「未来の結婚相手が見える儀式」
カタリは都市伝説が好きだった。
特に「試す系」の怪談には目がない。
そんなある日、ネットで見つけたのが——
「深夜0時ちょうどに、カミソリを口にくわえ、水を張った洗面器を覗くと、将来の結婚相手が見える」
という儀式だった。
「なるほどな。」
カタリは腕を組み、しばらく考えた後——
「やるか。」
と、即決した。
儀式開始。深夜0時、カタリは浴室に立つ。
目の前には、水を張った洗面器。口には、カミソリを軽くくわえる。
(……こんなんで本当に未来の相手が見えるのか?)
そう思いつつも、カタリは静かに水面を覗き込んだ。
——すると。水面がゆらりと揺れ、ぼんやりとした人影が浮かび上がる。
やがて、それははっきりとした形を持ち——
カタリは、未来の結婚相手と対面した。
水面に映ったのは——
オレンジの長髪の美人系でスタイルがよく、胸の大きーーーーーーー。
——バシャァァァン!!!
水面を手で叩き、映像を消す。
「……………何してんの?!お前…………。」
魔法少女のイラストが入った抱き枕がその光景を見て驚愕する(ような顔をしているように見える)。
「今のは……。なかったことにしよう……。」
「何が気に食わなかったんだ?綺麗な人だっただろう……?」
「いや、本能が今の女は駄目だと告げていたんだ。やり直しを要求する」
「詳しく知らないけど、やり直しってできるの?これ。あと、叩いて大丈夫だったのか?」
「とにかく、オレの好みも少しは反映してもらわんことには」
「好みって……。何だ…………?」
カタリは腕を組みながら考える。
「銀髪褐色のダークエルフが好きなんだが」
「む、無理だぞ!!」
と、抱き枕から即座にツッコミが入る。
しかし、カタリは納得していない。
「いや、可能性が少しでもあるなら、それにかけてみようと思うんだ」
「無理だって言ってんだろ!可能性はないよ!」
「逆に聞くが、抱き枕と会話する可能性も普通ないだろう?」
「だけど、ダークエルフは……。いないじゃん!」
「いるかもしれないだろう?!というわけで、トライアゲイン!」
そう言いながら、もう一度洗面器に水を張る。
——再チャレンジ開始。カミソリをくわえ、もう一度覗き込む。
今度こそ、銀髪褐色ダークエルフが出てくることを期待しながら——
——しかし。水面に浮かび上がったのは——
さっきのオレンジ長髪の美ーーーーーーー。
——バシャァァァン!!!
「君は違うと言っているだろうが!!」
「ねぇ、だから何してんだよ!」
「くそ、かぶったか」
「かぶるとかそういうんじゃなくない?……何回やってもアレしか出ないと思うぞ?受け入れろよ」
「そうだ……。アレを倒してしまうというのはどうだろう?」
「お前、憑かれてんじゃねぇの?!!」




