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一番センター早稲田純

 オールスターの時期が近づいている。

 今年は三神世代大躍動とのことで同期が多く選出されている。

 徹まで選出されているのには驚いた。


 どうもマスコミでは甲子園のヒーローという触れ込みで過大評価されているらしい。

 過大評価でもないか、と思う。

 一年目から一番の定位置を奪取し、ここまで譲っていない。


 ルーキースターは誰もが望むものだ。

 そんな中、優が訪れたのは、母校だった。


 早稲田純、という男がいる。

 守備は抜群に上手く、足も抜群に速かった。

 プロでも十分にやっていけたとも思うが、大学進学の道を選んだ。

 自信がないのが彼の悪いところだ。


「悪い悪い、待たせた」


 純が遅れてやってくる。

 座っていた優は立ち上がると、車に乗り込んだ。


「行くぞ、乗れ」


「お、おう」


 純は助手席に乗りベルトを締める。

 そして、優は車を発進させた。


「大学生活はどうよ」


「一番センターでレギュラーよ。ホームランもポンポン打ってる」


「そりゃな。お前プロでも十分やれたもん」


「昔から優は俺を過大評価し過ぎだよ」


「お前が自分を過小評価し過ぎなんだ」


 ぴしゃりと言う。


「しかしお前も、水瀬も、荒川も、遠い人になっちまったな……今や、オールスター選出組だもんな」


「だからぁ」


 ブレーキを踏む。


「お前も挑戦すればチャンスはあったって言ってるだろ」


 凄みを利かせる。


「はい」


 純は小さくなって言った。

 同級生だが昔からそうだ。自信がない純を優が引っ張る。

 再び車を発信させる。


「オールスター、活躍できそうか?」


 恐る恐る、といった感じで純が口を開く。


「ストレート勝負で来てくれるとありがたいんだけどなあ」


「昔からストレートには滅法強かったもんな」


「勇に対応するにはそうならざるをえなかったからな」


「そうか……あいつは中継ぎだっけ」


「二刀流だな」


「メジャーでやれてるだけ立派だよ」


 黙り込む。

 勇のことを褒められるのは面白くない。

 それを察したのか純は小さくなった。


 優は流石に悪いと思って苦笑した。


「今日は飲み明かそう。色々近況報告もあるだろう」


「龍樹とは今もつるんでるのか?」


 そこをつつかれると弱かった。



続く

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