悪夢と笑顔
「ぐわぁあああああ!!」
「足が!?俺の足がぁ!」
「助けてくれ!俺はしにたくねぇ!」
「おい!?返事を・・・ぐっ!?ゴハッ!」
「血が・・・血がとまんねぇえよ・・・」
お前が殺したんだ
お前が仲間を殺したんだ
殺してやる
殺してやる!
殺してやる!!
やめろ…ヤメロ・・・
「やめろおおおおおおおおおお!・・・あ?」
周りを見渡すと俺はベットの上にいた
昨日は疲れてリエルの家に泊まったんだったな
それにしても今の夢・・・嫌な夢だった
肖門から覗く盗賊の最後の叫び
助けて
死にたくない
それでも俺は引き金を絞り
殺した
肉が裂け血が弾ける
盗賊共の体は真っ赤に染まりその命が終わる
俺は怒りにまかせ圧倒的な暴力で命を奪い取った
虫を殺すのと変わらない、何も思わない
だが今は違う、俺は人を殺した
誰かの子として産まれ今まで生きてきた
いくら奴等を凶悪な盗賊だと心に言い聞かせても人を殺したという罪悪感は消えない
皆殺しにする必要があったのか?
捕虜に出来たんじゃ無いのか?
俺は奴等と同じ、ただの人殺しじゃないのか?
瞼を閉じるだけであの場面が浮び盗賊の声がきこえる
胃の内容物が込み上げ吐きそうだ
「伊織くんどうしたの!?」
リエルが驚いた顔で部屋に入ってきた
「顔色良悪いよ?大丈夫?」
リエルが心配そうにのぞき込んでくる
相当今の俺は酷い顔をしているようだ
「ああ、大丈夫だよ。ちょっとうなされただけ」
「無理してない?・・・本当に大丈夫?」
「大丈夫だって、心配してくれてありがとう」
そう伝えるとリエルは
「なら良かった!何かあったら私に言ってね!」
とびきりの笑顔でそう言った
ああ、そうだ
俺はこの笑顔を守りたかったんだ・・・
この笑顔のために俺は戦った
・・・しっかりしろ俺!リエルの笑顔を守ったんだ
いつまでも過ぎたことを後悔してもいられない!
自分の心に叱咤しリエルに顔を向けた
「リエル、聞きたい事が有るんだけど」
ここで立ち止まってはいられない。
まだまだやることは沢山有るんだ
俺はどうしても聞いておきたい事があった
まず遺体の処理、次に村の復旧だ
遺体はそのままにすると腐敗が進み疫病の原因になる。出来れば火葬が良いが出来ないのであれば村から離れた所に土葬するしか無い
次に村の復旧。盗賊共が好き勝手にやったせいで多くの家が全焼、倒壊している。家を失った人達の事を考えると早急に対策しなくてはいけない
「う~ん、多分大丈夫だと思うよ?私達の村は元々火葬でやってきたから。それに復旧の方も壊れた家が直るまで村長の家で寝泊まりするみたいだし」
「そんなに受け入れて村長の家は大丈夫なのか?結構家が無い人居るんじゃ・・・」
「村長の家は非常時の非難場所だったからそれなりに広さも有るし食料の備蓄も有ったみたいだよ?もしかしたら盗賊もそれが狙いだったのかも知れないけど」
凄いな…非常時の備蓄は勿論だけど村人達の収容スペースまであるなんて、この村の村長は優秀な人なんだな
俺が心配する必要も無かったようだ
「あ、そうだ!村長が今夜伊織くんを連れて家まで来てくれだってさ!」
「俺を?あぁ盗賊の頭の事か」
「それもあるって言ってたけど今夜は別な話だって言ってたよ?」
はて?他に何か有ったっけ?
・・・まてよ、俺みたいな余所者が居るせいで盗賊が来たって言われるんじゃ無いだろうな?
最悪、村から追い出されるかも・・・
どうしよう!?
「伊織くん?多分だけど、伊織くんが思っているような事じゃ無いと思うよ?」
「っへ?」
「なにか悪い方を考えているみたいだけど、伊織くんは村を救ってくれた。そんな恩人にお礼をしたいんだよ」
「そうなのか?俺、村を追い出されたりとかしない?」
「そんな事有るわけ無いよ!?ってそんな事考えてたの!?」
「うん、余所者が居たせいで盗賊が来たって言われると思ってた」
「・・・伊織くんて変わってるね」
「良くいわれる」
そうか、良かった・・・追い出される訳じゃ無いんだな
だけどちょっと不安(´・ω・`)
「そ・れ・よ・り・も!」
「うん?」
伊織はリエルの方を振り向くと手をワキワキとしながらリエルは迫ってきていた
「ちょ、リエルさん?その手は何?
「ふふふふ、伊織くん君来たときから結構泥まみれだったよね?それに昨日闘って更に汚れちゃってるし」
そういえばこっちの世界に来てから洗って無いな…っは!リエル、顔が怖いよ!?
