよ~」


「まっ、そうだよな……なぜなら」





慶太が答えかけた時、突如として大きなカーテンが開かれる。カーテンが開くとレッドカーペットの左右にはとても大きな窓が現れる。窓からは日の光がしっかりと注ぎ込まれて室内を明るく照らしてくれる





「よく来た勇者達よ」





図太い声が室内に響き渡る。声の主は祭壇のわきから登場して慶太達に近づく。窓から入ってくる日の光は祭壇わきから登場した人物の頭部を照らす




慶太達には登場人物の頭部の光がとても眩しかった。そのせいで、声の主を直視できい状態での話し合いに入る。





ヤンキー沙織は頭部の反射光を手で遮りながら不満をぶつける





「おい、ここは一体、何処なんだい?それに、あんたは?」


「ふん、口の聞き方がなってない娘だな」


「沙織~言い方~考えてよ~」





間延びした女の子は怒っているのか焦っているのか分からないが、沙織の言葉遣いを注意する。そして彼女もまた眩しいので手で光を遮り眩しさを軽減していた





「すみませんがここはどこでしょうか?それに、勇者というのは一体どういうことなのでしょうか?」





慶太は眩しいのを我慢して女子高校生の前に出て大人の対応をする





「ここはガイル王国の王城、そしてお前たちは召喚された勇者候補だ」





なんとも簡単な説明だけで光り輝く頭部をもつ男性の話は終わったしまった。





「おい、すぐに選定に入る。例の物を」





パンパンとかしわ手を打つとどこからともなくメイド服を着た女性たちが武器や防具を持ってくる。






綺麗に並べられた剣や槍、弓に盾とどれもとても綺麗な装飾が施されている。だがどの武具も人が扱うにはかなり厄介な大きさだ。盾に至っては見上げるような大きさであった。





「では、前に出て神器が光ったら手に取ってくれ」





本当に詳しい説明がないまま光り輝く頭部はことを運ぼうとする。物事を把握できないのに苛立ちが募るのかロン毛の男子高校生は






「ちょっと待ってください、一体、これらは何なんですか?」


「説明するよりもやってみるのが早い、誰か前へ」


「うん、やる……」






先ほどまで一切存在感のなかった琴美と言われる赤毛の女の子が武器や防具の前に出る。すると、ぼんやりとロングボウが淡い光をだした。




琴美という女の子がロングボウに近づくと更に光が強くなった。ロングボウに触れた瞬間、物凄い光を放つ。やがて光が収まると琴美のサイズにぴったりのロングボウを手にしていた。ただ、普通の木のロングボウではなく蔦が絡みついている弓で弦はとても綺麗に輝いていた





「これは?」


「君は弓の勇者だ、まさか一人目から適性者が現れるとは今回は当たりのようだ」





どうやら神器に選ばれるのは特殊なことのようだ





「では、次を」





光り輝く頭部に促され選定が行われる。





ロン毛の恭也は剣の勇者。


まさしく勇者にふさわしく聖剣と呼ばれている剣らしい。






間延びした女の子あかりは槍の勇者。


その名をロンギヌスといい二股の赤が特徴の槍だ。






ヤンキー沙織は盾の勇者になる。


大盾と呼ばれる種類で沙織の体がすっぽりと覆うことが出来る程の大きさがあり表面には物凄い装飾が施されていた。





「素晴らしい、今回は4人も神器の勇者が現れるとは」


「神器の勇者?」


「そうだ、まさに神器に選ばれる人間だ、しかもその装備はジョブレベルが存在する、そう成長するのだ」





レベルと聞いて複雑な顔をする高校生達





「では、最後は君だ」





慶太の番が回ってきた。慶太は神器達の前に出る。すると、武具が飾ってある棚の裏から光が見えるのだ





「ま、まさか……!」





棚の裏の光を見ると偉そうにする頭部の光が更に光る。何かを知っているかわからないが驚きを隠せない光る頭部。ハゲ野郎の反応に慶太は期待できると意気揚々と棚の裏に回ってみるが





「ま、まさか・……」





棚の裏に回ってそれを一目見ただけで光る頭部と同じリアクションをとる慶太。例外なく慶太がそれに触れるとすごい光を放つ。そして、慶太はそれを装備するか迷った。棚の裏で唸りながらもがいている慶太に高校生たちは声を掛けてくれる。





