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王宮の青い薔薇の娘  動く 1

あの日から、友達と仲良くしつつ、イライザ嬢と5人の攻略対象を見ていたが、楽しそうに過ごしている。


私が友達との思い出や絆を深めているのと同じ以上に、6人の絆は深そうだ。


特に、王太子とレイはイライザ嬢に、ご執心(しゅうしん)に見える。

前回、イライザ嬢が誰かを好きかどうかは聞いてなくて、ひたすら彼らと仲良くして最悪の結果を回避してる事しか聞いてなかった。


今、王太子とは婚約状態だから、イライザ嬢が王太子を好きならば問題なく進むだろう。

それ以外の人とだったら、困難はありそうだけど、攻略対象の男性5人も仲が良さそうだし何とかなるかも。


そして、私は順調に、イベントをスルーしているらしく特に何の変りもなく2学年目に入った。


イライザ嬢が言った通り、私とイライザ嬢と攻略対象者は一緒のクラスだった。

1学年の時に友達になったミラが一緒になったし、隣のクラスには他の2人も一緒にいるので私は相変わらず4人で楽しい時間を過ごした。


私は勉強と魔法を頑張り、常に学年トップの成績を保った。

なので、2学年では生徒会に選ばれてしまった。


王太子と、同じ生徒会の委員になったが、特に何もイベントは発生していない。

話すのは同じ女子の生徒会の委員とだけだ。


そして、イライザ嬢との定期的な会合で、お母様であるエレアノーラ王女は20年ほど前、17歳の時に重い病気にかかり、それ以来、実母である王太后と離宮で療養してる事になってるらしい。


病気になったのは本当らしいのだが、離宮の場所がウチの男爵家の領地に近く、回復して海を散歩している時に、お父様と運命の出会いをして失踪したらしい。

王女が自らいなくなったことを(おおやけ)には出来ず、離宮での事だったのでごまかしが利くという事もあり、病気が悪化して離宮で静養しなければいけないという事になったらしい。


王女が実は失踪して離宮にいないという事は、王族と一部の関係者しか知らないトップシークレットらしい。


もっと詳しい話を、お母様達から聞きたかったけれど、帰省した私を歓迎してくれる両親と、いつも通りラブラブな両親に何となく聞くことは出来なかった。

いつか話してくれる時期が来るだろうし、その時に聞こうと思った。

長期休暇で家に帰る時、夏の思い出に、1学年の時から仲が良かったミラとアナとべルを男爵邸に誘って海水浴や星を見たりお祭りを見たり楽しい時間を過ごした。


とても楽しい時間を、2学年でも私は過ごせた。




◇◇◇◇◇◇◇




私の運命が動き出したのは3学年の秋だった。

3学年もやはりイライザ嬢と攻略対象と一緒のクラスで、ミラもアナもベルも一緒のクラスになった。


普通に楽しく過ごし、勉強も魔法もトップだったので、また今年も王太子がいる生徒会に選ばれたが相変わらず女生徒としか交流していなかった。

順調にゲームのイベントはスルーされ続けていたのだった。


なのに、ある日の授業中、空が突然真っ暗になり竜巻が発生して、真っ直ぐに学園に向かっているというのだ。

皆、学校の1階に集まり、窓を閉め、カーテンを閉めた。そして制服のジャケットを頭にかぶせ、低い体勢をするように言われた。


クラスごとに避難していたのに、アナが見つからない。


「アナは?」


私がミラとベルに聞くと、分からないとのこと。

授業は選択授業だったので、アナの選択授業である魔法剣士科の子にアナを知らないか聞いた。


「そういえばアナさんは何人かと道具を交換しに行ってて、まだ外にいるかもしれない…」


との答えだった。

なんて事!!道具がある倉庫に竜巻が突入したら助かる可能性は少ない!

私の頭には、前世のハリケーンの被害の映像…。


背中がゾクりとした…。


絶対に、絶対に嫌だ!!



「アナを助けなきゃ!!」



そう叫んだ私から、物凄い魔力が放出し、周りが白く発光した。

気づいたら私は保健室に寝かされていた。




◇◇◇◇◇◇◇




目を覚ますと、保健の先生と数人の教師達がいた。


「フローラ、目が覚めましたか、気分が悪いところはありませんか?」


保健の先生と、魔法学科の先生二人が心配そうに私を見る。


「大丈夫です、それより竜巻の被害は!!」


アナが外にいたはずだ。


「竜巻は貴女が発動した「聖女の盾」で消えて無くなりました」


「無くなったということは、アナは無事ですか? 怪我をした生徒はいないんですか??」


「誰も怪我をしていませんし、校舎も何もかもが無事です」


「良かった…」


ほっとした私を、複雑そうに見る保健の先生と教師達…。

ん、なんだろう、とりあえず体調も悪くないし教室に戻ろうかな。


「私、教室に戻っていいですか?」


「今日の授業はもう無いので…それよりも、フローラ、貴女は今から王宮に行ってもらう事になりました」


「え?? 王宮? 今からですか?」


「貴女が発動した魔法は、伝説の聖女の魔法「聖女の盾」なので、王と宮廷魔術師長が貴女にお会いしたいそうです」


嘘でしょ!!「聖女の魔法」を発動しちゃったの?

王と宮廷魔術師長に会ったら、私が王女の娘だってバレちゃう…。


「…うっ…」


私は痛くない頭を押さえる。

ぶっちゃけ、窮地(きゅうち)なので顔は普通に青くなっているはずだ…。


「フローラ、大丈夫ですか!!」


保健の先生が私を支えてくれる。


「スミマセン、急に頭がガンガンして…」


「友達が無事だったことが分かって、安心したんだろう。あれだけの力を発動した後だ…治療は十分したとはいえ、さすがに今日は王宮にはいかない方がいいのでは?」


魔法学科の主任の先生であるエイブラム先生が言った。


「そうですね、起きたばかりの時は、まだ興奮状態だったんでしょう。今日はもう少し保健室で休んでから、寮の部屋で安静にした方が…」


魔法学科の担任のアビゲイル先生も同調した。



良かった、少しは考える時間がもらえる。






……………どうしよう…。


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