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王宮の青い薔薇の娘  動く 2

1時間ほど保健室で休ませてもらい、寮に戻ってきた。


どうしたものかと自室で考えていると、部屋をノックする音が聞こえた。


「フローラ、アナよ。保健室から戻ってきたと聞いて…大丈夫なら開けてもらえる?」


「今、開けるわ」


ドアを開けると、アナとミラがいた。


「アナ、怪我はない?」


そういって二人を部屋に入れる。


「大丈夫よ、ミラとベルに聞いたんだけど、私が外にいるかもしれないと聞いて魔法を発動したって…ありがとう、でもフローラこそ大丈夫なの?」


アナは不安そうにしている。


「大丈夫よ、念のために保健室で休ませてもらったけど、少し(だる)いくらいでご飯も食べれるわよ」


「良かった…ベルも心配してたわ」


ミラが言う。ベルはこのメンバーの中で一番身分が高い公爵家の令嬢なので屋敷から通っていて寮にはいない。


「…うっ…グスッ…」


急にアナが泣き出した。


「フローラ、ありがとう…私の為に…グスッ…貴女が魔法を発動した後、倒れたって聞いてっ…」


子供のように泣きじゃくるアナに、私も涙ぐむ。


「泣かないでアナ、私、結構丈夫だから。明日はもしかしたら休ませてもらうかもしれないけど、平気だからね」


私がアナの肩を抱くと、ミラはアナの背中を撫でていた。


「私もベルも、フローラが倒れた時はビックリしたけど、本当に良かった…フローラのおかげでアナだけじゃなく学園全体が無事だったよ、ありがとう…」


アナの背中を撫でながら、涙目のミラが言う。

なんて優しい子達なんだろう、さすが私の親友!!


「大丈夫、これからも私が守ってあげるから!!」


わざと明るい声で言うと、アナもミラも泣き声で笑った。


しばらく泣き笑いをしていると、またノックが。


「寮長のカトリオーナです。フローラさん、食欲はありますか? リゾットも用意できるそうですよ」


扉を開けると、最高学年の寮長、カトリオーナ先輩だった。

食欲はあるけど、時間稼ぎで明日休みたいから、リゾット頼もうかな…。


「スミマセン、少し体が重い感じがするので、リゾットお願い出来ますか?」


「寮長!!私達がここに夕食を運んでもいいですか?」


アナが言う。


「アナさんとミラさんですね。そうですね、今日は大変な魔法をフローラさんは発動したのですから、ここで食べた方がいいでしょう」


「私達も、ここで一緒に食べてもいいですか? 心配で…」


ミラが言う。


「…貴女達二人がいたらフローラさんも安心するでしょう。許可します。時間になったら取りに来てください」


「あ、寮長スミマセン、リゾットは3人分でお願いできますか?」


アナが言う。


「貴女達は、普通の食事でいいのでは?」


カトリオーナ先輩が不思議そうな顔をする。


「私達の普通食の匂いで、フローラが万が一具合が悪くなると大変なので」


アナ…なんて優しい子…。ごめん、ズル休みしやすいようにしてるだけなの…。


「大丈夫だよアナ、普通の食事を食べて」


「アナの言う通りよ、念のため私達も同じものを食べるわ」


ミラも言う。そんなやり取りを聞いていたカトリオーナ先輩は笑った。


「本当に貴女達は仲がいいのね。フローラさん、お友達の願いを聞いてあげなさい。料理長には私が伝えておくから」


そういうと、カトリオーナ先輩は去って行った。


「こんなに優しい友達を持てて、フローラ幸せです!!」


アナとミラは笑った。


そして、私達は3人仲良くリゾットを食べてミラの提案で、お風呂は体に悪いかもと、お湯の入ったタライとタオルを持ってきて拭いてくれた。

さらに、レモン水を持ってきてくれ水差しごと置いていってくれた。


優しすぎる…。ごめんね、体調はもう大丈夫なのに。


「先生には、明日は念のため休むって伝えておくね、今日は早く休んでね」


アナがそういうと、ミラと一緒に自分達の部屋に戻っていった。

やっぱり、私は今生でも友達に恵まれている。


さて、明日は休むとして…寮長の反応からして「聖女の魔法」この学園の生徒なら気づいたよね…どうしようか…。




◇◇◇◇◇◇◇




体調は戻ってると思ったが、大量の魔力を放出したせいか夜はぐっすり眠ってしまい、良い考えは浮かばなかった。


ノックがなる。


「おはようフローラ、ミラとアナよ」


「朝食持ってきたわ」


ミラとアナが3人分の朝食を持ってきてくれた。

フルーツがやや多めの、いつもより軽い感じの朝食だった。


昨日のように一緒のメニューを3人で食べ、顔色が良くなった安心したと言ってアナとミラは私の食器をもって授業に向かった。


しばらくすると、保健の先生と、魔法学科の主任エイブラム先生が来た。


「今日1日安静にしたら大丈夫ね」


「では、明日王宮にフローラを向かわせても大丈夫ですか?」


「大丈夫だと思います」


二人はそんな会話をして出ていったが、私的には全然大丈夫じゃない…。

王様が一番、妹であるお母様の顔を知ってるよね、宮廷魔術師長だってお母様の師匠だし…。

っていうか王宮に勤めてる古株の人は絶対知ってるよね、お母様の事。

卒業まであと1年あるのに、なんでこんな前倒しに…。


まず、竜巻はゲームのイベントと関係あるんだろうか、それともゲーム補正なの?


イライザ嬢と話したい。


お昼には、アナとミラとベルもやってきた。

サンドイッチと、サラダとフルーツとスープというメニューだった。


ベルも、目の前で倒れた私の安否が今朝まで分からず、心配してくれていた。

大丈夫だよと伝えると、元気そうでよかったと笑顔を見せてくれた。


皆、可愛いし優しい。4人で同じランチを食べる。


「ところで、フローラ、今回の魔法の件で王宮に呼ばれているのね」


「ベルも知ってるんだ」


「それで、イライザさんが王に謁見(えっけん)するマナーや注意を放課後教えに来てくれるらしいわよ」


「な、なるほど、イライザさんは王太子の婚約者だし、一番マナーが分かってるよね!!」


さすが、イライザ嬢、自然に会いに来てくれる手段を考えてくれた!!






すごいよ!!イライザさん!!


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