「伊織くん・・・とっとと・・・服を脱げぇえええええええ!!」
チャプッ
「ふぅ、ええ湯じゃぁのぉ」
うん、じじ臭いね俺
「伊織くんお湯加減どう?」
「おー丁度良いよー最高」
リエルに身包みはがされた時は何事かと思ったが・・・5日ぶりの風呂に入る事になった
演習中から入って無かったし、昨日の戦闘でだいぶ汚れてたからな臭いまんまで家にいたら、そりゃリエルも怒るわ・・・もっと早く気づけば良かった(;´Д`)
チャプチャプ
・・・にしても、リエルのお風呂綺麗だな
伊織は風呂に入りながら関心していた
整理されたお風呂用具、リエルの好みなのか淡い桜色の室内
そして、入った時から香る花の甘い匂い
・・・うちの風呂や自衛隊の風呂と違って整理されてるし良い香りもするし
やっぱ女の子の家の風呂と野郎ばかりの風呂じゃ全然違うんだな
ん・・・リエルの家の風呂?
・・・女の子の家の風呂・・・
・・・・・・・あ
「伊織、着替え置いとくね~」
「のわっ!?お、おう!ありがとう!」
「どうしたの?大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫!気にしないで!」
ミスったぁあああ!気持ち良くて忘れてだけど、良く考えてみたらここ女の子の家の風呂じゃんか!?
リエルがいつも使ってるって事だろ!?てか、俺に風呂進めた時リエル風呂入った後だったよな!?
ってことは・・・・うわぁなんか意識し始めたら・・・ああ!色々ヤバい!
考えるな!無心だ無心!
・
・・
・・・
「あ、伊織くんお風呂あがったんだね!・・・・って、どうしたの?フラフラしてるよ?のぼせた?」
「あ、うん・・・色々とね」
あぁ風呂の中で意識しないようにしてたら長い時間入ってたの気がつかなかったみたいだ
「はい、水飲んで」
「ああ、ありがとう」
コップに入った水を飲み干す。うん美味しい
「伊織くんの服洗っておいたから夕方には着れるよ。それまではその服着ててね」
今はリエルが用意してくれた服を着ている
見た目は甚平のような和服タイプの服で淡い青で染められている
「リエルの家に男物の服も有ったんだな~彼氏の服か?」
なんとなく1人暮らしのリエルの家に男物の服が置いてあったのが気になって聞いてみた
「ううん、それ私の服だよ~それに私彼氏なんていないよ?」
「ふぅんリエルの服だったのか~」
(゜Д゜)!?
「え?リエルの服」
「うん、そうだよ?ほら!」
リエルはそう言うと今着ている服を見せつけてきた
確かにリエルが着ている服は伊織が着ている服と同じで色が淡い緑色の物だった
「私の服嫌だった?ゴメンね…それしか伊織くんが着れる服無かったんだ・・・やっぱり女物は嫌だったよね」
そう言ったリエルを見ると少し涙ぐんで俯いていた
「嫌じゃ無い、嫌じゃ無い!凄く助かるよ!それに良い香りもするし!」
俺何言ってるんだ!?
「本当?嫌じゃ無い?」
「本当だって!嫌じゃ無いよ!俺もこの服好きだから!」
「うー・・・なら良いんだけど」
そう言うとリエルは昼食の用意をするといって部屋の奥に入っていった
「ふぅー・・・」
風呂の件もあったせいで色々リエルを意識するなぁ
それにまさかリエルの服を借りる事になるなんて・・・
・・・それにしてもリエルの服、良い匂いするな
・・・っは!?危ない危ない
俺、理性保つのか?
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バタンッ
「ついたー!やっぱりこの荷車すごいね!乗り心地も良いし!」
夕方になり俺とリエルは高機動車(以下高機)で村長の家に来ていた
リエルの家から村長の家までは歩いて行ける距離だったが元々村長に車両を停める場所を提供してもらうつもりだったので車両の説明も兼ねて乗ってきたのだ
「まぁここまで来るのに何も知らない村人達がパニック起こしてたけどな…」
馬も引かない荷車が異様な音(エンジン音)を響かせて爆走してれば何も知らない村人達が驚くのも無理は無いんだけどな…いちいち降りて説明するのが大変だった(;´Д`)フゥ
「こ、これは一体!?」
エンジン音に驚いて村長が家から出てきた
「あ、村長さん今回はお呼び頂きありがとうございます」
「あ、ああ柊様お越し頂きありがとうございます。今日は・・・ところでその変わった荷車は柊様の持ち物ですかな?」
やっぱり高機を見て驚いているみたいだ
「ああ、はい。この事で村長にお話も有ったので実物を見て頂けるように持って来ました」
「なる程、分かりました・・・まあ外で話すのもなんですし中に入って下さい。皆も柊様が来るのを心待ちしていたところですよ」
「皆ですか?」
誰か来ているのだろうか?村の重役の方でもきるのかな?
「そうです、私を含め村人達全員が柊様にお礼をしたいそうですよ」
「え!?(;゜д゜)」




