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職人と職業と

「いらっしゃーい。」


灰色の石で作られた二階建ての建物。看板は握った拳のマークが描かれている。


カブトムシの角をつけた親父が、正面奥のカウンターに座り気さくに挨拶をする。


人はまばらで、ごつい鎧を着た人や、ごちゃごちゃ装飾品を着けた人が談笑している。


カウンターのカブトムシに声を掛ける。


「ギルド登録に来ました。」


「初めての方かな?よろしく。」


カブトムシ親父がシステムウィンドウを開いた。ズラリと文字が並ぶ。


「ユーザーIDの入力と、職業を自由に選んでくれ。」


魔術師、猟師、工芸家。それぞれの職業と軽い説明が書かれていた。


魔術師、手に入れたアイテムを加工、装飾品やマジックアイテムを作れます。錬金術師や呪具師に派生できます。


猟師、手に入れたアイテムを加工。主に装備品や消耗品を作れます。革職人や武具職人に派生できます。


工芸家、手に入れたアイテムを加工。主に装備品や消耗品を作れます。鍛冶職人や装飾家に派生できます。


「魔術師と猟師は魔法や弓が使えるから楽だぞ。工芸家は作れるアイテムが強力な分、初めがきついって評判だな。」


横からリューが口を出す。


「んー、じゃあ猟師かな。魔術師とか体力ないとすぐ死ぬし。」


猟師を選択した。


初期装備の選択画面が出てくる。武器、弓、鉈、骨のナイフ。


弓を選択してと。あとは自動選択でボロな革の手袋と靴か。猟師だし、動物系の生産職になるんだろうな。


「おめでとうさん。職人ギルドに歓迎する。猟師スイさん。受注できるクエストはあちらに貼りだしてあるから、決めたら気軽に声を掛けてくれ。」


カブトムシ親父がそう言って、横手の掲示板を手で示す。


「何受けるんだ?手伝うぜ。」


リューが煩い。


「このメンバーなら大物も狩れますね。とっとと装備品でも整えますか?」


この四人で行くのか?初心者クエストに。


「キルデスパーティーに備えて耐久力が欲しいね。」


リュー弟は人の話を聞かない。いや、この兄弟は意図的に人を巻き込む。


「確か、白い大猪が大発生してたな。ポイントも近いし、猪狩りに行くか!」


「待て待て、いいから。パーティーにも参加しないし、お荷物な俺は一人で雑魚を狩るから。」


「あ、ちょっと待ってて。」


リューが職人ギルドから出て行く。


後に残され手持ち無沙汰になっていると、テロリーンと何処からか音が出る。視界の端に新着メッセージが届いていますと表記が出た。


「リューさんからキルデスパーティーへの誘いが届いてますね。傭兵ギルドからの正式なチーム戦の誘いです。受けます?」


受けます?と言いながら受諾するキィ君。


「負けないからなキィ!」


仲間外れなリュー弟の機嫌がちょっと悪くなる。


「安心しろ、リュー弟。俺は受けな……。」


二人が無言の圧力を出す。あれだ。空気読めよ的な目だ。しかし、考えてみても欲しい。これは初心者を誘うようなイベントじゃないってことを。


だが、圧力に負けた手がメッセージ欄の不参加のボタンから上の参加の方に滑りポチッと押した。


二人の顔がにこやかになる。リュー弟の方はカモォといった悪どい笑みだったが。


「PKギルドから参加者にノルマ出されてるんだよね。最低5killで賞金やアイテム支給、逆に10killされたら参加賞も没収するって。」


リュー弟のこの発言。宣告に等しいな。


「じゃあkillしてあげないとね。」


今にもPvPを始めそうなアサシン二人の雰囲気に、職人ギルドの人達の目が険しくなる。よそでやれって事ですね。とてもよく分かります。特に暗殺者剥き出しの服装したこの二人は職人ギルドではとても目立ちます。


「よーっす!」


リューがギルドに入ってくると同時、その体を掴みギルドの外に押し出す。


「なんだ?なんだ?」


「猪狩りに行くんだろ。」


「おっ、乗り気になったか。じゃあ早速行こう。」


リューが街の中を進んでいく。噴水のある広場に青い魔法陣の描かれた場所があり四人揃って陣の上に乗った。


システムウィンドウをリュー達が開く。


「蒼の森って所に飛べばよかったかな?」


リューが場所を確認する。


「ですね。そこでいいはずです。」


「そこって蒼身のヴァイパーも活性化してるんだよね。」


「ついでに狩るか。」


リュー達は楽しそうにしているが、俺、死ぬんじゃねーのそこ?


システムウィンドウを開き蒼の森を選択した。


エフェクトが発生し、街から森へ視界が変わる。









 

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