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第十九話

なんとか早いうちに上げられてよかったです

 目を開けるとそこには見知らぬ天井が広がっていた。






 ……何を言っているのかわからないと思うが俺もわからん。


 「ここは……?」


 呟きながら体を起こす。

 外を見ても今はまだ夜のようだ。

 というか眠りに入った記憶もない。

 ……何してたっけな


 「……カズ兄?」


 扉がゆっくりと開かれて、部屋にサクナが入ってくるのが目に入る。


 「サクナ……俺は一体っ!?」


 何をしていたのか聞こうとしたところで、いきなり飛びついてくる。

 その反動を受けきれず、押し倒されるような形となる。


 「なっ……いきなり……」


 これはどうすればいいんだよ……声をかけても反応はなく、ただ俺の体に顔を埋めている。


 「……心配した」


 ポツリと言葉が漏れる。

 そして同時に思い出す。あの魔王との対戦、そして痛めつけられた記憶。

 ……思い出したら体が震えてきた。

 よく俺はあんなのと対戦できたな……再度戦えと言われたらぜってーに逃げる。


 「……心配かけてごめんな」

 「……うん」


 優しく頭を撫でる。

 少しすると規則正しい寝息を立てて体の力を抜いていた。


 「ちゃんと休ませてあげてよねー。カズヤくんのことが心配だって言って寝ずに看病してたんだから」

 「ミキにも迷惑かけたみたいだな」


 扉から顔を出してきたミキへと声をかける。


 「お前も心配してくれたのか?」

 「そりゃーもちろんね。ボクのために頑張ってくれたんだからさ」

 「そりゃどーも」

 「こちらこそどーも」


 ……なんかいいな、こういう関係。

 俺に覆い被さっているサクナをベットに寝かせてからベットに座る。


 「……で、どうなったんだ?」

 「国王は死亡。国としては半壊状態」

 「死んだって……そりゃまたなんで?」


 警備も厳重で問題なんてなかったはずだけど……


 「詳しくは知らないけどミエルに聞いた限りでは殺したのはサクナちゃんらしい」

 「はぁ!?」


 なんで? サクナと国王が顔を合わせる機会なんてないはず。

 たしかにサクナは国王を憎んでいた。でもわざわざ殺しに行くほどじゃない……


 「落ち着いて!」


 いつの間にか近寄ってきていたミキに肩を掴まれて我に返る。


 「良く分からないけどサクナちゃんは悪くないみたい。それにミエルもサクナちゃんを国王殺しとして刑罰に処すつもりはないから!」


 ……諭してくれるのありがたいけど顔近いって。


 「だから大丈夫だよ? 」


 にっこりと笑うミキの顔。

 ……心臓がうるさい。


 「ミキ……」

 「なに?」

 「顔……近い」


 多分真っ赤になってるんだろうなー俺の顔。


 「え……ふわぁぁぁぁぁぁ!? ご、ごめん!!」


 あ、真っ赤な顔が目の前に出来上がった。


 「いや……うん、別にいい」

 「……なら、いい」


 ……き、気まずい!


 「さ、さて! 話を続けようか!」

 「そうだね! えっと……コホン、それで次の国王のことなんだけどこれはちょっと揉めててね……」

 「揉めてるって……騎士団長がやるんじゃないのか?」

 「そうしたいのは山々なんだけど……王族のボクが生きてるからね」


 たしかに王位を継げる人がいるのに別の一般人が国王になるのも変な話だよな。


 「それでこれから話し合いなんだけど……カズヤくんも来る?」

 「行きたくない」

 「行くよ」


 俺の即答を即座に否定する意見が後ろから飛んできて慌てて振り返る。


 「……起きたのか、サクナ」

 「うん、だから行くよ」

 「なんでだよ……」

 「これに関しては私も責任があるから。ついて来てくれないの?」

 「もちろん同伴させていただきます」


 ……もう執事とかそんなのだよなこれ。


 「二人は相変わらずだね」


 そして目の前には爆笑するお姫様。

 なんだろうこの気持ち。いっぺん殴りたい。


 *******



 案内された部屋の扉を開けると、目に入るのはまず騎士団長。

 そして


 「そっちの人は?」


 サクナの呟きが聞こえてか、見覚えのない青年は椅子から立ち上がると優雅に一礼し、名乗り始めた。


 「お初お目にかかります。この国の第一王子のオルベルと申します。以後お見知りおきを」


 知らない人がいるって聞いてないしその人が王子とかふざけるな!

 手とか震えてきたんだけど、どうやって責任とってくれるんだよ!


