5 修学旅行
二週間後。
今日は修学旅行当日。行き先は東京だ。
俺達の住む盛岡ビル型都市から東京ビル型都市までは新幹線がトンネルで繋がっており、それを利用して東京に向かう。
修学旅行参加者に博士と助手はいない。
この間、拉致されてしまったからだ。
博士と工機を助ける為、俺達は博士の研究所内を調べた。
一先、パソコンを起動すると今回の拉致の経緯についての予測レポートテキストファイルがデスクトップにあった。
メモ1.txt
今、君達がこのファイルを開いているという事は私と助手がここにいないからであろう。
私と助手の身体にはGPS発信器が埋め込まれている。位置情報はこのパソコンで割り出せるからこのファイルを読み終えたらすぐ居場所を割り出してほしい。
私達を襲撃するのはおそらく不死身化薬のコピー品を作りたい東京の下層階出身の反社会組織であろう。武力行使で一学生である私の技術をせびるのは彼等くらいしかいない。
私達のみでの脱出、あるいは拉致の事前回避は不可能であると判断した。
なので拉致予定日から二週間後の修学旅行の自主研修時間中に私達を助け出して欲しい。
君達の命の安全は保障する。君達の戦闘力の高さは私も一目置くくらいだからね。
ちゃんとお礼はするから当日はよろしく。
*
後日、テキストファイルを芳生に見せた。
「というわけなんだが芳生、博士と工機の救出に協力してくれるか」
「あたぼうよ。修学旅行だろうが友達のピンチなら駆けつけるぜ」
いい奴だ。俺も同じ考えだけど。
帰宅後。
「私も修学旅行について行っていい?」
「いいもなにもどうやってついていくんだよ」
「大きめの鞄にこっそり入るよ。ねぇお願い」
「仕方ないな」
「やったー。未来の東京だあ」
「全く、ただ遊びに行くんじゃないから俺達の足を引っ張るなよ」
「わかっているよ。私も戦うから」
そして当日。自主研修時間。
俺達は都市内エレベーターを利用し三度乗り換え、敵のアジトがある東京の最下層地域に到達した。
最下層地域は土壌汚染している地表に近い為地価が極端に安く貧民窟となっている。
スラムに生息している反社会組織と今から戦うのだ。
「うわぁ。怖そうなところ。でも博士の技術があれば大丈夫だよね」
そう。凛の言う通り俺達は博士からある技術を提供されていた。
SWOCである。