「おい、何を引いたんだ?」


「どうしたのですか~?」


「おーい、早く戻って来いよ」


「……」





慶太は高校生たちに呼ばれたのはいいが反応に困った。しかし、大人としての威厳がこれを使うことを躊躇ってしまう。だが、覚悟を決めて慶太は自分のそれをお披露目する。





「ぷっ!」


「あはっ」


「ブハ!」


「……(笑いを堪える)」





高校生達は大爆笑だった。





それもそのはず、慶太のそれは赤いフレームが特徴の髭眼鏡だったのだ。





慶太は髭眼鏡が光ることによって髭眼鏡に選ばれて髭眼鏡の勇者となった。髭眼鏡を掛けた慶太の顔はレッドカーペットの敷かれた玉座の間にいる人々に笑いをもたらす。先ほどまでは高校生達だけが笑っていたが、それにつられて周りにいるメイドさんや騎士の人たちまで笑い始めたのだ。





「ふむ……」





ただ一人、頭部が光り輝く人だけは真剣なまなざしで髭眼鏡を見つめる。慶太の近くで真剣に見つめる。息遣いが聞こえる程近いために気持ち悪くなった慶太。





「なるほど」





間近で見つめること数分、ようやく光り輝く頭部が慶太から離れる。ウンウンと頷きながら祭壇のほうへゆっくりと歩いていく。なにを納得したのか皆、頭を傾げて不思議に思う





「何一人で納得してんだっての」


「沙織ちゃーん、聞こえちゃうよー」





あまりに理解苦しむのでヤンキー沙織は苛立つ。それをおっとり娘のあかりがなだめる。沙織達の会話は気にせずに光り輝く頭部は慶太のほうにくるりと振り向いて





「では、仮面の勇者はすぐに出発しなさい」


「か、仮面の勇者?」


「その通り!まさしく伝説の遊び人が愛用していた仮面の勇者」


「遊び人……」


「そうだ、伝説になるほどの人が愛用していたのだ、喜べ」


「で、出発ってどこへだ?」





光り輝く頭部はかしわ手を打って近くにいる騎士を呼び、慶太達には聞こえないぐらいの小声で話をすると騎士は理解したのか首を縦に振り相づちを打って駆け足で部屋を出ていく





「今し方、出発する準備を取らせた。場所については馬車を用意したのでこちらで連れていこう」


「……そんなに急ぐ必要があるのか?」


「ついでの用事も一緒にやりたい、税金の無駄遣いはしたくない」


「……わかった」





慶太は納得して騎士の後をついていく。慶太は高校生たちが心配だったがレッドカーペットの間を後にした。


慶太と騎士が通路を歩いていると石畳に靴の音が反響して音が鳴る。その音を聞きながら静かに慶太を見送る高校生達。そして、その音が少しずつ小さくなるのを確認する




慶太がレッドカーペットの間を出てから少し経ったぐらいから周りが慌ただしく何かの準備を始めた。取り残された高校生達は落ち着かない様子でキョロキョロと辺りを見回す。





「おいおい、何が始まるんだ?」


「さぁー?」


「俺たち、どうなるんだろう?」


「……」





4人ともかなり緊張しているのだろう神器を握る手に力が入る。





しばらくすると慌ただしさが治まり光り輝く頭部も祭壇の下で膝をついて首を垂れる。高校生達の周りにいる騎士やメイド達も祭壇に向かって礼をする。すると、祭壇の上にある立派な椅子の影から豪華な服を着たナイスミドルな男性が現れる。





