幕間7 『邂逅』
『邂逅』 アメリア エルミナ リュソー
「どわー! 人が飛び込んできた!」
「アメリア様、落ち着いてください。この者の責任です」
「は、はは。ちょっと高揚しすぎた」
「わ、生きてた、よかったぁ」
「何者だ貴様。見たことのない顔だな。ここの学生らしいが、アメリア様の通りを阻害するなど」
「ああ、いえ。失礼いたしました。私は西から留学してきた者です。本日より王立魔導大学に入学します」
「へえー、西から! 名前は名前は?」
「リュソー・アルカンジュと申します。アメリア王女殿下。以後、お見知りおきを」
「あれ、わたしのこと知ってるんだ」
「王女殿下の御活躍は西においても轟いておりますので」
「アメリア様、お下がりを。この者、何かしらの企みをもって近づいてきたのでしょう」
「企みと申されればそうかもしれません。私は王女殿下のお噂を耳にして、貴方様に会いにきたのです」
「おお、オッケイオッケイ。それじゃあ友達になろっか!」
「アメリア様、このような者にそのような栄誉はお控えください。アルカンジュと言えば西では大商家。つまり西の商人です。西の商人は全員が詐欺師。それが通説であり定説です」
「それには少々語弊があるかと。全員ではありません、九割です」
「強制送還しましょう、アメリア様」
「まあまあ。リュソーは商人なの?」
「私も商売人として数多の現場を渡り歩いてまいりました。この知見はアメリア王女殿下のお役に立てるかと」
「じゃあさじゃあさ、取引とか交渉とか色々経験してるんだよね? 教えてよ!」
「私の体験でよろしければ、なんなりと」
「アメリア様、」
「いいじゃんエルミナ。通説も定説も、リュソーが変えてくれればいいんだから!」
「お噂に違わぬ御方です。今後ともよろしくお願い申し上げます」
「うーん、ちょっと固いね。もっと柔らかに、口調もかしこまらなくていいよ」
「お、いいんだ。何もかも例外なんだね」
「貴様、途端に砕けすぎだろう」
「いいじゃんリュソー! わたしはそっちの方が良い!」
「じゃあ、これでいこう。私もへりくだった言葉とか面倒くさい性分なんだ。よろしく頼むよ、王女様」
「おけーい! よろしく! それで、さっきぶつかったのは大丈夫?」
「指が何本か折れたくらいだ、気にする必要はない」
「ええ! 早く保健室行かないと!」
「はい、リュソー。これであと半日もすれば指も元通り動かせると思うから」
「これは参ったね。出逢って早々手間をかけてしまった。王女様は治癒魔法も使えるんだな。羨ましいよ」
「まあ、ちょっとだけならね。リュソーは何の魔法を使うの? 商人に特別なものって必要だっけ?」
「特には。私は知恵と決断で商人たちと渡り合ってきたものでね。世間一般の魔法もそこそこ使えるぐらいだ」
「……何か隠しているだろう。商人はそう易々と自分の手札を切らないものだからな」
「さあて、どうかな。それをわかっているなら、質問に意味は為さないとわかってくれるはずだが」
「私は腕力にそれなりの自信がある。証明のひとつになってみるか?」
「エルミナ、無理矢理言わせようとしたら駄目だよ。リュソーにはリュソーの主義主張があるんだから」
「そういうこと。流石王女様、話が分かるね」
「アメリア様。このような者は遠ざけるべきかと」
「だいじょーぶ。リュソーが何か考えててもいいもん。エルミナがいれば不安はない!」
「アメリア様……おい、アルカンジュ。アメリア様のご厚意を裏切るなよ」
「こう言ってはなんだけど。主に弱すぎないか、君」




