2_死の、酷な、苦しみのゲーム
プレスリリースから遡ること1年前───
JR四国は水面下で459脱出ゲームに必要な四国各県の観光協会、四国の全自治体、四国にある交通系、ホテル系の会社、などに協力を要請していた。
協力といっても「いつも通りで構わないのですが、こういうイベントを開催致しますので、イベント期間中のゴミ箱の設置など少しだけ協力をお願い致します。」というものだったが。
一部個人のところなど渋る所もあったが、他が参加するなら…と態度はどんどん軟化していき、最終的には全ての協力を得られた。
ひとまずのハードルは超えたと言って良いので、協力してもらった中から通常の仕事に問題のない範囲で、459脱出ゲーム実行委員会の人員を募り、内容の詳細を練り始めた。
詳細を練り始めて7ヶ月。
やっとルールやミッションの中身が決まった。
ルールは、
*5泊6日の日程。1日目の昼12:00から6日目の昼12:00までを459の開催時間となる。
*逃走者を10万人募集。その募集に漏れた人からの応募で2万人の鬼を揃える。
*逃走者、鬼両方にGPSバンドが配られる。459開始前に逃走者、鬼全員がつけたことを確認した後、四国を脱出するまで、又は459が終了するまで電子ロックで腕に固定される。
逃走者にはスマートフォンが配られる。スマートフォンにはブラウザアプリと459専用アプリが入っている。
*459専用アプリには四国内の各移動手段の時刻表、各地域の宿泊施設の表示、モバイルポイントサービスがある。期間中はこのモバイルポイントがお金の代わりとなる。単位はp。もちろん、レートは1p=1円だ。
*脱出成功と判断されるのは四国以外の県に入ってから2時間後。脱出成功者はメールにて知らされる。
*捕まった人は鬼となる。同時にスマートフォンは使用不能となる。
*ホテルの滞在時間を5泊合わせて55時間以内とする。
…等々たくさんのルールが設定された。
ついに、プレスリリースも発表され、齟齬の無いように最終確認が進められた。…
段階的な発表はとうに全て終わり、もう開催を待つだけとなった。…
459脱出ゲームはもうすぐ始まる。
それを後に回想したものはこう言った───死の、酷な、苦しいゲームだったと。