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Love and study  作者: 挨心
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真純の過去と風雅の思い



僕は中学校の時全生徒が名前を覚えるほど賢くて有名だった。


僕は県内トップの高校に行くことになっていた。


しかし三年の夏、僕は急に真純のことが気になりだした。


目を離すとフッと消えてしまうんじゃないかとそんな感じだった。


同じ小学校ということもあり親しかった。


そのせいで余計に心配だった。


僕の予感は悪いことに的中した。


ある日、僕は偶然にも真純と友達の会話を聞いてしまったのだ。


『家嫌い。家の空気がしんどい。私が生きている意味ってあるのかなって思うの。』


僕はあの言葉を聞いて思った。


本当にヤバいんじゃないかって。


でもその時は聞いていた友達の必死のフォローで思いとどまってくれた。


そんなこともあって僕はますます真純のことが気になってしまったのだ。


進路のことを考えるとき僕は真純のことが気にいなって仕方がなかった。


同じ高校に行って守らないといけないとかそんなことを思ってしまった。


でもやっぱり必要ないと思った。


真純には多くの友達がいる。


だから僕は普通にしとけばいいと思った。


だがそんな考えもすぐになくなった。


そろそろ高校を決めてもいいだろうという頃に事件は起きた。


朝、僕が学校に着いて教室への階段を上がっていると、三年の廊下の方から女子の不敵な笑い声が聞こえ

た。


朝早かったため、みんなはまだ学校に来ていなかった。


僕は反射的に戻ろうとした。


しかし次の瞬間僕は階段を駆け上がっていた。


それは真純の


『キャッ』


という悲鳴が聞こえたからだ。


階段を上り切った僕の目に飛び込んできたのは真純に二人の結構ヤバい女子が殴りかかろうとしていると

ころだった。


僕はあくまでも感情的にならずに


『何しているんだ!』


と言った。


女子二人はこちらを見て舌打ちすると廊下を曲がってどこかへ言った。


真純は僕を見て緊張の糸が切れたように泣き崩れた。


僕はとりあえず真純を保健室に連れていき教室に向かった。


事情は分からないがただ事ではないはずだ。


そんなこともあり僕は真純と同じ高校に行こうと決めたのだ。


同情ではない。


あのような卑怯なやり方に苦しむ真純がいるなら助けたいと思ったからだ。


僕に夢はなかった。


ただ両親が賢い高校に行けと言うから行くだけで別に僕はどんな高校でもよかった。


だから真純に合わせるからって人生を棒に振るとまではいかないのだ。








僕の脳は家に着くまであの出来事を思い出していた。


僕は立ち止まり二メートル近くある門を見上げた。


住宅地の中でもひときは目を引くこの大きな門。


僕は柱に取り付けている機会に暗証番号を入力した。


門が開き僕が入ると静かに閉まった。


数十メートル先には小学校一つ分くらいはある建物がそびえだっていた。


あれが僕の家だ。


家の玄関までは綺麗な花壇を二つに割るように伸びたコンクリートの道がある。


ドアの前にたどり着くと執事さんが僕のためにドアを開けてくれた。


迎えてくれたのはお母さんではなく家政婦さん。


家政婦さんは優しい笑顔を僕に向け、


「お帰りなさい。」


と言った。


僕は軽く会釈し自室に向かった。


そのままベットに倒れこみ眠ってしまった。


明日は朝シャンだな。








キーンコーンカーンコーン。


六時間目終了のチャイムが鳴った。


今日もあっという間に終わった。


ホームルームは思ったより短かった。


真純は今日も部活だ。


今年で最後だもんな悔いを残すなよ。


「風雅。ほんま変わらんな。また見つめてるし。」


「み、見つめてないって。」


また焦ってしまった。


「まあ、いいけど。」


真純が手をひらひらと仰がせて言った。


「風雅。」


急に真剣な顔になった。


僕も気を引き締める。


「実はな、英さんが榊先生に告白してん。」


・・・。


えーーーーーーー!!


僕の脳は珍しく理解するのが遅れてしまったようだ。


「そ、それ本当!?」


僕はたぶん無理だが、


落ち着いて聞いた。


「・・・フフ。嘘や。」


「えっ。嘘?」


僕はどう反応したらいいのか分からなくなった。


普通の人なら面白がってこんな嘘はつくのだが、


皇ほどの賢い人がこんな嘘をつくなんて普通あり得ない。


「風雅、怒ってる?」


皇が恐る恐る聞いてきた。


「いや怒ってないけど。どうしてそんな嘘をつくんだ?」


僕は皇に聞いた。


「嘘っていうか、まあ予定やな。英さん近々告白するらしいで。」


・・・。


またもや僕の思考速度が遅れてしまった。


告白の予定?!


いやこれも嘘かもしれない。


僕は皇の顔を見た。皇はどうしたん?


と言いたげな顔をしている。


嘘ではないのか?


「皇。それは本当か?」


「ほんまに決まってるやん。」


嘘だろー!


・・・危ない危ない。


本当に叫びそうになった。


そんなことしたら僕のイメージが台無しになってしまう。


僕は頑張って落ち着き皇に聞いた。


「どうやって知ったんだ?」


「私のお友達が教えてくれてん。はっきりした日付までは分からへんけど、そう言ってたわ。」


お友達というのはおそらく情報屋のことだろう。


「分かった。ありがとう。」


「風雅、今めっちゃ焦ってるやろう。


あれからアプローチしてないんちゃう?」


「あれからって皇が教えてくれたの昨日じゃないか。」


「ちなみにこの情報は今日の朝入りました!」


皇がおどけたように言う。


「まあ風雅。今回は情報入ってくんのが遅かってん。仕方ないやろ。だいたい生徒と教師ってないやろ普

通。」


それは僕も以前思ったことだ。


「今からでも本気でアプローチしたら間に合うやろ。でも遅かったら知らんで。」


「分かった。皇いつもありがとう。すごく助かってる。」


皇は僕の言葉を聞くと教室を出て行った。



                       続く

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