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どの世界でも主人公ではない  作者: 新坂つばめ
2/4

ゲームが始まる

読んでください!


「主人公に…なるチャンス…」

「そう!君が主人公になれるチャンスがあるんだよ!」

カハルは嬉しそうにそう言う。俺が主人公になれるチャンス、こんな事は今後二度とない。というか絶対にない、死んだから。

「…いや、やめとくよ」

「…え?」

だが俺は断ることにした。よく考えると、今更主人公に俺がなってどうする、何が出来る?そもそも主人公になれるチャンスとは?

「ちょっと待って、聞き間違いだよね?」

カハルは俺よりもびっくりした表情で聞き返す。

「聞き間違いじゃないよ、俺はこのチャンスを捨てる。俺なんかよりも、もっと主人公になりたい奴なんていっぱいいる。そいつらにこのチャンスを与えてやってくれ。俺はもう自分の人生に飽きた。死なせてくれ」

自分でもびっくりした。急にこんな流暢に話し始めて。さっきまでプチコミュ障になってたのにな。ま、本音だ。俺じゃなくてもっと、主人公になりたい人にやらせてやれ。例えばさっき道端ですれ違った高校生二人とか。

「……」

カハルは黙っている、さすがに怒っているだろう。わざわざ助けてくれたのに、こんな仕打ちだからな。俺は最低だ、最悪だ。だから人生今まで、俺にスポットライトが当たる日がなかったんだ。…早く死のう。

「…えーと、天国か地獄への行き方って知ってる?できれば地獄がいいんだけど…」

一応神様だから知ってると思う。さっさと聞いてエンマ様に罰、与えてもらおう。

「…合格だよ…」

「…え?」

今度は俺が聞き返した。

「合格だよ、君は!やっぱり私が目のつけた人だ!」

カハルは叫び出す。エレベーターの中だからやたらでかく聞こえる。

「合格…とは?」

「あーごめん、驚かせて。ま、とりあえず君はもう私のゲームに参加してもらうよ」

「ゲーム?参加?」

わけがわからない。とりあえず勝手にゲームに参加させられるらしい。

「じゃ、ルール説明始めるよ!」

「え?ちょ、勝手に…」

もういいや。どうせ死んでるんだ、どうにでもなれ。

「さっき言った君が主人公になれるチャンスって話なんだけど、実はゲームなんだ。ジャンルは…とりあえずバトルロワイアルかな?他の人たちと競ってもらうよ!」

ゲーム…バトロワ…、俺の得意分野だ。ニートだからずっとゲームをしていた。俺がやっているゲームでは、大体上位には入ってこれる。

「ちょっと質問いいか?」

「うん、いいよっ!」

カハルのテンションが全然違う。とても楽しそうだ。

「他の人ってなんだ?俺以外にも死にそうだった奴がいるのか?」

「おっ、いいこと聞いてくれた!そう、君以外にも人がいるんだ、だけどちょっと違う。死にかけだった人たちじゃない、普通に生きてた人だ。だから君は偶然だね」

偶然か。でも他の人は死んでないのに連れてきていいのか?そう聞いたら神様だからいいのっ!って返された。でたらめだな、この神様。

「とにかく!その君と他の人…これからはプレイヤーって呼ぶけど、そのプレイヤーの君たちにある世界に召喚させるんだよ!…まぁある世界っていっても、一つじゃなくて三つの世界に召喚させるんだけど」

もういちいち聞くのをやめた。

「で、何をその三つの世界で何すればいいの」

「おっ、理解が速くて助かるよ」

理解なんかしてない。逆にこんなん理解できるかよ。

「君たちプレイヤーには、【主人公ゲーム】をやってもらうよ!」

「主人公ゲーム?」

「そう、このゲームはそれぞれ一つ一つの世界で、その世界の住人として過ごしてもらう。だけどただ過ごしてもらうだけじゃない!君たちプレイヤーの中に一人、その世界の主人公として過ごしてもらう人がいる。その主人公は私がランダムで決めるけどね」

主人公として過ごす。これこそが、カハルの言ってた主人公になれるチャンスのことだろう。確かになれるチャンスだ。

「で、ここからが本題。その主人公以外になったプレイヤーたち、その主人公になった人を見つけてほしい。さっきバトルロワイアルとか言ったけど実際は一対他のプレイヤーなんだよね、ごめん」

「その主人公を見つけてどうすんだ?」

「一人一人にこのスマホを渡す」

と言ってカハルはどっから出したか分からないスマホを、右手に持っていた。

「そして、主人公だなって思ったプレイヤーがいたら、このスマホで私に電話をしてね。当たってたら主人公以外が勝ち、外れてたらまだ続くよー」

「どーなったら終わりなんだ?」

「主人公を当てられたら、その世界は終了。また次の世界に行くよ。それか、主人公が他プレイヤーを全員見つけて私に報告したら終了だよ」

「それは主人公側が不利じゃないか?」

「大丈夫、主人公のプレイヤーには様々な効果が適応されるから。簡単には見つからない」

主人公には主人公補正がつくってことか。これは主人公を探すのには苦労しそうだな。

「主人公プレイヤーが勝ったら、そのプレイヤーにはポイントが入る。逆に他プレイヤーたちが勝ったら、そのプレイヤーたちにポイントが入る。三つの世界で集めた合計のポイント数で順位が決まるよ!」

「その順位で何が決まるんだ?」

「…それはお楽しみだよ?わくわくしててね?」

そう言い、不敵な笑みを浮かべるカハル。何か裏があるな、絶対。

「プレイヤーは全員で12名。主人公以外になったら、協力してもいいからね?だけどその世界の住人は普通にいるから誰がプレイヤーか分からないけどね。頑張って探してね!」

プレイヤーの顔は分からないのか。だけどその方がいいかもしれない。分かっていたらずっとマークすることができるからな。

「ルール説明は以上!…あ!一個忘れてた!私に電話できる回数だけど、一人三回までね?主人公は一日何回って風になってるけど、他はその世界で三回だからね?よく考えて電話するんだよ。…もし三回失敗したら……ま、これもなってからのお楽しみ!てことで今度こそ以上!じゃ、このエレベーター動き出すから。次、止まったところがその世界。一つ目の世界は『異世界』だよ!開いたらスタートだからね、じゃ頑張って!」

そう言うと、カハルは姿を消した。やっぱ神様だな。

「大変なことになったな…。ま、ゲームときたら楽しむしかない。頑張ろう」

エレベーターが動き出した。いよいよ始まるみたいだ。




「ふふっ…。やる気になってくれて嬉しいよ。君がどう動くか楽しみだよ。さぁ、君の本当の力を見せてくれ、柳瀬秀太くん?」

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