 「初めまして、サクナといいます。この人はカズに……カズヤです」


 サクナが自己紹介してくれたので一緒になって頭を下げる。

 こうなるから嫌だったんだよ……知らない人と会話なんてしたくない。もう嫌だ僕お家帰る!


 「それでは会議を始めましょうか。お二人も遠慮はいりません。僕のことも王子としてではなく一人の人間として扱ってくださって構いませんから」


 うわーこの人も人間ができてるな……騎士団長といい王子様といいなんでこんなに出来た人間がこんな腐った国から産まれるのか(はなは)だ疑問だ。


 「では一つ目の問題を話しましょうか。それは王位の問題です」


 いちど言葉を区切り、周りを見回してから続ける。


 「まず、当初の予定では僕が王位を継ぐはずでした。その為に国外へ出て見聞を広め、数年後に戻ってくる予定でした。まあ結果としては呼び戻されてしまいましたが」

 「それに関してはほんとに申し訳なく思っています……兄上の手を煩わせることはしたくなかったのですが」


 ミキがすごい丁寧に真面目に話してる。これは明日雪でも降るのか?


 「気にしなくていいよ、ミキ。むしろこの程度で被害を抑えてくれたんだ、感謝する程だ」

 「国王が……父親が死んだのに『この程度』なんですか?」


 ちょっとサクナさんなんで食いついちゃうんですか!?


 「何が起こったのか、何が行われていたのかは全てミエルから聞いたよ。その上で『この程度』と判断した。そういえば君が王を討ってくれたんだってね。感謝するよ」


 サクナの顔が強ばり、俺が一瞬でインベントリから取り出した刀に手を掛け、その手をいつの間にか近づいていたミキに止められる。

 この間僅か0.5秒


 「……すまない、気を悪くしたなら謝罪するよ。ただ嫌味などではなく本心からの言葉だとわかってくれ」

 「……サクナの両親はこの国の陰謀によって殺された可能性が高い。それでもまだそんな減らず口が叩けるか?」


 今まで余裕そうだったオルベルの表情が一瞬だけ固まるのを見逃さなかった。しかしそれも次の瞬間には元に戻っており、神妙な顔立ちへと変わる。


 「……それは知らなかった。ならば嫌味と捉えられてしまっても仕方が無いことだったな。改めて謝罪するよ。悪かった」

 「お願い、兄上に悪気はなかったの。ここはどうか……」

 「……私は大丈夫だからカズ兄も落ち着いて」

 「わかった……」


 渋々と刀を仕舞い、改めてオルベルへと向き直る。


 「じゃあ話を戻させてもらうよ。王位は予定通り僕が継ぐことにする。しかし我が国の内情は正直破綻寸前なんだ。突然の魔物の襲撃によって不信感が募っている状態でいきなり国王交代など国民が戸惑う可能性が高い」


 ……だからどうしたと言いたいところだが、こちらにも若干の責任はある。手助けして恩を売っておくか。


 「責任を取る人物がいればそれで収まるか?」

 「ああ、しかし君たちに押し付けるつもりはないので安心していてくれ」


 そんなの当たり前だ


 「なら手を貸す。今から責任を取る人物作るから公開処刑なりなんなりしてくれ」

 「な、それはどういう……」


 オルベルの疑問も聞かずに詠唱を開始する。


 「Zjarri është i udhëzuar në të gjitha të ri-që e bën dhënë një tokë të erës jetës frymëmarrje për të krijuar një lindje me ujë në temperaturën e trupit trupi është Nase në një formë 『生命創造』」


 全属性合成超級魔法『生命創造』

 意思のない命を生み出すオリジナル魔法。この場にはちょうどいいだろ。


 「な、なんだこの魔法……初めて見る」


 戸惑うような騎士団長の言葉を無視してオルベルへと告げる。


 「こいつが元凶だとでも言って公開処刑しておけ。元凶を討った新国王として信頼は得られるだろ」

 「感謝する!ほんとに助かるよ!」


 興奮したように俺の手を取るオルベルを傍目に捉えつつサクナの様子を探る。

 特に表情の変化はなし……ってかそれも今更だな。

 でもさっきオルベルに言われたことを気にしてる風もないから大丈夫だろ……


 《大丈夫だから気にしないで》


 「はぁ!?」


 あっ、やべつい声が。


 《後で説明するから今は何も無いように振舞ってて》


 「どうかなされましたか……?」

 「ひぇ!なんでもあひませにゅ……」


 なんだよ、せっかくかっこよくキメてたのに動揺したせいで噛みまくりだよ!


 《それは私のせいじゃないから……》


 「ならいいんですが」

 「ああ、はい!気にしないでください!」


 ああもうなんでこう締まりがないのかなぁ……

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