第4話 飴と鞭って実際は飴だけじゃ割りに合わない
「フログ兄ちゃん、私不死身だったんだよー。凄いよね。」
帰って来て早々、セーラが自分に自慢している。
気付かなかったが、セーラ達家族も城へ来ていたみたいだ。
だがセーラ、何とも能天気な奴だ。
「僕は不死身じゃないが年は取らない不老って奴だ。」
多分セーラも子供は成すことは出来ないのだろう。
だが、多分セーラは理解していない。
だが多分その方が良い、年をある程度取って理解出来る様になってからどうするか考えれば良いと思う。
男と女の子への価値観ってのは違うと思うし。
母さんが泣きながら自分達に詫びを入れる。
「ホントはね、こんなことになる筈じゃなかった。もう少しうまいやり方はあったと思う。今後あなた達に色々迷惑がかかると思うし、辛い現実、知らなくてはならない現実が歳を重ねるごとに解ってくると思う。その時…私達はここにはいないし戻れないと予測出来るの。だからフログ、セーラ、先に謝っておくわ…本当にごめんなさい。」
シルドラ叔母さんが厳しく言う。
「まあ、本当は私の方が不老、不死のどちらかでも喉から手が出る程欲しいわよ。でもね、そうは上手くいかなかった。でも多分上手くいってたら、あなた達は産まれていなかった。結果的には私はあなた達がいて幸せだから、あなた達も幸せになれるような道を歩いていけるように…修行あるのみよ!!
ああ、バルハラもあの2馬鹿も言ってなかったけど、もうすぐ私達、獄地に行く予定となっているんでそれまではヴィシバシッ!行くわよ。早速バルハラ!いつもの教育装置のセットして!」
僕は途中からこの流れになると思い、修行あるのみよの言葉の後、逃げだしていたがその瞬間母さんが自分を捕まえ、にやけていた。
おいおい、さっきまでの涙はどこへやら…
頭に色々コードの伸びたヘルメットを装着される。
「わーい、わーいセーラはこれ一杯みたことないこと見れるから大好きっ。」
とセーラは好きみたいだが、自分には脳内に直接教育を詰め込まれる圧迫感で頭がおかしくなりそうである。
今思うとセーラは不死なので脳内ダメージが即回復していると冷静に考えられる。
―――――んじゃ僕はやっぱり脳にダメージ受けてんじゃん。
いつも脳がはち切れそうだぜと思っていたのは間違いじゃなかった。
「母さん、叔母さん、これ今考えると案外脳にダメージ与えて僕廃人とかにならないかな…」
母さんはあっけらかんと言い放った。
「修行後にいつも飲んでる栄養ジュースあれは母さん特製のエリクシールだから多少の無理は問題ないわ!!虐待ではないわ!教育!修行!もう精神年齢的にはフログは20歳の数値を表してるからもう心は大人だから耐えて。体は子供、頭脳は大人!!あの2馬鹿以上の知識、常識はもうあるから安心して。」
ああ、やっぱりそう思ってた通りだ。
ははっ、ボクッテ スゴイヤー。
スゴイヤー…すごく嫌やー。
叔母さんが真面目に答える
「すまない。本来ならゆっくり私達の教えたいこと全てを時間をかけ伝えねばならないのだが、もう時間がないのだ。教育係は今バルハラの方で作成しているから、戦術や魔法はそいつから引き継げば良い。シヴァ王にも教育依頼をだしている。
だが初期教育がしっかりしていないと引き継ぎの意味が理解出来ない。その為早急な強制的教育となっている。なんども言うが本当にすまない。」
まあ、理解出来る様に一般常識や専門的簡易知識等の教育の詰め込みが必要なのは理解した。
作成している引き継げる者と言うのが気がかりだが、僕は…俺はもう腹を括るしかなかった。
「さっさとすませよう。もう泣き言も捨てよう。父さん、母さん、叔父さん、叔母さんが安心して獄地に行けるように」
そう腹を括ろう、みんなが安心して獄地に行けるように自分がしっかりしなくては。
セーラは俺が覚えたことを横展開して教育していけば良い。
俺も一年前はあんな状態だったろう。
セーラもみんないなくなると言うことをあまり理解出来ないだろうから。
だから俺がしっかりしなくては。
「フログの覚悟完了のようね。今回はその覚悟に敬意を払い、かなり強めにいくわ。安心してエリクシールは飲ませながら修行するから。行くわ!母さん!スイッチオン!」
「母さんちょ…強めって!…ま…スイッチ…マッ……チョ………オォーン!あばばば」
俺はヘルメットを被りだらしなくヨダレをたらしあばばば言いながら腹を括るのであった…