第3話 勢いが付いた人の話は擬音が多い
「んでな!俺が、がーっとやって、マンダリンがガンガン受け止めて、シルドラが切り、バルハラがサポートして、ドウマンが何かして、一応動かなくなるまではボコったんだ。俺達は凄かったと思う… だがな…」
眉間にシワを寄せ、くちがモゴモゴとその先の言葉を詰まらせる。
自分に言い辛いことなのだろう。
自分は4歳であるが同年代に比べある程度空気が読める。
母親のスパルタ教育の賜物である。
学力、常識も父さんよりはあるかもしれない。
自分は父の背中を押すように言葉を投げ掛けた。
「で、僕の出生に何かしらの不備でも起きたのかな?」
―――――親父は一時の沈黙後、言葉を発した。
「不死者は結局倒せなかった、不死なんでな。だからバルハラが液体金属にエターナを錬成し、シルドラとドウマンが瓶に詰め封印した。しかし、流石封印しても禍敵、封印の中からバルハラとシルドラに呪いをかけやがった。」
―――――やはりか…薄々感づいていた。
妙に子供の自分にスパルタ過ぎる父母の姿を薄々何かあるんじゃないかと感じていた。
父は悔やみの表情を浮かべ僕に通達する。
「エターナはバルハラや、シルドラに直接かけるではなくいつか産まれゆく第一子、その子に呪いをかけた。お前は不老、マンダリンの子は不死だ。フログ、国の鑑定の結果、呪いによりお前達は子をなすことはできない。そして、ブログは老いることはないが、物理的な要因で死ぬ。」
ぼつりぼつりと父さんが呟く
父さん、おっちゃんは結局、母さん叔母さんに良い所を見せる所か、呪われた身へと落とし、責任を取ると言う形で嫁として受け入れる運びとなったそうだ。
棚ぼたと言えば、そうなのだろう。
だが、代償として男としての尊厳は踏みにじられたのだ。
下らないその場限りの目立ちたい自尊心の為に、好きな子を危険な目に合わせる己の慢心。
思い知ったのだろう、自惚れと言う奴を。
その証拠に父さんは歯を食い縛り、手を握りその手からは血が垂れる。
言うのに相当な覚悟があったのだろう
だから、僕はこう言ってやった。
「気にしなくて良いよ。人間種族はスキルやレベルが上がりすいが短命。だが自分は不老、死ななければ最強になれる。子供出来ないなら養子でも取れば良いし、母さんから教えて貰って自分自身の細胞でのホムンクルスでも作って育てれば良い。終わったことは、どうしようもない。悩んで解決するならそうした方が良いのだろうけど、解決しないなら楽しんで生きていくのみだよ。僕の持ち味として活かさせて行くよ。産んでくれてありがとう。」
「こっちこそ、何言われてもしょうがねぇと腹くくってたのに、ありがとうって言われちゃあな。俺には…ぐっ…勿体ない…出来た息子だ…。こっちこそ…産まれて来てありがとうよ…」
父さんは泣いていた。
僕もそれにつられて泣いた4歳の終わりも近い冬であった。
そして5歳になる頃父母は獄地へと旅立ち、会う機会がなくなるのを知るのはまだまだ先の話しであった。