第五話 頑張れ曽山君
ぶっすぅぅぅぅぅぅっ。
そんな効果音を使っても、やりすぎでもないような顔をした後輩がソファに腰掛けている。
かなり不機嫌そうだ。
「君。そんなブッサイクな顔をしている暇があったら、さっさとそこの書類片付けてくれる?」
僕の言葉で、彼女はより不機嫌になった。
「先輩のせいで友達が休んじゃったんですが」
「・・・・は?それは君のせいの間違いじゃないの?」
「百パー先輩のせいですよ」
「何?僕が事の発端ってわけ」
「そうです」
「そっちから僕に襲い掛かってきたんでしょ」
「ぅ・・・そうですけど・・・・」
僕に口喧嘩で勝てっこないのに、喧嘩を売ってくるところがおもしろい。
「そうですけど、何?」
「・・・・あーもーわかりましたよ。悪いのは私です、ごめんなさい!」
「あ、そ。じゃあ、こっちの書類も片付けてね」
僕は、山になっている書類の上に、新たな書類を追加した。
何を思ったのか、かなでは不意に立ち上がって叫んだ。
「何スかこの状況!まるでサディストな風紀委員長とド●ーム小説のヒロインみたいになってるんじゃないですか!」
「・・・は?何言ってるの、君」
「何も何でも、この状況を変えてほしいんですが!」
僕は自分でもわかるほど不敵な笑みを浮かべた。
「じゃあ、僕がライターのことを校長に言えばいいんだね」
「何でそうなるんですか!」
「じゃあどうするの」
「あーもーわかりましたよ!私の負けですごめんなさい!」
かなでは一方的に会話を断ち切って、再び書類にペンを走らせた。
「・・・今日の僕へのイタズラを考えてて、書類が進まなかったってわけ?」
僕は、「沢尻エ●カLOVE」とかかれた会長専用の書類をひらひらさせた。この前は、あ●やだったね。
「え〜と・・・・その」
「・・・・謝らなくていいから、お茶買ってきて、お茶。僕のは一番値段が高い奴ね。」
「わかりました。・・・えっと・・・私のは?」
僕はフッと鼻を鳴らして、
「君は一番安いお茶でいいでしょ」
と言った。
かなでは顔を引きつらせて、生徒会室を出ていった。
僕はそっと、かなでの仕上げた書類を見た。
「・・・・・・ん?」
端っこに、[むっきゅん、バリーヌ、LOVE]と書いてある。
・・・こんなところで著作権に気を使う話題は持ち出すなよ。
僕は消しゴムでその文字を消し去った。
「ったく。何だよあの生徒会長は!」
私はブツブツ言いながら購買に行った。
いや、だって本当にむかつくんだもん。
何だよアイツ、人のことを[君自体安いからお茶も安くていいでしょ]みたいなこと言いやがって(そこまで言ってない)!
購買の飲み物コーナーに行こうとした私は、ふと足を止めた。
私が足を止めた場所は、お菓子コーナー。
可愛くて、おいしそうなお菓子が並んでいるので、思わず足を止めてしまった。
・・・・アイツの金だし、お釣でお菓子でも買おう。
私は飲み物コーナーへ向かい、一番安いお茶と一番高いお茶を買おうとしたけど、やっぱりやめて両方高いやつにした。
そして再びお菓子コーナーへ向かった。
たくさんあるので、たくさん買ってしまった。殺される可能性大だね!
私が[巷では変態と噂のナッポーさん]のキャラソングを鼻歌で歌っていると、仲の良いクラスメイトの男子が話しかけてきた。
「こんちゃー曽山君」
彼の名前は、曽山君という。
「ねぇ、柿野」
「何?」
「お前さ、あの綾崎先輩と一緒に生徒会してるらしいけど・・・付き合ったりしてるの?」
「・・・・ふぁ?」
間抜けな声が出てしまった。
「・・・・付き合ってないよ」
「へぇ・・・そう。よかった」
・・・・・・え?
えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
「あのぅ・・・良かった、って?」
「わかってるよね・・・で、返事は?」
・・・・・・・・・・・え?
えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
どうする私。ひとつでもミスを犯せば死亡フラグだぞ・・・
どうするんだ私!!
「遅いよ」
やっとかなでが帰ってきた。
「いや・・・すんません」
「しかも何でそんなに余計なものがあるの」
「余計なものじゃないよ!砂糖は脳の栄養だよ!」
「あっそ・・・・で、なんでそんなに遅かったの」
「え、っと・・・」
「何?早く」
「告白・・・されました」
「・・・なんていったの?」
それにしても、こんな子に告白するなんてその男子も物好きだね。
「え〜〜〜〜と・・・」
「早く」
「私、むっきゅんとバリ様しか好きじゃないって言った」
・・・かわいそうだね、その男子。
今日の日記。 五月十三日。
なんか告白されました。
それに、なんか会長様に殴られました。
ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
殴りたいのはこっちだ!