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「小鳥さんですか?」


 話かしけてきた高校生の女子。


 二人いる。


 片方は眼鏡でショート。


 もう一人は、ぱっつんロング。



 声をかけてきたのは髪の短い眼鏡をかけている方だった。


 着ている制服から同じ高校、胸に付けている青いリボンの色から――僕達の後輩であることがわかった。



「そうですけど」



 僕の右どなりでコトリはその質問に答えた。


 声のトーンはいつも通り抑揚がなく感情が読み取れない。



 けれども……そのそっけないともいえる返答を聞いた女子二人の顔……なぜかパッと明るくなった。



「やっぱり! そうじゃないかと思っていたんです!」



 理由はわからないが、二人手を取り合って飛び跳ねている。


 僕から見てもけっこうな喜びようだった。




「…………」



 コトリは無言だ。


 静かにその様子を見ていた。




 髪の長い子がこちらに視線を向けた。



「私、ファンなんです!」



「え?」


 僕はその余りにも想定外といえる事態、その『ファン』というにワードで間抜けな声をあげてしまった。



「……」


 コトリは一言も発しない。




 何が起こっているのだろうか。


 この状況を全く理解できなかった。



 どうしてコトリにファンがいるのだ、と考えていた。


 コトリは芸能人ではない、校内で有名になるほどスポーツに長けているわけでもなく(本人には云いにくいのだが)顔がいいわけでもなかった。


 成績は良好だが噂になるほどではないだろう。


 これらを考える限り彼女にファンがいる理由が思いつかなかった。



「すまないけど、確認したいことがある」



 僕は話を切り出した。


 飛び跳ね喜ぶ二人の後輩女子はこちらを向いた。



「何でしょう?」


 一人はきょとん、もう一人は少し怪訝な顔。



「聞くけど、ファンって?」



「小鳥さんのです」



 それは何となく想像できたのだけれども、


 何の話だ――


 理由が解らなかった。



「……ファン、どうして?」



「だって有名じゃないですか?」



「コトリが?」



「はい」



 彼女の表情から何でそんな質問をしてくるのだろう?


 ――という感情が読み取れる。



 そう意味では僕と同じなのかもしれない。


 僕と彼女達、話の根本にある情報が違う気がした。


 まあ、それにしてもコトリにファンがいる理由が思い当たらないのは変らない。



「有名?」



 どうして――



「はい。――だってあの『事件』を」



「事件?」



「はい。小鳥さんは、あの有名な事件を解決した探偵さんじゃないですか」


 コトリが探偵?


 隣りに立つコトリに視線を向ける(確認のために)が、僕には何を考えているのか読み取ることはできなかった。


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