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第十五話

この話と次の話は更新後に書き換えるかもしれません。展開を変えるつもりはないのて変更したら報告します。

 「魔王を人工的に生み出すって……そんなことできるのか?」

 「普通なら無理なんだよ。でもそれをうちの国はやろうとした、しかも他国を巻き込んで。サクナちゃんのお父さんが残した記録に書いてあったのはこのことだと思う」


 発想が吹っ飛びすぎてて理解できる容量を超えてきた……


 つまりは親父さんが魔王の研究をしていた時に国の不正が発覚しかける。

 バレないように遠くに飛ばされたが遂に不正がバレる。

 親父さんが不正を他国に報告するもその国もグル。

 結果として消された。


 ……これが大規模組織の暗部ってところか。


 「こんな話されたらボクを恨んでもおかしくないと思う。償いは後からする、だから今だけは助けて欲しい」


 深々と頭を下げるミキを傍目にサクナの様子を伺う。


 ……相変わらずの無表情、か


 「いいよ」

 「へ?」

 「だからお手伝いするよ、ミキのお願いごと」

 「ボクから言っておいてなんだけど……いいの?」

 「うん、話を聞いた限りミキは悪くないみたいだから」

 「ありがとうサクナちゃん!」


 そう言ってサクナに抱きつくミキ。

 一瞬驚いたような表情を見せるも特に抵抗はなく、なされるがままになるサクナ。


 この二人ってこんなに仲良くなってたのか?


 「その代わりにわたし達のお願いもひとつだけ聞いて」

 「なんでも言ってよ!」


 ミキの明るさが眩しすぎる……というか俺の存在意義が見いだせない。もう俺だけ寝ててもいいんじゃないか? 昨日サクナと同じベッドだったせいでまともに寝れてないから眠いんだよ……


 「私はお父さんを殺した国を許さない。だからこの国を壊す。そうしたら王位なんてないことになるし国から逃げるのも簡単」


 ……サクナの発送が吹き飛んでますよ。


 「……それがこの国に来た理由なの?」

 「うん、カズ兄が過ごしやすそうだからこんなにゆっくりしてるけど本当は国王様を問い詰めたい。謁見した時もその気持ちを抑えるので精一杯だった」


 うん、なんか、その、ひきこもりでごめん……敵の本拠地でくつろいじゃってごめん……


 「お店回ったりするのは楽しかったからいいけど」

 「サクナもサクナで楽しんでるよな……」

 「ひさしぶりにあんなお店に行ったんだもん。女の子なんだからそういうのは楽しいものなの」


 いや……それはいいんだが……感情があまり表に出ないせいで怒りと楽しみの落差がやばいんですよ。


 「とにかく、ミキも手伝ってくれる?」

 「本気なの……?」

 「冗談でこんなこと言わない」


 復讐とは言っていたけど一国を相手にするなんて俺も聞いてないからね?


 「カズ兄に話したらきっと止められた」

 「……危ないからな」

 「大丈夫」

 「何を根拠に……」

 「カズ兄が守ってくれる。だから大丈夫」


 ……真っ直ぐ目を見て真剣にそんなこと言われたら守るしかねーじゃん。


 「ありがと」

 「おう……」


 は、恥ずかしい……


 「やっぱり二人って夫婦だよ……」

 「何か言ったか?」

 「いいや、なにも? とにかくサクナちゃんの依頼も受けるよ。利害関係は一致してるし断る理由はボクにはないからね」

 「なら決まり」

 「とは言ってもどうするの? 国を潰すのってそんなに簡単じゃないよ?」


 確かにその通りだ。

 武力に出れば指名手配、かと言って権力も財力もない。


 始まる前から詰んでるような状況でできることって……


 「仲間を増やそう」

 「ごめん無理」


 すまんサクナ。

 ミキがいる現状が俺の対人能力の限界だ。

 これ以上増えたら俺が使い物にならなくなる。


 「うん、なんかわかってた」

 「カズヤくんってほんと変わってるよねー」


 冷たい視線とクスクス笑い。

 引きこもる前を思い出すな……でもなぜか悪い気はしない、トラウマは抉られるけど。


 「はいはーい! ボクいい案思いついた!」

 「どんな?」

 「お姫様権限を利用して魔王に関する不正な資料を盗み出す!」


 発想は悪くないがそれじゃあ……


 「でも盗み出してどうするの?」

 「どうするってそりゃ……あ!」


 気がついたか。

 今わかってるのは他の国と協力して魔王に関する悪事を働いていること。そしてどの国が協力しているのかはっきりわかっていないこと。


 つまり下手に資料を他国に見せても揉み消されて俺たちにまで危険が及ぶ可能性がある。


 よってアウト。


 「……私には聞こえてるけど口に出さなきゃミキには聞こえないよ?」

 「聞かせるようなことではないから問題ない。というわけで別案だ」


 だが正直別案なんて思いつく気がしない。


 「……やっぱり国王様を殺すしかないかな?」


 しかし殺してどうなる?

 ……まともな結果にはならないな。


 この先の人生を全て捧げるくらいの覚悟がない無理な案だ。

 そして……親父さんはサクナがそんな行動をすること良しとはしないだろう。


 「……わかってる」


 ……なんだか最近サクナの読心能力が上がってる気がする。

 こっちとしては楽でいいんだけどさ。


 「現実的に考えていくと国王様を脅して魔王に関する不正行為をやめさせる。そしてやめさせたあとに命を持って罪を償って貰う、かな?」


 ふえぇ、サクナが怖いよぉ。


 「ま、まあそれっくらいが妥当かな? ボクは何をすればいい?」


 ミキも若干引いてるし。


 「新しく国をまとめれる人を探す?」


 いや、俺を見ながら疑問系で言われても……サクナの頭の回転が早すぎてついていけてないから。


 「そんな人は……一人だけいるけど……きっと手伝ってはくれないかな……」

 「いきなり国を任せます、はいそうですかわかりました。なんて言う奴いないだろ普通」


 そんなの元から国を乗っ取ろうとしていた奴くらいだろ。


 「たしかにそうだよね……」

 「誰なの?」


 身を乗り出してミキに詰め寄るサクナ。

 さっきからアクティブすぎるんですけど……

 これまでの消極的なサクナはどこに行ったんだってくらいの変貌だな。

 お兄ちゃん嬉しいけど同時に少しさみしいよ。


 「ミエルだよ、騎士団長」


 ……騎士団長を務める武力があり、国をいきなり纏められるだけの政治的知識もあり、優しいのか。


 天は人の上に人を作らずとか言ったの誰だよ。


 俺の上に地面があってそのうえに雲があってその上に騎士団長さんがいるくらいには上にいるぞ。


 俺の存在位置が地面より下なのはお察しなところで。

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