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プロローグ

よろしくお願いいたします

伯爵家の領府となっている都市ナギ。領内は大規模な穀倉地帯であり王国にとっては重要な食料の供給地。どうやら収穫祭を行っているようで大通りではお祭り騒ぎの賑わいだ。




そんな大きな街を上空から一匹の魔人が見降ろしていた。魔人は飛行魔法を使いこなしており空中を優雅に歩いてた。しかし、人間の騒がしい声が耳障りで仕方なかった






「・・・・・・チッ」






頭からは触角が生えていて肌は青白く八重歯がとても大きい魔人は苛立ちを覚える。どうやら騒がしいからではなく人間そのものを許せないようだ。魔人は今まで聞いたことがない呪文のようなものを唱え始める






「أنا أحب كبير الثدي」






魔人の周りに魔法陣が浮かび上がり魔法陣の光が一瞬にして都市の一部を爆炎に包む。




そして……






「「「うわあああああ」」」







地上では逃げ惑う人々。我先にと、生き延びることだけを目的に右往左往とする人たち。そんな人々を見て鼻で笑う魔人は空中散歩しながら高度を下げていき人間の街へ降り立つ。先ほどの魔法でがれ場となった街の一角。人々の往来で賑わっていた場所がまるで地獄の絵図のようになっている




その一角を堂々とした姿で闊歩する魔人。魔人の姿は人々から畏怖の対象として恐れられる。そんな中、子供の声が聞こえる






「えーん、えーん」






魔人は声がする方に視線を移す。すると、幼い女の子が親とはぐれたみたいで大粒の涙を流しながらフラフラと歩いていた。




何を思ったのか魔人は女の子に近づき、手を差し伸べる。だが、どう見ても魔人の手はみるみると大きくなり、ついには女の子より大きく簡単に握り潰してしまえそうだ。




そして、次の瞬間






ガッキーン






鋭く尖った爪が女の子に襲い掛かる。





「ん?」






魔人は違和感を感じた。それと同時に魔人は自分の後ろに気配を感じている。




魔人は握りつぶした女の子を確認しようとせずに後ろの気配に話しかける






「何者だ?」




「宿屋で居候しているもんだ」






魔人の後方には自称勇者が女の子を抱きかかえて立っていた。




魔人に対する返事はとてもやる気のない返事だ。そう、彼からは一切の覇気は感じられない







「なんだ、貴様は?」




「通りすがりの一般人だ」







なんもと覇気のない慶太は頭をポリポリと掻きながら魔人と会話をする






「危なないからあの建物の向こう側へ行きな」






慶太は女の子を避難させる。魔人は慶太に異様なまでの警戒をしていた。確かに魔人に対する返事に対しては一切の覇気を感じられないのだが、魔人の本能が嫌な違和感を拭えないのだ






「ふざけているのかキサマ」




「いや、ふざけてないよ」






魔人は慶太のほうを振り向き慶太の姿を目の当たりにした。慶太の姿を見たとたんに酷い怒り始め大声で慶太に罵声をかける






「やっぱり、ふざけているではないかー!」






怒鳴り散らす魔人に対して慶太のトーンは低い






「ああ、格好のことは気にしないでくれ」






なんとも覇気のない自称勇者慶太はパーティグッズでありそうな髭眼鏡を掛けピエロが着るような。かっこ悪いデザインの服を着た青年だった




髪の色は珍しく真っ黒の短髪だ。だが、魔人にとってはその様な些細なことはどうでもいいのだ。




髭眼鏡という格好はまさに挑発行為にとれる




慶太の姿を見れば見る程、怒りがこみ上げてくる魔人。そんな慶太のせいで感情の起伏が激しくなるのを魔人本人も感じている。だが、抑えることが出来ない感情だった。






「キサマ、俺は魔人だぞ、なのになんだ、そのふざけた姿は、聖十字騎士団を壊滅させたこのグレール様を侮辱しおって、万死に値する」




「いや知らないし、それよりさ経験値が欲しいんだ、攻撃してくれないか?避けないから」






慶太は平常運行だ。慶太の言葉は魔人グレールの感情を逆撫でる






「キサマ、ふざけているのか!……まあ、いい、どうやら死にたいらしいな」






額に浮き出る血管は魔人グレールの感情をよく表している。先ほどまで青白い肌だったが真っ赤に染まる。肌が赤い色へと変色と同時に周りの空気がピリピリをする。かなりのマナが魔人グレールに集まっているのが素人でも分かるほどだ。人の死をなんとも思わない魔人は遠慮や躊躇をしない






