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第115話 そして、次の旅へ

 月と太陽編 エピローグ


 夜も遅いということで、ユズルはユリカと共に頂の教会で夜を明かすこととなった。

 久々に過ごす二人の時間。

 この2年間のことを語り合いたいが、今はそのときでは無い。


「これから、どうしますか?」


 次の旅の目的地を決める話し合い。

 この2年で世界情勢は大きく変わった。


「まず、王都軍による王族階級第9位、及び10位の討伐。これにより、東の大陸は緊張状態にあります。今東の大陸に戻るのは得策とは言えません」


 実質的に宣戦布告したようなものだ。

 事態こそ深刻化してないものの、近々戦争が起こることは目に見えていた。


「情報伝達が早いな。ヨハネさんの情報網か?」


「いえ、通信魔法の発展です。この2年でとある魔術師が新たな術式を発見し、魔法が急速発達したんです。その恩恵を最も受けた魔法こそ、通信魔法だったんです」


 聞くところによると東の大陸に住むとある魔術師が見つけた術式の効果は凄まじいもので、ここ数百年停滞していた魔法界に大きな衝撃を与えたという。


「まるでずっと世に出せず、積もりに積もった物が開放されたみたいだな」


「その通りかもしれませんよ?」


 ユリカは1枚の紙をユズルに手渡す。

 その紙には、術式の発見とその発見者の名前が。


「偉大なる魔術師 メイシス……。メイシス!?」


 知っている名が出て声が裏がえる。


「そうか、ずっと地下に閉じ込められてたんだもんな……。改めて考えると、歴史的瞬間に立ち会えてたんだな」


「そうですね。なんだが不思議な感じです」


 そのメイシスと合流するため東の大陸に渡る計画を立てていたのだが、今の状況を聞く限り渡航するにはまだ準備が必要そうだ。


「それで、東の大陸への道が絶たれた今どこに向かうか……当てはありますか?」


「ないことには無いんだが……」


 昼夜の塔にいた時にルナとサンから、大精霊のうちの一人、雨の精霊について知らされていた。

 その所在がわかった今、一度会って見ようかと考えていたのだが。


「正直行ってどうするって感じなんだよな。修行をつけてもらう訳でもないし、契約を結びたい訳でもないし……」


 行く意味が無いと言えばそれでおしまいだ。


「行く意味、あるかもしれません」


「え?」


「闇の精霊の復活を伝えることもそうですが、もしかしたらカマエルの真名について何か知っているかもしれません」


 確かにとハッとする。

 ユリカは「それだけじゃありません」と続け、


「魔人との全面戦争が現実的になった今、人間側の手駒を増やしておくのも一つの手だと思います。精霊を味方につければ、かなり心強い同盟相手になると思います」


「人間と精霊の架け橋になる、ってことか」


「少なくともユズルさんは既に3人の大精霊と接触しています。あと一人で過半数の信頼を得ることが出来ますから」


 ユリカの言う通りだった。

 でもそれは精霊だけじゃない。


「竜人やエルフや、その他の種族だって味方に付けれれば、魔人にだって勝てるかもしれない」


 竜の渓谷や妖精の森での出来事が、まるで複線化のように繋がっていく。

 今までしてきた旅が、意味あるものだったと改めて感じる。


「行こう、雨の精霊の元へ!」


 2年の時を得て今、二人の旅は再開する。

 この先に待っているものは希望か、それとも絶望か。

 二人の旅は、続いていくのだった。


 第9章 月と太陽編完──。


 次回 物語は遂に第三節へ






次章予告


 4人目の大精霊に会うべく、雨の精霊の元に向かった二人。

 そこで、予想外の人物と再開することになる。


「なぜ、お前がここに……っ!」


「何故か、か。それは俺が風の精霊と契約していることから話した方がいいか?」


 5人目の精霊との邂逅。

 そして、対立。


「私を捨てた人間は、信用出来ない」


 人間に裏切られた過去を持つ雨の精霊。

 その裏には、魔人の影が。


「雨の精霊は必要不可欠な存在だ。彼女と和解するためなら、力を貸そう」


 雨の精霊と和解するため、かつて敵同士だった男と一時的に協力することに。


「お前を、過去のしがらみから解放する!」


 ユズル達の新たな物語が幕を開ける──。


第10章 精霊の号哭編 開幕──。


そして物語は、新たなステージへ。


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