表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/186

第64話 前進せよ



竜王(キング・)拳骨(フィスト)!」 


審判(ジャッジメント)(ウォール)


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 竜王の拳が障壁によって防がれ、分散された力が辺り一体に大きな揺れを引き起こす。

 地下ゆえ、崩れたらたとえ竜王とて生き延びることは不可能に近い。

 それでも尚攻撃の手を緩めることなく竜王は攻撃を続ける。

 その拳は、この戦いが終わるまで、ユズルがユリカを奪還するまで振り続けられる。

 そう、竜王は今時間を稼ぐためだけに戦っている。

 ミカエラに自身の力を分け与えた為、長期的な戦闘は避けたかったのだが……


(私が来た時はまだ、一階層の制圧すらできていなかった。ユズル青年があの男を凌ぐのに、あとどれほど時間を要するのか……)


「お前さんが時間稼ぎの為に戦っているのは分かっている。だがそれは全くもって無意味だ」


「……なんだと?」


「時間を稼いだところで、誰もグランドゼーブは倒せない。奇跡でも起きない限り、な」


「……その奇跡が今起きずにいつ起きる?」


 竜王の体が肥大化し始め、可愛らしい少女の姿が恐ろしい竜の姿へと変化していく。


「私はあの青年を信じる。彼ならきっと……」


「何故そう思う?」



「──彼があの"英雄"の血を引くものだからだ」



 声が消えると同時に竜王が咆哮し、激しく地面が揺れる。

 天井からパラパラと破片が降り、巻き上がった煙で視界は遮られた。


審判(ジャッジメント)(レイン)


竜王(キング)咆哮(ブレス)!」


 槍の雨と炎の息吹、まるでおとぎ話のような光景だった。

 竜は怒り、王は舞う。

 

 その戦いの行方は、誰にも分からない。




「まだ敵が居ないか確認しろ!」


 王城一階層。

 帝国の女騎士 ルイスは兵士たちに指示を仰いでいた。


「西側にはもういません!」


「東側も同様、制圧が完了しました!」


 続々とルイスの元に、分隊長らしい人物が集まり出す。


「北側、制圧完了です!」


「これで最後か……」


 ルイスは全部隊が集合したことを確認し、2階層へと進軍を開始した。


(ユズル君は無事グランドゼーブの元にたどり着けただろうか?)


 不安を振り払い、前へ前へと足を運ばせる。


 ミカエラがカトルと戦っている、

 竜王と聖王が戦っている、

 ボップとエリカが戦っている、

 そして、ユズルとグランドゼーブが戦っている。


 そして、それはルイス達帝国兵も同じ。

 同じ時、同じ場所で同じ目的を持って戦っている。

 

 我々は、決して1人じゃない──。


「──総員、前進せよ!!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