「ふん」






予備動作なく とてつもない威力のマナ弾を慶太に放つ。すると、慶太は反応が出来なかったのか、魔法を避けることなく正面からまともに食らうのだ






「はっ、たわいもない。人間なんて所詮……」






物凄い威力のマナ弾の影響の煙で視界が悪かったが徐々に慶太の姿が見えてくる。少しずつ見えてくる慶太の姿に顎が外れそうなほど大口を開けて驚く魔人グレール






「なあ、こんなもんか?」




「……なっ」






魔人グレールは慶太の姿をはっきりと確認すると額から汗を流す。それもそのはず、かなりの威力がある魔法弾だった。その証拠に慶太の後ろにあった建物は魔法弾の余波で崩壊していた






「もっと火力でないのか?本気で来いよ、経験値稼ぎにならないだろ」




「ふっ……どうやら勇者というのははったりではないらしいな、ならば!」






慶太の挑発に乗った魔人グレールはスキだらけの長ったらしい詠唱を始める








「أنا أحب كبير الثدي أنا أحب كبير الثدي أنا أحب كبير الثدي أنا أحب كبير الثدي 」








長い詠唱なのだろうと暢気に構える慶太は大あくびをして詠唱が終わるのをその場待ち続ける。そして、魔人グレールの詠唱が終わると凄まじい威力であることを慶太に伝える






「すでに我でも止めることはできない!さらばだ」






先ほどとは比べ物にならないほどの大きさのマナ弾が超高速で慶太に向かって飛んでくる






「ぬおおおおおお」






魔人グレールはかなりの力を入れてマナ弾を慶太へとぶつける。だが慶太は避けることはせずにマナ弾を受け止める。マナ弾の威力は凄まじく慶太の周りの空間を歪める。凄まじい威力のマナ弾を撃ちだした魔人グレールはその場で膝をつき息を切らせる。そして、慶太の姿を見て目を見開き驚き、絶望しながら怯える。






「冗談じゃない、貴様は……人間なのか?」






慶太の後ろにあった背の高い城壁はものの見事に吹き飛んでいた。しかし、慶太の周りはかなりの砂ぼこりが待っていたが慶太本人は何事もなかったように同じ場所に立っていた。髭眼鏡にピエロが着るようなデザインの服も新品同様だ。






「まあ、一応な。それよりもがっかりだぜこの程度か?経験値が入らないんだけどな……まあ、いいか、それじゃあ、終わりにするぞ」






終わりにするぞっと言った瞬間に魔人グレールは慶太の姿が見えなくなっていた。慶太はまばたきするよりも早く相手の後ろに回り込む。魔人グレールは、気配だけを頼りに裏拳繰り出す。





「ちくちょう、俺様の後ろを取るな!」






その裏拳は残り僅かなマナを一点に集中したもので凄まじい威力だった。一振りするだけで少し離れた建物が崩れていく。







だが、慶太には当たらなかった






「馬鹿なバカな……ばかな」





魔人グレールが目で慶太を確認したときには死を覚悟した。しゃがみこんでいた慶太は蛙飛びアッパーを炸裂させる。そのパンチの威力は一撃で魔人グレールの頭部を吹き飛ばして倒してしまうのだ。






「あーあ、期待外れだったな」






慶太は魔人に期待していたのだ。だが、今回も経験値を得ることなく戦闘が終了した。肩を落として本当に残念そうに裏路地へと姿を消していった。




「まあ、守れたからいいかな」




慶太はある方向を向いて思いにふける。







慶太は今後、もっと強くなってモット経験値が入らない状況に陥ることをこの時はまだ知る余地はなかった。

貴重な時間を使って読んでいただき

ありがとうございました。


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