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幕間「魔族の談笑」

 

 ここは学校の1階。階段下のスペース。

 そこにはタリムとウェルス、2人の生徒(魔族)がいた。


「……すいませんでした」


「まだ何も言ってない」


 開口一番にタリムから出る謝罪。

 その行動にウェルスは半ば呆れ返った様子だった。


「マリ様の件だ……私が言うまでずっと封印の間について調べていたんだろう?」


「別にその件に怒ってはいない。けど、なんでそんなこと内緒にしてた?」


「従者という私のポジションと被るからだ」


「……ポジションってなんだ」


「まあ、バレてしまったなら仕方がない。これからはマリ様の従者として競い合うぞ」


「意味がわからない」


 ウェルスはさらに呆れ、ため息を漏らした。

 「競い合う」という言葉はタリムがウェルスを前にした時の口癖だ。

 幼少期から彼女は何かにつけてウェルスと競いたがった。そして、決まって勝負の時のタリムは暴走気味になる。


「ちなみに、私はマリ様のためならなんでもするつもりだ。こんなこともな」


「っ!!」


 そう言ってタリムは恥ずかしげもなくスカートをたくし上げた。露わになる純白と太腿。

 ちなみにここは学校内、階段下である。

 幸い、人通りは無かった。


「どうだ?お前にできるか?」


「いや、できない。そもそも僕はスカートを履いていない」


 ウェルスは顔を背けながら、タリムの下着を周りから見えないように覆った。


「そうか。じゃあ今回は私の勝ちでいいか?」


「タリム、お前……ポンコツ具合が増してないか」


「お前に勝つためなら恥をも辞さない」


「恥だとは分かっているのか……」


 何故か誇らしげな表情のタリム。対照的にウェルスの顔は赤らんでいた。


「っていうか!こんなことをしに来たんじゃない」


「そういえばそうだな。何故私を呼び出した?」


「いいからスカート下ろせ!」


 渋々スカートを下ろすタリムに、ウェルスはホッと息をつく。人目につかなかっただけマシである。


「タリム、昨日の実習は参加していたんだな?」


「……ああ」


 タリムは何かを思い出し、冷静になった。

 頭に浮べるのは実習での出来事。

 知らない魔族の軍勢、謎の魔法陣、そしてリリナ。


「襲撃してきたのは魔族だったと聞いた。何か心当たりはあるか?」


「全く無いな。我らが魔王軍の所属ではないのは確かだ」


「これは、風の噂で聞いた話なんだが。あの魔族、自分達のことを「新魔王軍」と名乗っていたらしい」


「新、魔王軍?」


 タリムにとっては聞いた事のない組織であった。

 「新」と付いているが、2人は魔王軍が新たに作られたとは聞いていない。魔王軍とは全く関係の無い新たな魔族の組織なのである。

 だが、魔族には新たな組織を立ち上げるほどの戦力の余裕はなかったはずである。


「ふふん、まあそう気にすることではないだろう」


「余裕だな……ポンコツのくせに」


「私たちにはマリ様がいる。そうである限り、私たちが真の魔王軍なのは揺るがないのだ」


「言うと思ったよ……変わらないな、タリムは」


 腰に手を当て笑うタリムに、ウェルスは薄く微笑んだ。

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