そして、声も低くて太い声で迫力がある。





「この者たちが神器に選ばれしもので良いのか、宰相」





そう言いながらマントを翻して颯爽と豪華な椅子に座る





「はい、この者たちでございます、王よ」





ナイスミドルは光り輝く頭部に向かって話をしていた。どうやら光り輝く頭部の持ち主はこの国の宰相という立場の人だった


そして、王と呼ばれるナイスミドルはイスにどっしりと座ったまま蓄えた髭をなで高校生達をじっと見つめる





「なるほど」





何が なるほど なのか分からない高校生達。だが、王様は威圧感があり、どうにも話ずらいといった感じだ。


王様の威圧感のせいで、剣に選ばれた恭也は何かを話し出そうとするのだが話し出すタイミングが分からずに無言のままでいた


しかし、ヤンキー沙織はそんなものはお構いなしに堂々と王様達に物申す





「なあ、何がなるほどかわらないんだけど、それにさっきから詳しい説明が一切ないんですけどね」


「おいおい、相手は王様だぞ、そんな言い方していいのかよ」





恭也はヤンキー沙織の口調に恐怖を感じていた。


しかし、王様はヤンキー沙織の口調は気にせずに質問に答える





「君たちは勇者として召喚された。そして、その素質を神器が判断した。それ以上でも以下でもない」


高校生達は勇者という単語に反応した


「おいおい、だから、なんなんだよ勇者って」





ヤンキー沙織は舌打ちをする。





「はぁ~、勇者~ね~」





おっとり娘あかりはため息をつく。恭也だけは意気揚々とした顔立ちになっていた。もう一人の琴美という少女は表情が乏しい。完全に無表情であった。


意気込む恭也と苛立ちを募らせている沙織、あきれるあかりを少し離れた位置から眺めていた。



ヤンキー沙織はぶっきらぼうに王様に話しかける





「で、勇者って何すんだよ?」


「貴様、先ほどから黙っておけば王に向かって……」


「よい」


「ですが」


「よいと言っておる」





ヤンキー沙織の態度にしびれを切らした光り輝く頭部を持つ宰相はヤンキー沙織の態度を咎めようとする。




だが、咎めようとする光り輝く頭部を抑止する王様。その王様の迫力は凄まじくその場にいるものは恐怖した。





「はっ」





一度は食ってかかったものの王様の威圧感に圧倒される。光り輝く頭部は宰相としての立場がある。




だが、王様が良いと言っているのでそれ以上は何も進言できなかった。王様は自ら高校生達に説明をし始めた





「では、儂から説明しよう。君たちは魔王から我が国を救うべくして召喚された勇者だ。だが、その勇者として呼ばれても素質の無い者もいる。その素質を見極めるべく我が国に伝わる伝説の武具によって選定しているのだ。そして、君たちは選ばれた。君たちは選ばれしものなのだ」


「わかりました。頑張ります!」





威勢よく返事をしたのは恭也だった。王様の言葉に感化されたのかその瞳は輝いていた。





「ちょ、待てよ」


「うん、やっぱり変だよ~」


「……」





ヤンキー沙織とおっとり娘あかりは不平不満があるようだ。一人はやる気満々で二人は不平不満を募らせ一人は無表情という高校生勇者達。ここへきて初めて口を開く琴美は真っ当な質問を王様達に投げかける





「家に帰りたいです」





この言葉に光り輝く頭部をもつ宰相は





「それは出来ない」


「おいおい、なんでだよ?」


「お前たちはまだ自分の立場が分かっていないのか?」


「あぁ?」





ヤンキー沙織の態度はまさに喧嘩上等で宰相に食って掛かる。そんなヤンキー沙織の態度に強気の光り輝く頭部は冷たい視線で沙織達を見下す





「まあまあ、ここは人助けだと思って」





恭也はヤンキー沙織をなだめる





「なんだよ、お前は帰る気がねえのか?」


「いや、そうじゃないよ」


「だったら何だって言うんだよ」


「人という字は支えあっているというのを聞いたことあるだろ?」


「えっと~恭也くん、本音は~?」


「うん、面白そうだから!」


「あほか」





恭也の発言に呆れてモノが言えないヤンキー沙織とおっとり娘あかり





「剣に選ばれしものよ、お主はやる気があるようだが」


「はい、やる気十分です。マックスです」





王の言葉に調子のいい返事をする恭也





「ならば、すぐにでも手合わせをしてみろ、ジェイドはいるか?」


「は、はっ」





大柄の男性で全身鎧を着た兵士が緊張気味に返事をする。そのせいで少しばかり声が上ずっていた。だが、そんなことは気にせずに王様は自慢げにジェイドを紹介する





「この国ではかなりの強者だ、相手にとって不足はないだろう、剣に選ばれしものよ」






正直何も考えていないのだろう恭也は





「ありがとうございます、頑張ります」





やる気に満ちた恭也はジェイドという男性と握手をすると、すぐさま玉座の間を後にする。ヤンキー沙織はふと、もう一人いたことを思い出す





「そういえば、もう一人いたけど、あいつはどこへ行ったんだ?」





その質問に光り輝く頭部の宰相は答える





「王が言われた通りだ。選定して選ばれたものがここにいる。それ以外は素質の無い者だ」


「ちょっと待てよ、それって……」


「言っておくがお前たちに拒否権はないと思いたまえ。彼のようになりたくなければね」





宰相の言葉に恐怖する女子高生達。その後、大人しく従い神器についての説明ややっていく仕事などを貰った。ただ、この話を聞いていない恭也。その当時、恭也は自分の置かれた立場には気が付いていなかった。

貴重な時間を使って読んでいただき

ありがとうございます


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