あなたが学生時代に一番力を入れたことは何ですか?
就活って大変
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あなたが学生時代に一番力を入れたことは何ですか?
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私が学生時代に一番力を入れたことは、百合小説の執筆です。百合とは、女性同士の特別な関係性を表す、いわゆる俗語です。すなわち、百合小説とは女性同士の関係性を強く描いた作品と言えます。
私がこの活動に力を入れた理由は世界平和に少しでも貢献したいと考えたからです。
悲惨な戦争から既に七十年余りが過ぎた現代も、未だ世界平和は達成されていません。宗教観の違いによる内戦。人種差別から生じる諸問題。国家間にまで発展したいがみ合い。この世界には貧困に喘ぐ人々や、難病に苦しむ人々が大勢いるのに、そんな下らないことに金と頭脳と労力を無駄遣いする人でいっぱいです。私はそんな世界を少しでも変える手助けとなりたい。そのため、私は百合小説の執筆を始めたのです。
百合とは素晴らしいものです。百合に触れた人は、皆心穏かになり、争い事など忘れてしまいます。多くの人々はこれを眉唾物と思うでしょうが、そんなことはありません。昨年、百合作品に触れた人の脳波を解析することで、科学的にこれが証明されたとの論文が発表されました。さらに、このような素晴らしい研究が行われるより遥か昔、古事記にもこれと同じ旨の記載がされているのです。古より受け継がれし知恵と、現代の最新科学による研究が、世界平和達成において百合文化が重要なファクターであることを証明しているのです。
よって私は、世界平和達成への一助となるべく、精力的に百合小説の執筆を行ってまいりました。
私の世界平和への信念。そして、貴社の製品開発に対する『社会と調和のとれた製品を』の理念。私はこの二つに共通した思想を見出しました。貴社にご採用頂いた暁には、これまでの熱意と信念は変わらず、より世界平和を訴えかける製品開発に尽力する所存です。
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「……」
「どうされました? 部長。エントリーシート持ったままぽかんとしちゃって」
「あいや、何でもないよ。……これ、不採用に回しといて」
どこか、私を無条件で雇ってくれる会社ないかな