幕間5 『嫉妬』 『南方』 『回復魔法』
『嫉妬』 アメリア ジャミール
「人間って面倒くさい生き物だよねー。感情に左右されるんだもん」
「突然壮大なことを言い始めました」
「だってそう思わない? 恋人とか友人が自分より他の人と楽しそうにしてたら傷つくじゃん? それって嫉妬じゃん? モヤモヤってしないといけないじゃん」
「おっしゃる通りではありますが、こう考えられてみては? 『自分の方がもっと楽しくできる』と」
「どっちの想いが大きいとか強いとか、それって計れなくない?」
「他人の抱く感情を量や質で捉えることは叶いませんが、確固たる自信が心の内に根差しているかどうかが肝心かと。少なくとも、感情に振り回されなくなるのではないでしょうか」
「おおー、なるほど、自信か。確かに、セレヴィとかグレインって、他の生徒とよりわたしといる時の方が楽しそうかも! いつも叫んで感情がむき出しになってるし!」
「それは怒りでは……」
『南方』 アメリア ジャミール
「南方って、やっぱりこっちより暑い? 砂漠のイメージが強いんだよね」
「皆さんそのように思われますが、実際に訪れてもらうと驚かれます。砂漠が目立っていたのはもう十数年も前のことでして、現在は緑化が進んだこともあり、外気の穏やかな地域が増えました」
「うぇー、そうなんだ。駱駝に乗って砂漠を横断! みたいなのってもうあまりいないのかな」
「一部の商人は未だそのような移動をしていますが、大勢は馬車や列車を利用しています。中央大国に較べれば、まだまだ発展途上ではありますが」
「駱駝レースとか見てみたかったなぁ」
「そういった賭博はあるにはあります」
「おお、南方行ったときに見てみよう!」
「……王族の方が堂々と賭け事に乗り込むというのも、」
「だいじょーぶ! 変装していくから!」
「王女殿下では、すぐに露呈しそうですが」
「何で? そんなにわたしって注目集めるの? 眩しいぐらい威光放ってる?」
「威光といいますか、カリスマ性といいますか、問題性といいますか」
「何で最後の部分を強調したの?」
『回復魔法』 アメリア ジャミール
「ジャミの得意な魔法は?」
「回復魔法です」
「え、そうなんだ。身体強化だと思ってた」
「そう見えるでしょうか。私は武器を向け合うより博愛を語る方が性に合っていますので」
「わっかる~。争いより平和の方が断然いいもんね」
「騒動を起こされている方とは思えない発言に聞こえます」
「まあまあいいじゃん、そういうの」
「王女殿下がよろしくても、周囲はどうでしょうか……」
「それで、何で回復魔法? いや、立派なことだと思うけどさ」
「体験が動機といいますか。かつて背中からナイフが生えたことがありまして」
「ええ!? 大事件じゃん!」
「そのような経験から、自分の身は自分で守るべきだと思い至りました。現在は他者を癒すのも洗練されてきたように思えます」
「ほえー、立派過ぎる理由だ。わたしも見習わないと」
「怠慢せず精進することを心掛けております。最近は身体を刺されることも無くなり、また魔法を撃ちこまれなくなって久しいですから」
「それまで刺されてたりしたの? 南方の治安って危ういの?」




