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成瀬家はこんな感じ

後半は成瀬家の紹介のようなものです。


日の光に当たっても黒い髪と同じ瞳はノートを射抜くかの様に見据え、左手に持ったシャープペンシルが止まらず動いている。


(何を書いているんだろ…)


凄く真剣な男の子の眼に邪魔をすることなんて出来ず、私は気になり始めていた。


そのまま、一言も言葉を交わさないまま下校の時刻になった。

帰りの最中、駅のホームでぼぉっとしていると、後ろからバシッと誰かに叩かれた。

振り向いてみると、金の短髪を靡かせていて鼻の頭にチャームポイントのソバカスがある、セーラー服を着た照ちゃんがいた。


「やっほぉ~恋に目覚めたかい!?迷える子羊ちゃんよ」

「気になる人は出来たよ」


いつものお決まりの台詞を吐いて、私の返事に驚く。


「うっそ、うそうそうそ!本当に!?誰々誰なの?」


一つ一つの単語が多いよ、と言う私の疑問なんて置いておいている照ちゃんは、帰国子女で天真爛漫な女の子。

身長は私なんかよりとっても高くて、胸がデカく、脚がすらぁっと長いモデル体型!でも、最近は黒縁メガネにハマったらしく、綺麗な碧眼の瞳を隠してる。勿体無い…。

私は照ちゃんに目を向けると、ワクワクと輝きを放っている瞳を向けられ一呼吸した。


「…同じクラスになった男の子なんだけど、その子が何か真剣に書いてるんだよね。」

「はっ?え、まさか気になるってそういう…」

「?…他に何があるの?」


バッチリ私の両肩を掴んでいた両手は離れ、脱け殻のように駅のホームで流れる様に倒れる照ちゃん。

て、照ちゃん大丈夫!?なんか、薔薇と涙が見えたんだけど!


「そんなに気になるなら、最初の一週間は気になる人を見てみれば?ウザがられない様に、どうせなるのことだから話しかけれないんでしょうしね」


あ、当たりですっ…照サマ。そうなんですよ…男の子と話すのはちょっと、いや、凄く勇気が…ぁ、睨まれました。ごめんなさい照ちゃん。


私は照ちゃんにエアで謝る仕草をして照ちゃんを見上げた。


「恋の予感だと思ったのになぁ…」

「何か言った?照ちゃん」


照ちゃんはボソッと言ったような言っていない様な声量で言ったので、少々私には聞き取り辛かった。


「んーん、何にも!なる、その人と親しくなりたい?」


急に照ちゃんは優しい声で私の目を見ながら聞く、私は目線を下に下げて自分でも分からない思いに感情が追いついていなかった。


「どうだろ…」

「でも気になっちゃうの?」

「…うん」


私の気持ちは、どうなんだろう。

目を奪われただけで親しくなりたいなんて思えない、でもあの真剣な眼差しで何を書いているのか気にはなる。


「一週間…かぁ。」


それだけ呟いて、一週間が長いのか短いのか、やって見ることにした。


「うん…ありがとう!照ちゃん、一週間だねっやってみるよ!」


私はなんだか少しスッキリして、解消してくれたであろう照ちゃんに勢いよく抱き付いた。

照ちゃんは、はいはい。と私の背中をポンポン叩いて、あっ!と、大きな声をあげた。

どうやら忘れ物が有ったらしく、急いで珀桃高校に向かって行った。


「何を忘れたんだろ…」


私の素朴な疑問は電車がホームに入ってくる音で掻き消された。





****





30分ほど電車に乗って、徒歩15分。

まぁ、至って普通の一戸建ての家です。

外観は建てた当時、アンティークにハマっていた両親の趣味で、漆喰(しっくい)の壁に錆色のレンガが所々あり、木製の玄関ドアが特徴だ。


家の中はビンテージを加工してるみたいでクラシックな雰囲気を醸し出している。

まぁ、そんな家とは似つかない兄弟がいるんですけどね。

考えていたら出て来ましたよ、2階から騒々しく降りてくるお兄ちゃんが。


「美久!審判してくれ!今日こそは兄貴に勝つ!」

「はいはっ…」


私と同じ髪色でアシメにしている次男の(ひかる)兄が私の了承を得ずにかっさらいやがった。

まだ、はいはい。の『い』を言ってなかったのに。

まぁ、いいけどね。いつものことだし、お兄ちゃん達…主に輝兄はいっつも、学校から帰ったら長男の(とも)兄と対決している。

いいじゃんね、別に。負けるって言ったって、いつも僅差なんだし。

まぁ、輝兄に言わせれば「僅差で負けるのが嫌なんだよ」とのこと。

うん。それが男の気持ちって言うのは分かるよ。でも、一々私に審判を強制させる意味が分からん。


「今日は何で勝負?」


清々しく現れた同じ髪色で前髪をピンで止めている、大人なのに可愛らしい印象を持つ智兄。

また、その余裕な笑みが一段と輝兄にはイラッとくるらしく、道場へ荒々しく連行された。


道場は家の直ぐ裏にあり、元よりお兄ちゃん達の為に造られた建物だ。

智兄は全国大会で優勝していて、期待されてる剣道。

仮面を外す際の汗や顔の凛々しさで結構女の子から人気らしい。

輝兄も空手で全国大会を優勝して、試合中の普段からは考えられない勇ましさに、告白が絶えないんだとか。

そんな輝兄は、未だに空手以外で智兄に勝てない。

私の家は、男は強く有るべし。と言う妙な家訓があるため、色々習わされて来たと思われるお兄ちゃん達なので、輝兄からすると得意な剣道と空手以外で勝負を付けたいらしい。

そこで審判に抜擢されるのは、いつも私。

と、柔道をするため、柔道着にお兄ちゃん達が着替えてる間、ぶつくさと言ってしまうのは仕方の無いこと。


「直ぐ終わらせてよね、一本勝負。」


漸く準備が出来たらしいお兄ちゃん達が軽く屈伸をして、定位置に着いた。

そして私の掛け声と共に、輝兄が智兄との間を一気に詰める。


だが、智兄の方が一枚上手だったようで、輝兄が間を詰めて来た隙を狙って背負い投げをして、勝負終了。

ダンッと、輝兄の背中が床に着いた時点で白旗を挙げた。


「はい。勝者、智兄〜」


輝兄を横目で見やれば、見て分かるほど悔しがっていて、それでも尚、智兄への闘争心が無くならないのは凄いことだろう。

私は輝兄の肩を叩いて、にっこり微笑む。


「今日の夕飯の当番は輝兄だからね」


よろしく~と、輝兄に言って、私は自分の部屋に戻った。


今日の夕飯は美味しいオムライスで、智兄にだけ『いつか倒す』とケチャップで文字が刻まれていた。

因みに私のオムライスには『もうちょっと兄に優しくして!』という輝兄の心の叫びが書かれていました。


いや…優しくしてますよ。

ねぇ?



成瀬家は父、長男、次男、長女の4人家族です。



西川(にしかわ)(てる)


○金髪碧眼

○女子なら一度は憧れるナイスバディの持ち主

○スタイルがいい。

○名前はお父さんが日本人だから

○恋多き女の子

○たまに変な日本語を使う。


次回は気になるあの人を観察してみますよー!


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